日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会雑誌
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追悼文
学会賞論文
  • 武田 吉人
    2025 年45 巻1_2 号 p. 3-9
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー

    全身性の非乾酪性肉芽性疾患であるサルコイドーシスは,細菌感染などの抗原曝露という環境因子だけでなく,加齢や複数の遺伝的要因が関連する.このような複雑多様な炎症性疾患解明には,分子にフォーカスした仮説検証型研究に加えて,データ駆動的アプローチの両輪が必要とされる.分子オーガナイザーとして機能する細胞膜4回貫通型タンパクファミリーのテトラスパニンは,マクロファージの細胞融合による多核巨細胞形成,細胞活性化,炎症細胞浸潤,肉芽種形成や線維化などサルコイドーシスの病態形成における種々の段階に関わる.  一方,炎症性呼吸器疾患において,細胞外小胞(エクソソーム)が新規メッセンジャーとして注目されている.網羅的解析,とりわけプロテオミクスを駆使することで,サルコイドーシスを含む肉芽腫性疾患に関わるバイオマーカーを同定するだけでなく,シングルセル解析やマルチオミクスから病態解明に寄与することを示す.さらに,サルコイドーシスを含む種々の間質性肺炎について,エクソソームの分子情報と臨床情報から人工知能(AI)を開発し,間質性肺炎における創薬開発や新規バイオマーカー同定に成功した.このように,仮説検証型研究だけでなく,データ駆動的アプローチを駆使することで,肉芽腫の形成・線維化機序を解明すると同時に,バイオマーカー(BM)開発から病態解明や創薬開発への取り組みを紹介させていただく.

  • 藤本 優汰, 濵田 直樹, 柳原 豊史, 大崎 優亮, 井形 文保, 檀 伊文, 池田 貴登, 井上 博之, 藤田 昌樹
    原稿種別: 症例報告
    2025 年45 巻1_2 号 p. 53-57
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー

     症例は50歳女性.X年1月に高熱,両下腿の紅斑が出現.紅斑が改善しないため,同年3月,前病院の皮膚科受診.両下腿に多数の有痛性紅斑を認め,結節性紅斑と診断された.以前,口内炎を認めていたことからBehçet病が疑われ,同日よりプレドニゾロン(PSL)20 mg/日が開始された.皮疹は改善したが,PSL減量すると再燃するため,8月よりアプレミラストが併用され,9月にPSL漸減終了となった.その後両側の手指関節の腫脹と疼痛が出現し,同院膠原病内科へ紹介され,胸部CTにて異常影を認め,10月に当科紹介受診となった.CTにて両側肺門縦隔リンパ節腫大と肺野にリンパ路に沿った粒状影を認め,結節性紅斑,多発関節痛,両側肺門リンパ節腫大の3徴よりLöfgren症候群と診断した.その後肺野の陰影は自然軽快した.Löfgren症候群は北欧ではサルコイドーシスの約20%に合併するとされているが,本邦では現在までに約20例の報告しかない比較的稀な病態であり報告する

総説
  • 今野 哲
    原稿種別: 総説
    2025 年45 巻1_2 号 p. 10-13
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー

     「難病」という言葉は,スモンを対象に,昭和44年に厚生省に調査研究協議会が組織されたことに始まる.昭和47年に難病対策要綱が策定され,当初,スモンの他8疾患に対して,難病の病因・病態の解明研究および診療整備のみならず,医療費の公費負担が目指されることとなり,この中に,既にサルコイドーシス(サ症)が含まれていた.  その後,研究対象とする病気の数は徐々に増加し,平成23年度末では対象患者数は78万人にまで増加し,国,地方自治体の財政悪化も伴い,平成27年1月に,持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律とし,難病法が施行された.これによって,難病の患者に対する医療費助成に消費税などの財源が充てられることとなり,安定的な医療費助成の制度が確立した.更に,令和5年に難病法の改正がおこなわれ,国による難病の情報収集,都道府県等の国への情報提供義務,安全管理措置,第三者提供ルール等が規定され,医療費助成の対象とする疾患は,新たに「指定難病」と呼ばれることとなった.令和7年4月現在の指定難病は348疾病に及んでいる.  サ症においては,上記のように,難病として最も古い歴史を持つ疾患の一つであるにもかかわらず,いまだに原因の解明,新規治療薬の開発には至っていないのが現状である.本稿では,これまでの難病の歴史と,今後のサ症の方向性につき述べた.今後の考察の一助となれば幸いである.

