日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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総説
  • 山口 哲生, 江石 義信
    原稿種別: 総説
    2019 年 39 巻 1_2 号 p. 1-10
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル フリー

    サルコイドーシスはいまなお原因不明とされている.しかし,細胞性免疫に対して強い免疫原性を有するなんらかの感染性物質が原因となり,素因のある宿主のみが発病して類上皮細胞肉芽腫が形成されることが世界のコンセンサスとなっている.現在までに結核菌(mKatG)とアクネ菌(Propionibacterium acnes)以外の感染性物質が肉芽腫内に認められたとする報告はなく,このいずれかが本症の原因になっていると考えられている.Eishiらは定量的PCR法,in situ hybridization法,アクネ菌モノクローナル抗体の作成と免疫染色法,本症リンパ節リンパ洞内のアクネ菌免疫複合体の証明など,本症の原因をアクネ菌と考える蓋然性の高い報告を重ねてきた.また海外からは,本症の病巣内にアクネ菌のmRNAが有意に頻度高く見出されるという報告も出ている.本稿では,アクネ菌が本症の原因であるとの仮説をたてて,この菌がどのようにサルコイドーシスを発病せしめて,かの奇妙な病態を形成していくのかについて,私たちの考えを述べた.

  • 肉芽腫形成の視点から
    藤田 次郎
    2019 年 39 巻 1_2 号 p. 11-17
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル フリー

    近年,呼吸器疾患の臨床現場において非結核性抗酸菌症(特にMycobacterium avium complex症,以下MAC症)の重要性が高まりつつある.肺MAC症の主要な病型として,ⅰ)fibrocavitary disease,およびⅱ)nodular/bronchiectatic disease,の2つの型がある.ⅰ)の病型においては,空洞形成が,ⅱ)の病型においては,小結節と気管支拡張が特徴的である.病理学的には,ⅰ)fibrocavitary diseaseにおいては滲出性肉芽腫病変を呈し,病変部にMAC菌体量が多かった(感染型).一方,ⅱ)nodular/bronchiectatic diseaseにおいては増殖性肉芽腫病変を呈し,MAC菌体量は少なかった(宿主応答型).さらにAIDS患者に認められる播種性MAC症の病態も加え,多彩な臨床・病理像を肉芽腫形成の視点から解説した.

  • Overview
    有村 義宏
    2019 年 39 巻 1_2 号 p. 19-24
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル フリー

    肺は豊富な血管網を有する臓器でANCA関連血管炎の主要な標的臓器の1つである.我が国のANCA関連血管炎の疫学的特徴として,疾患サブタイプでは顕微鏡的多発血管炎(MPA)が多発血管炎性肉芽腫症(GPA),好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)に比べ多いこと,ANCAサブタイプではMPO-ANCAがPR3-ANCAに比べ圧倒的に多いこと,GPAの半数はMPO-ANCA陽性例であること,MPAの45%に間質性肺炎の合併が見られることが挙げられる.また,MPO-ANCAは診断や活動性の判定だけでなく,寛解期における再燃予知の指標にもなることが明らかとなった.ANCA関連血管炎の治療は生物学的製剤であるリツキシマブがMPA,GPAに対して,メポリズマブがEGPAに対して保険適用となるなど,新たな時代を迎えている.これら臨床研究の発展により,難病であるANCA関連血管炎の一層の予後改善が期待される.

  • 黒﨑 敦子
    原稿種別: 総説
    2019 年 39 巻 1_2 号 p. 25-28
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル フリー

    ANCA関連血管炎(ANCA associated vasculitis: AAV)として,顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis: MPA),多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis: GPA),好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosiswith polyangiitis: EGPA)の3疾患が定義されている.AAVの肺病変は疾患ごとに特徴的なものが多い.MPAの肺病変としては肺胞出血と間質性肺炎がみられる.肉芽腫性血管炎の名が付いているGPAとEGPAには結節性病変がみられ,GPAでは壊死性血管炎を反映して壊死を伴う肉芽腫,EGPAではアレルギー性疾患を反映して好酸球性気管支・細気管支炎や好酸球性肺炎がみられる.画像から血管炎にアプローチするには,経過を含めた臨床情報が重要である.

