持続硬膜外カテーテル留置には, 硬膜外膿瘍や髄膜炎という重篤な合併症があり, 感染予防対策が重要である. われわれは, 2002年9月, 硬膜外膿瘍の1症例を経験し, 硬膜外カテーテル挿入時および留置時の感染予防対策を変更し強化した. 現在, 0.5%グルコン酸クロルヘキシジン含有80%エタノールまたはポビドンヨードによる消毒に加えて, バイオパッチ
®を使用し, 薬液投与は自己疼痛管理 (PCA) 装置による注入のみとし, 薬液の充填は麻酔科医または麻酔科外来看護師のみとしている. これらの対策開始の以前1年間と以後1年間における, 持続硬膜外カテーテル管理症例100例を対象に, 年齢, 性別, カテーテルの留置期間, 留置部位, 診断名, 既往歴, 抜去理由, 感染の有無を後ろ向きに調査した. 対策以前に硬膜外カテーテルを留置した患者65例中, 感染を起こした患者は13例, 対策以後に硬膜外カテーテルを留置した患者35例中, 感染を起こした患者は皆無であり, 感染発生頻度に有意差がみられた.
当院で施行している, 持続硬膜外カテーテル留置患者に対する新しい感染予防対策は, カテーテル感染防止に有用であった.
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