  • 金子 恒一郎, 前川 由依, 根本 彩夏, 井上 明宏, 白井 友理恵, 山本 篤志, 長尾 充展, 坂井 修二
    原稿種別: 総説
    2025 年45 巻1_2 号 p. 14-20
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー

     サルコイドーシスは,全身臓器に非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を形成する疾患で,本邦では呼吸器病変,眼病変,心臓病変の頻度が高く,死亡例の多くは心臓病変に起因する.病変の糖代謝を反映するFDG PET/CT検査は,心臓病変の活動性評価において保険適用となっているが,一度に全身撮像を行うため,心外病変の評価にも適している.通常FDG投与約60分後より撮像するstatic画像を用いて,治療前評価,免疫抑制療法の効果判定,再発診断を行うが,半導体検出器を備えたPET/CT撮像機器の登場によりdynamic PET撮像が可能となり,がんや炎症性疾患への臨床応用が期待される.本稿ではサルコイドーシスにおける治療前のFDG-PET/CT所見,FDG高集積を呈する他疾患との鑑別,治療後の集積変化,予後に関して心臓病変,心臓外病変の相違を含めて概説し,当施設のdynamic FDG-PET/CTにおけるサルコイドーシスを含むいくつかの臨床的知見を紹介する.

論壇
  • 河端 美則
    原稿種別: 会議報告
    2025 年45 巻1_2 号 p. 21-27
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー

     サルコイドーシス(以下サ症)の病因はcutibacterium acnes(アクネ菌)とほぼ確定.筆者はサ症を外来性経気道性感染症とし,結核症のそれと比較.結核菌は強毒菌で初感染時に初感染巣を形成するが,サ症はアクネ菌が弱毒菌のためか不明.発病は結核症では感染者の約10%で,サ症は日本では1/10万人以下程度.結核症は初感染発病と内因性再燃に分類され,サ症も同様の発病様式とした.両疾患の初感染発病時の肺門リンパ節腫大,肺門リンパ節腫大+肺病変,並びに肺病変の頻度はほぼ同様.内因性再燃は結核症では肺が中心.自然軽快しないサ症の抗菌薬治療の対照研究を希望した.後天性免疫不全症候群(AIDS)では結核症の頻度は増加し,サ症ではAIDS治療中に顕在化.免疫に影響を及ぼす薬剤では結核症もサ症も増加.これら薬剤が関与するサ症あるいは薬剤によるサ症様反応に免疫染色でアクネ菌の有無の確認を希望した.

解説
  • 中溝 聡
    原稿種別: 論説
    2025 年45 巻1_2 号 p. 28-32
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー

     サルコイドーシスは,原因不明の全身性炎症性疾患であり,多臓器に肉芽腫を形成する.本研究では,1細胞RNAシークエンス解析を用いて,サルコイドーシス患者の肉芽腫を構成する細胞種とその代謝特性を調査した.その結果,TREM2陽性マクロファージが肉芽腫形成において重要な役割を果たし,糖代謝酵素FBP1の発現が顕著に上昇していることが判明した.また,このマクロファージではペントースリン酸回路(PPP)が活性化されており,PPP阻害薬が肉芽腫形成を抑制することをin vitroおよびin vivoモデルで確認した.本研究は,FBP1陽性TREM2マクロファージとPPPがサルコイドーシスの病態形成における新規治療標的となる可能性を示唆し,代謝制御に基づく治療法開発への道筋を提供する.

原著
  • 髙田 研吾, 木下 義晃, 原 啓太, 平井 千晴, 竹中 翔太, 池田 大輝, 宇都宮 琢秀, 中島 章太, 吉村 雅代, 串間 尚子, ...
    2025 年45 巻1_2 号 p. 33-36
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー

     サルコイドーシス患者の皮膚病変は出現頻度が高く,25~30%の患者で認められる.低侵襲な皮膚生検は,診断において重要な手段の1つである.今回,2019年から2022年に福岡大学筑紫病院呼吸器内科で診療した28症例を後方視的に解析し,非皮膚科医による皮膚病変の視診と皮膚生検の有用性を検討した.皮膚病変を伴う患者は9例(32.1%)で,年齢中央値は61歳であった.うち7例は初診時に皮膚病変を有し,全例で皮膚生検により診断が確定された.特異疹や瘢痕浸潤型病変を有する症例が多く,非皮膚科医による視診での発見が可能であった.呼吸器内科を受診したサルコイドーシス患者では,呼吸器病変に対するサルコイドーシス以外の疾患の鑑別は有用であるが,皮膚生検が確定診断の一助となる可能性がある.非皮膚科医による皮膚所見の観察と,皮膚科との適切な連携が,診断精度の向上および患者負担の軽減に寄与することが示唆された.

  • 佐藤 公昭, 前田 章太郎, 金窪 睦, 横田 麻紀, 高橋 謙造, 冨岡 洋海
    2025 年45 巻1_2 号 p. 37-43
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー

     サルコイドーシスは,多臓器に影響を及ぼす比較的まれな疾患であり,診断や治療の遅れが患者のQOLに大きく影響を与える.本研究では,日本国内の患者団体の会員のうち,肺サルコイドーシス患者を対象に,診療に対する希望や課題を自由記載形式で収集し分析した.その結果,専門医や医療機関へのアクセスの困難さ,ステロイド治療への不安,難病認定や更新手続きの負担,非専門医の疾患認知度の低さが課題として挙げられた.これらの課題を解消し,患者のQOLを向上させるためには,多職種連携,専門医の育成,診療体制の整備,および社会全体の認知度向上が必要である.