  • 西山 和利
    原稿種別: 総説
    2019 年 39 巻 1_2 号 p. 29-32
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル フリー

    脳神経内科領域で遭遇するサルコイドーシスは中枢神経サルコイドーシス,末梢神経サルコイドーシス,筋サルコイドーシスからなるが,いずれも頻度は低い病態であり,そのため治療方法に関してのガイドラインは存在せず,経験則に頼った治療が主体となっている.2018年時点での脳神経内科領域サルコイドーシスに対する治療に関する文献的検討を行い,第38回サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会で発表の機会を得た.本項ではその内容を中心に神経サルコイドーシスの治療を中心に解説する.

  • 草野 研吾
    原稿種別: 総説
    2019 年 39 巻 1_2 号 p. 33-38
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル フリー

    QRS幅の広い心機能の低下した心不全症例に対する植込み型デバイス治療として,心臓再同期療法(cardiac resynchronizationtherapy: CRT)は確立された治療法であり,日本循環器学会ガイドラインにおいては,心不全の程度,左脚ブロックの有無,QRS幅,洞調律の有無,ペーシング依存の有無によってCRTの適応が細かく決められている.我が国においては2006年に保険償還され,年々植込み数が増加しているが,CRTに反応しないnon-responderの存在が問題となっている.ここでは,CRT治療の歴史,ガイドライン適応と,non-responderを減らすための進化した現在のCRT治療について概説する.

  • 諸井 雅男
    原稿種別: 総説
    2019 年 39 巻 1_2 号 p. 39-43
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル フリー

     心臓サルコイドーシスには一般にステロイドが有効とされているが,使用に際しては患者個別に活動性炎症,生存心筋,線維化の程度および部位を評価する必要がある. 心不全症例で心筋の線維化が中等度以上ある場合には,ACE阻害薬,ARB,β遮断薬,アルドステロン拮抗薬に予後改善効果が期待できる.QOLの改善には利尿薬,血管拡張薬,カテコラミン,PDE阻害薬がある.デバイス治療として,両室ペーシング(CRT)およびヒス束ペーシングが注目されているが,その効果は均一ではなく,個別に判断が求められる. 徐脈性不整脈に対する治療はペースメーカーがある.頻脈性不整脈に用いる薬物にはβ遮断薬,アミオダロンがある.薬物抵抗性の場合にはカテーテルによる心筋焼灼術を考慮する.心停止の既往もしくは持続性心室頻拍の既往がある患者,あるいは低左心機能で非持続性心室頻拍がある患者には植込み型除細動器(ICD)の適応がある. 65歳未満であれば心臓移植も治療の1つである.

論壇
  • 今野 哲
    原稿種別: 総説
    2019 年 39 巻 1_2 号 p. 45-47
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル フリー

    肺サルコイドーシス(サ症)の臨床経過は多彩である.自覚症状の強い例,線維化への進行例に対しては,全身性ステロイドの適応となるが,その開始量,タイミングについては定まった見解はなく,臨床医の経験に基づき決定されている.ステロイドの開始量については,2018年診療の手引き改定では,少量での開始可能なことが記載された.肺サ症において,全身性ステロイド使用が必須である症例がいる事に異論はないが,いっぽう,慢性経過の場合,果たして,ステロイドを開始すべきか,判断に悩む症例のほうが多く,MTXなどの免疫抑制剤の適応についても同様である.本稿では,肺サ症に関する治療戦略について,筆者の考えを述べる.

学会賞受賞論文
  • 澤幡 美千瑠
    2019 年 39 巻 1_2 号 p. 49-53
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル フリー

    第15回「千葉保之・本間日臣記念賞」受賞の契機となった研究内容を,3点に絞って紹介する.①1974年から2012年に自治医科大学付属病院呼吸器内科で新規診断されたサルコイドーシスの連続症例588例(組織診断群431例,臨床診断群157例)の臨床記録を疫学的・臨床的手法により解析し,日本人サルコイドーシスの臨床像とその時代的変遷を明らかにした.②日本人サルコイドーシスの発病における環境リスク要因の候補を見出した.いずれもTh1型免疫反応と免疫制御機構のバランス異常をきたし得るものであり,多発性硬化症を含む一部のImmune-mediated inflammatory diseases(IMIDs)で挙げられているリスク要因の候補と共通していた.③サルコイドーシス病態は,「経気道的に侵入した外来抗原に対する処理能力の低下とともに免疫寛容機構の破綻が深く関与している」ことを結論づけた.

