局所麻酔薬による神経ブロックは, 急性痛の治療に劇的な鎮痛効果を発揮することから, 慢性の難治性疼痛の治療にも利用されてきた. しかし, 難治性疼痛の場合, 神経ブロックで痛みが和らいだとしてもやがて元の痛みが現れることが多い. 神経ブロックは侵襲手段であるため, 一時しのぎのために頻回に繰り返し実施すべきでなく, 他の鎮痛手段も利用して神経ブロックを行う回数は減らすべきであろう. 一方, 神経ブロックが, 難治性疼痛患者の痛みを和らげ, 身体的, 心理社会的な機能回復を促すのに役立つならば, 有意義なものとなるであろう.
神経ブロックは, 難治性疼痛の診断や予後判定に利用されてきたが, 結果を単純に解釈すると, その後の治療が誤った方向に導かれるかもしれない. 結果の解釈に当たっては, 神経ブロックの感受性と特異性に影響を及ぼすさまざまな要因を考慮しなければならない. 神経ブロックは, 急性痛から慢性痛への移行を防止するために利用されてきたが, 本当にそのために役立っているのか今のところ明らかでない.
ここでは, 難治性疼痛疾患の代表である複合性局所疼痛症候群と帯状疱疹後神経痛を取り上げ, おもに交感神経ブロックの役割について解説した.
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