症例報告
  • 木田 陽子, 吉山 史子, 藤本 さやか, 井上 拓弥, 吉村 聡一郎, 徳重 康介, 益田 隆広, 濱崎 直子, 佐藤 宏紀, 三輪 菜々 ...
    原稿種別: 症例報告
    2025 年45 巻1_2 号 p. 44-48
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー

     症例は32歳男性.クローン病に対しTNFα阻害薬adalimumabで治療中,縦隔・肺門リンパ節腫大と両肺すりガラス陰影が新たに発生した.経気管支肺生検で肉芽腫性炎症を認め,休薬3 ヵ月後に改善を確認し,adalimumabによる薬剤性サルコイド様反応(drug-induced sarcoidosis-like reaction: DISR)と診断した.しかし,同時に原病が悪化し治療選択に難渋した. 代替薬としてIL-12/23阻害薬ustekinumabを開始し,1年以上経過したが, 原病は寛解しDISRは再燃していない.TNFα阻害薬によるDISRの報告は多いが,IL-12/23阻害薬やインテグリン製剤でも少数例が報告されている.生物学的製剤の急速な普及に伴い,稀な有害事象であるDISRの増加が予測される.臨床医は,既存の報告にかかわらず免疫に関わる薬剤によるDISRを発症する可能性に注意する必要がある.

  • 今尾 舞, 稲尾 崇, 伊藤 公一, 髙田 陽平, 門田 和也, 大塚 浩二郎, 桝屋 大輝, 大林 千穂, 鈴木 雄二郎
    原稿種別: 症例報告
    2025 年45 巻1_2 号 p. 49-52
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー

     症例は40歳女性.湿性咳嗽を主訴に近医を受診し,胸部CTで増加・増大する多発肺結節・胸膜病変を認め,確定診断目的にビデオ下胸腔鏡手術(VATS)による肺生検が施行された.CT所見やVATS時の肉眼所見では非特異的な小結節のみであったが,肺生検の病理所見では臓側胸膜と肺内に多数の類上皮細胞肉芽腫を認め,抗酸菌培養が陰性であることと併せてサルコイドーシスと診断された.VATSによる肺生検が臓側胸膜病変を有するサルコイドーシスの確定診断に有用なことがある.

  • 三宅 浩生, 太田 宏樹, 坂本 穆彦, 飯原 久仁子, 太田 智裕
    原稿種別: 症例報告
    2025 年45 巻1_2 号 p. 58-63
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー

     症例は48歳男性.2年前から気管支喘息の診断で加療していたが症状改善せず,副鼻腔炎や発熱・両下腿の疼痛も出現した.難治性喘息精査目的に当科受診となった.血液検査では好酸球を主体とした白血球上昇とトロポニンの上昇を認めた.ANCAは陰性であった.胸部CTでは,両側びまん性の小粒状影とすりガラス影および小葉間隔壁の肥厚を認めた.組織所見では,肺胞腔内,肺胞壁,血管壁に好酸球浸潤を認め,弾性染色では内弾性板の断裂を観察したが,フィブリノイド壊死には至っておらず,組織学的確定診断には至らなかった.臨床的に好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)と診断し,プレドニゾロン60 mg/日での加療を開始した.プレドニゾロンによる好酸球数低下の反応が悪く,また心筋障害も認められため,シクロフォスファミド静注(IVCY)900 mgを2週間おきに6コース施行し,抗IL-5抗体300 mgも4週間おきに併用し,病勢コントロールが得られた.

  • 大場 久乃, 岩泉 江里子, 中村 祐太郎, 大嶋 智子, 永福 建, 伊藤 靖弘, 藤田 薫, 三輪 清一, 金井 美穂, 白井 正浩
    原稿種別: 症例報告
    2025 年45 巻1_2 号 p. 64-70
    発行日: 2025/10/01
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル フリー

     過敏性肺炎(hypersensitivity pneumonitis: HP)は繰り返される吸入抗原への曝露により生じる間質性肺疾患(interstitiallung disease: ILD)であり,抗原や宿主要因により多様な臨床像を呈する.家族内発症例の報告はあるが,異なる環境・原因により兄弟がHPを発症した例は稀である.今回我々は,加湿器肺と診断された弟,およびピーナツに関連した職業性過敏性肺炎が疑われた兄の兄弟例を経験したので報告する.本例は,遺伝的素因と環境曝露が複雑に関与するHPの病態,さらには家族性間質性肺炎(familial interstitial pneumonia: FIP)の表現型の多様性を考察する上でも,貴重な症例と考えられた.

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