原著
  • 粟屋 徹, 南本 亮吾, 窪田 和雄, 久保田 修司, 岡崎 徹, 岡崎 修, 原 久男, 廣井 透雄, 廣江 道昭, 諸井 雅男
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 39 巻 1_2 号 p. 55-58
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル フリー

    心臓サルコイドーシスの活動性病変評価には,67Gaシンチグラフィーおよび18F-FDG PET(fluorodeoxyglucose positron emission computed tomography)がある.67Gaシンチグラフィーはその集積機序ははっきりと解明されておらず,感度が低く,18F-FDG PETは心筋への生理的集積や不全心筋への集積(偽陽性)がある.我々は心筋には発現せずにマクロファージに発現しているソマトスタチン受容体に注目し,ソマトスタチン受容体シンチグラフィー(SRS: somatostatin receptor scintigraphy)が活動性炎症(急性期)を画像化できるかを検討した.対象はSRS,18F-FDG PET,心臓MRI,心臓超音波検査を施行した心臓サルコイドーシスの4症例で心臓MRI検査(T2-BB: T2 weighted black bloodもしくは遅延造影)にて20病変が検出された(Table 1).20病変中11病変でSRS,18F-FDG PETともに集積を認め,そのうち8病変でT2-BBで高信号を認めたことからも,同部位は急性期の活動性病変と考えられた.SRSは心臓サルコイドーシスの活動性病変評価に有用な可能性がある.

  • 河合 秀樹, 皿井 正義, 加藤 靖周, 成瀬 寛之, 渡邉 あゆみ, 松山 貴裕, 森本 紳一郎, 外山 宏, 尾崎 行男
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 39 巻 1_2 号 p. 59-64
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル フリー

    我々は心臓サルコイドーシス疑いの74例において,「2016年版心臓サルコイドーシスの診療ガイドライン」における組織診断・臨床診断を真として,FDG-PET/CTの診断精度を検討した.さらにFDG-PET/CTと同時期に心臓造影MRIを施行した33例において,ガドリニウム造影剤を用いた遅延造影(LGE)所見を検討した.全74例中31例が本症の診断基準を満たし,38例が診断基準を満たさず,残り5例は心限局性サ症の疑診例であった.診断基準を満たした31例を真とすると,FDGPET/CTによる感度,特異度,正診率,陽性的中率,陰性的中率は,それぞれ90%,87%,88%,85%,92%であった.心臓造影MRIを同時期に施行した33例において,FDG-PET/CT陽性の20例中16例でLGE陽性,FDG-PET/CT陰性の13例中8例でLGE陽性であった.心サ症疑い患者におけるFDG-PET/CTの診断精度は非常に良好であった.さらに心臓MRIの遅延造影所見を加えることは,本症の活動性や線維化の診断に有用であった.

  • 大西 康貴, 河村 哲治, 田中 博子, 竹野内 政紀, 平田 展也, 平岡 亮太, 平野 克也, 小南 亮太, 久米 佐知枝, 高橋 清香 ...
    2019 年 39 巻 1_2 号 p. 65-71
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル フリー

    保守不良の加湿器の使用は過敏性肺炎の一因と考えられている.当院で職員用に使用している31台の家庭用加湿器を対象に,貯留水と吹出気に含まれる微生物についての検討を行った.貯留水,吹出気ともに28台(90%)と高率に微生物を検出し,そのうち14台(45%)で吹出気中と貯留水中の微生物が一致した.また,貯留水より非結核性抗酸菌(nontuberculousmycobacterium: NTM)を19台(61% )で検出した.加湿トレーの洗浄頻度が高い群(毎日~1週間毎)は,低い群(2週間毎~季節毎)と比較し,エンドトキシンが有意に低値であった(P=0.048).唯一,加熱式加湿器は微生物の検出がなくエンドトキシンも低値であった.加湿器による過敏性肺炎の原因として,一般細菌,NTMやエンドトキシンなど様々な要因が関与している可能性がある.

