局所麻酔薬を使用したイオントフォレーシスや, 直線偏光近赤外線局所照射は, 帯状疱疹痛に対する神経ブロックの代替治療として知られている. われわれは, 神経ブロック非適応の激しい帯状疱疹痛患者8例を対象に, 直線偏光近赤外線局所照射を併用したイオントフォレーシスを行い, その実施状況と臨床経過を追跡して治療効果を検討した. 神経ブロック非適応症例は全体の6.2%であった. 初回治療によって痛みが平均34.6%に減少し, 治療開始から治癒までに要した日数は平均73.3日, 1人当たりの施行回数は平均32回で, 治療による合併症はみられなかった. 鈍痛や痺れに対する効果は得られなかったが, 鋭く疼くような痛みや電撃痛には効果が得られ, 8例の患者すべてが, 治療が有効であったと回答した. また手技が簡単であるだけでなく, 安全にかつ苦痛を伴うことなく繰り返し行うことが可能であり, 神経ブロックができない激しい帯状疱疹痛の治療法として, 直線偏光近赤外線局所照射を併用したイオントフォレーシスは有効であると思われた.
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