日本口腔内科学会雑誌
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25 巻, 1 号
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原著
  • 中川 知里, 津島 文彦, 櫻井 仁亨, 上杉 篤史, 佐藤 潔, 尾田 誠一郎, 原田 浩之
    2019 年 25 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/30
    ジャーナル フリー
    類天疱瘡は,上皮下水疱を呈する自己免疫性水疱症である。2007年から2017年の間に類天疱瘡と診断された24例について臨床病理学的検討を行ったので報告する。内訳は,粘膜類天疱瘡が21例,水疱性類天疱瘡が3例であった。性別は男性5例,女性19例,年齢は44歳から91歳(中央値65.5歳)であった。口腔内での発生部位は歯肉が19例と最も多く,頬粘膜が7例,口蓋が6例であった。口腔内病変のみ認めたのは18例であった。治療法は,ステロイドの全身投与が12例,局所投与が12例であった。局所投与の12例中8例は,ミノサイクリン塩酸塩,ジアフェニルスルフォンおよびニコチン酸アミドが単独または併用で投与されていた。全例の病状は改善し,現在も再燃に注意しながら経過観察を行っている。類天疱瘡は,口腔内のみに病変を認める症例も多く,皮膚科と連携し早期に診断し適切な治療を行う必要があると思われた。
症例報告
  • 三上 俊彦, 船山 昭典, 金丸 祥平, 新美 奏恵, 丸山 智, 小林 正治
    2019 年 25 巻 1 号 p. 10-15
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/30
    ジャーナル フリー
    患者は60歳の女性で,右側上顎の疼痛を主訴に受診した。当科受診7年前に他院で左側舌縁部扁平上皮癌の診断で舌部分切除術と術後放射線治療を受けていた。当科初診時,右側上顎,左側頬粘膜,下顎唇側歯肉に腫瘍性病変を認め,生検の結果3部位とも扁平上皮癌の診断であった。右側上顎骨部分切除術,左側頬粘膜部腫瘍切除術および下顎骨辺縁切除術を施行したが,原発巣の再発と頸部転移を認め,制御不能となり当科における初回手術から3年後に永眠された。
  • 上杉 篤史, 津島 文彦, 清水 梨沙, 中川 知里, 佐藤 潔, 櫻井 仁亨, 原田 浩之
    2019 年 25 巻 1 号 p. 16-19
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/30
    ジャーナル フリー
    口内炎を契機に診断された第二期梅毒の1例を経験した。患者は24歳女性。口内炎の治癒不全を主訴に当科を受診した。舌・口蓋に潰瘍と口峡炎の所見を認めた。TPHA,RPRは定性値,定量値ともに陽性であった。口蓋から生検を行い抗Treponema pallidum抗体による免疫組織化学染色は陽性であった。扁平コンジローマも認め第二期梅毒と診断し,ABPCの投与で治癒に至った。 梅毒は口腔病変が先行するため早期発見は重要である。
  • 北村 直也, 大野 清二, 山本 哲也
    2019 年 25 巻 1 号 p. 20-24
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/30
    ジャーナル フリー
    黄色肉芽腫性組織反応とは組織球を主体とした肉芽腫を形成する炎症性変化で,本反応が唾液腺組織に生じる黄色肉芽腫性唾液腺炎は極めてまれである。今回,舌下腺に生じた黄色肉芽腫性唾液腺炎の1例を報告する。患者は68歳の女性。右側口底部の粘膜下に径約1cm,弾性やや硬の腫瘤を触知した。舌下腺腫瘍を疑い切除生検を行ったところ,病理組織学的診断は黄色肉芽腫性唾液腺炎であった。現在,術後2.5年,再発は認められていない。
  • 小池 将人, 池浦 一裕, 藤田 康平, 清水 博之, 加藤 伸, 宮下 英高, 中川 種昭, 角田 和之
    2019 年 25 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/30
    ジャーナル フリー
    Behçet病は多彩な症状を呈する原因不明の炎症性疾患で,腸管Behçet病は稀な病型である。今回われわれは長期経過を辿り診断に苦慮した腸管Behçet病を経験した。56歳女性で,10年前より再発性口腔内アフタ,発熱,皮膚紅斑,腹痛が散発的に生じるも診断に至らず,今回症状が同時に発症し,内視鏡検査にて腸管Behçetと診断された。再発性口腔内アフタを診断する際には,病歴や全身症状の把握が重要になる。
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