短報
  • 永井 利幸, 相川 忠夫, 安斉 俊久
    原稿種別: レター
    2019 年 39 巻 1_2 号 p. 73-76
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル フリー

     18F-fluorodeoxyglucose-positron emission tomography(FDG-PET)は,心臓サルコイドーシス(心サ症)の診断および病態評価に有用と考えられるが,FDG-PETにより評価された活動性炎症所見と臨床経過の乖離がしばしば経験される.今回我々はFDG-PET所見に増悪所見を認めた一方で臨床経過は改善を認めた症例,およびFDG-PET所見に改善所見を認めた一方で臨床経過は増悪を認めた症例を経験した.また,心サ症確診症例111例のうち,長期経過観察中にFDG-PET所見の増悪を認めた13例を検討した結果,同時に有害事象を伴う症例は6例であり,そのうち増悪時免疫抑制療法が中止されていた症例は3例であった.全例免疫抑制療法を強化したものの,その後2例に再度有害事象が発生した.一方,FDG-PET所見の増悪に有害事象を伴わない症例は7例であり,そのうち5例で免疫抑制療法を強化したものの,2例に再度有害事象が発生した.免疫抑制療法中のFDG-PET所見の変化が持つ臨床的意義には未だ不明な点が多く,今後の症例蓄積と前向き多施設研究が必要である.

症例報告
  • 僧帽弁逸脱とtetheringの関与
    関村 紀行, 山崎 佐枝子, 越川 めぐみ, 矢崎 善一
    2019 年 39 巻 1_2 号 p. 77-80
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル フリー

    長期にわたるプレドニゾロンの経過観察中に心不全を発症し,僧帽弁閉鎖不全(MR)の関与が示唆された3症例を経験したので報告する.心臓サルコイドーシス(心サ症)では左室瘤や拡張型心筋症様病態が生じると乳頭筋の後(側)方偏位に伴うtethering MRを認めることがある.心不全発症におけるMRの機序に注意し,必要に応じて心臓再同期療法や外科的治療といった非薬物的治療を検討する必要がある.

  • 竹田 悟志, 永田 忍彦, 上田 裕介, 吉田 祐士, 原田 泰志, 宮﨑 浩行, 赤木 隆紀, 和田 健司, 濱武 大輔, 諸鹿 俊彦, ...
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 39 巻 1_2 号 p. 81-85
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル フリー

    28歳男性.X-4年7月ぶどう膜炎を指摘される.胸部X線で両側肺門リンパ節腫張も認めており当科に紹介となった.精査を予定していたが,本人の自己判断で検査入院も中止となった.X年4月下旬より咳・喀痰・微熱が出現,症状改善ないためX年5月上旬当科受診.胸部CTで両肺に空洞を伴う多発肺結節影を認め,X年5月中旬経気管支内視鏡肺生検を施行.非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,サルコイドーシスに特徴的な検査所見として両側肺門リンパ節腫脹(BHL),可溶性IL-2R上昇(2330 U/mL)の2項目を認めた.2臓器(肺,眼)に病変を認めており組織診断群のサルコイドーシスと診断となり,X年6月上旬よりステロイドでの治療が開始となり肺病変の改善は認めたが経過中に気胸を反復,さらに菌球を合併し喀血し死亡した.

  • 迫田 宗一郎, 濵田 直樹, 三雲 七重, 原田 英治, 鈴木 邦裕, 田中 謙太郎, 米嶋 康臣, 伊地 知佳世, 藤原 美奈子, 小田 ...
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 39 巻 1_2 号 p. 87-91
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル フリー

     症例は65歳女性.30年前に皮疹で発症し,20年前にサルコイドーシス(肺,皮膚)と診断され,皮膚病変に対してステロイド内服中であった.X-1年10月頃より全身倦怠感,下肢脱力を認めX年1月に入院となった.血液検査では白血球数,可溶性IL-2受容体値,アルドラーゼ値の高値を認めたが,ACE,CK値は正常,各種自己抗体は陰性であった.FDG-PETでは頸部,両肩,臀部の筋肉や,手,肘,肩,膝等の関節に高集積を認めた.下肢MRIでは臀部や骨盤部の筋にT2延長域と造影後の増強を認めたが,他疾患との鑑別は困難であった.右縫工筋より筋生検を施行し,多核巨細胞を伴った組織球とリンパ球の集簇を認め,サルコイドーシスによる筋,関節病変と考え,全身ステロイドを増量し改善を認めた.当症例は30年という長い経過中に全身の筋,関節病変をきたしたまれな1例と考えられた.

  • 石原 明典, 栗山 満美子, 森下 真圭, 荒木 勇一朗, 前田 浩義
    原稿種別: 症例報告
    2019 年 39 巻 1_2 号 p. 93-96
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル フリー

    症例は63歳,男性.胸部異常陰影を指摘され,胸腔鏡下肺生検にて組織診断を行いサルコイドーシスと診断.プレドニゾロン(PSL)の投与を開始した約2 ヵ月後に左上下肢不全麻痺が出現したため外来受診した.右前頭葉中心回に19×17 mm大の腫瘤を認め,開頭腫瘍摘出術が施行された.組織学的にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断し,大量メトトレキサート療法と併用して放射線治療を施行した.その後,消退傾向にあった肺野の結節影が増大したため,鑑別目的に気管支鏡下肺生検を施行.組織学的に悪性リンパ腫の増悪でないことを確認し,5 mg/日に漸減していたPSLを20 mg/日に増量した.PSL投与後は治療に反応し結節陰影は徐々に縮小・消退した.経過中に中枢神経原発リンパ腫を合併し,治療後に胸部の陰影が再度悪化するといった多様な臨床症状を呈した症例であった.

  • 福井 崇大, 砂田 啓英也, 浅岡 雅人, 谷 哲夫, 舩津 洋平, 岩丸 有史, 山本 達也, 加行 淳子, 黄 英文
    2019 年 39 巻 1_2 号 p. 97-101
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル フリー

     症例は74歳,女性.多発する皮膚紅斑を主訴に当院皮膚科を受診した.皮膚生検でラングハンス巨細胞を伴う非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,サルコイドーシスと診断された.その後,胸部X線にて右肺門リンパ節腫脹および右中肺野の結節影を指摘されたため,当科紹介となった.肺結節からの経気管支肺生検では,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫のみで悪性所見は検出されなかったが,fluorodeoxyglucose-positron emission tomographyを含めた画像診断で, 原発性肺癌c-T2aN1M0Stage ⅡAの合併が疑われたため,胸腔鏡下右下葉切除術を行った.術中,胸膜に多発する白色結節を認めた.術後病理所見では,肺内に乳頭腺癌と非乾酪性類上皮細胞肉芽腫の混在を認め,胸膜結節も非乾酪性類上皮細胞肉芽腫であった.右肺門リンパ節に加えて縦隔リンパ節にも転移を認めた.サルコイドーシス患者に肺癌を合併した場合,診断確定に苦慮することが少なくない.本症例は教訓的な症例と考えられたため,文献的考察を加えて報告する.

  • 三宅 剛平, 河村 哲治, 水守 康之, 塚本 宏壮, 佐々木 信, 中原 保治
    2019 年 39 巻 1_2 号 p. 103-107
    発行日: 2019/10/01
    公開日: 2019/12/28
    ジャーナル フリー

    症例は70歳男性,鳥飼育歴,羽毛布団・鶏糞肥料の使用歴あり.54歳時人間ドックで間質性肺炎を指摘され当院紹介となる.胸腔鏡下肺生検および吸入誘発試験・リンパ球刺激試験により慢性鳥関連過敏性肺炎と診断した.抗原回避のみで経過観察していたが,間質性肺炎の進行は緩徐であった.診断13年後に突然全身倦怠感が出現し他院を受診.尿潜血3+,尿蛋白2+で,MPO-ANCAが強陽性,腎障害は急速に悪化し急性腎不全を呈した.腎生検で半月体形成性腎炎を認め,顕微鏡的多発血管炎に伴う急性腎不全としてステロイドおよびリツキシマブが投与され軽快した.慢性過敏性肺炎にANCA関連血管炎が続発した症例と考えられ,文献的考察を合わせ報告する.

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