日本ペインクリニック学会誌
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19 巻 , 1 号
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総説
  • 村井 邦彦, 酒井 大輔, 中村 嘉彦, 中井 知子, 鈴木 英雄, 五十嵐 孝, 竹内 護, 村上 孝, 持田 讓治
    19 巻 (2012) 1 号 p. 1-8
    公開日: 2012/03/07
    [早期公開] 公開日: 2012/02/16
    ジャーナル フリー
    椎間板ヘルニアに伴う神経痛の病態には,神経根の炎症機序が関与している.その一因に,椎間板髄核が自己の組織として認識されない隔絶抗原であるので,髄核の脱出に伴い自己免疫性炎症が惹起されることが考えられる.一部の髄核細胞の細胞表面には,眼房細胞などの隔絶抗原にみられる膜タンパクFasリガンドが存在し,Fas陽性の免疫細胞のアポトーシスが惹起され,自己免疫反応は抑制されるが,二次的に好中球の浸潤が惹起され,炎症を来す可能性がある.近年,われわれはマクロファージやナチュラルキラー細胞などの細胞免疫反応が,椎間板ヘルニアに伴う痛みの発現に関与することを示した.Fasリガンドや,細胞免疫の初期に発現するToll 様受容体に着目すれば,坐骨神経痛の新たな治療法が開発できる可能性がある.
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原著
  • 酒井 一介, 澄川 耕二
    19 巻 (2012) 1 号 p. 9-13
    公開日: 2012/03/07
    [早期公開] 公開日: 2012/02/16
    ジャーナル フリー
    【目的】われわれは持続硬膜外モルヒネ鎮痛の副作用を後ろ向きに検討した.【方法】対象は開胸または開腹の予定手術を受けた患者227名とした.硬膜外チューブを挿入した後に局所麻酔薬を注入し,効果を確認した後に全身麻酔を行った.硬膜外腔には手術開始前にモルヒネ2-4 mgを1%メピバカイン2 mlとともに投与し,引き続き1日あたりモルヒネ2-4 mgを局所麻酔薬12-24 mlとともに投与した.手術翌日の診療録に記載された患者にとって不快な症状を,他の原因が明らかなものを除外し,硬膜外モルヒネの副作用とした.口渇,尿閉,便秘は除外した.【結果】頻度の多い訴えは,悪心・嘔吐(18.5%),掻痒(16.3%)であった.つづいて,ふらつき・めまい(9.7%),幻覚・錯乱(7.9%),眠気(7.0%),発汗(3.1%)であった.まれな合併症としてミオクローヌス(0.4%)がみられた.硬膜外モルヒネによると判断された呼吸抑制はなかった.硬膜外モルヒネ鎮痛の中止は4.4%で,その原因は,血圧低下3症例,悪心3症例,掻痒2症例,めまい1症例,不穏1症例であった.結論:硬膜外モルヒネ鎮痛の主な副作用は悪心・嘔吐,掻痒,ふらつき・めまいである.われわれの症例では,呼吸抑制はなかった.
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  • 松浦 康荘, 吉田 仁, 神谷 和男, 荒井 理歩, 小宮 良輔, 三由 治美, 岩瀬 康子, 黒田 康子, 田中 那々, 長崎 晶美
    19 巻 (2012) 1 号 p. 14-18
    公開日: 2012/03/07
    [早期公開] 公開日: 2012/02/16
    ジャーナル フリー
    【目的】人工膝関節置換術の術後痛に間欠的あるいは持続大腿神経ブロックを行い,鎮痛効果を前向きに検討した.【方法】人工膝関節置換術が予定された20症例で,全症例を全身麻酔で行った.大腿神経ブロックは手術終了後,麻酔覚醒前に超音波ガイド下に,神経刺激装置を併用して行った.0.3%ロピバカイン20 mlボーラス投与後,0.2%ロピバカインを間欠的投与群(n=13)では1時間ごとに4 ml投与し,持続投与群(n=7)では4 ml/時で持続投与した.痛みが発現した時にペンタゾシン15 mgを筋注した.痛みは数値評価スケール,ペンタゾシン使用回数,膝関節可動域,患者満足度で評価した.【結果】術後の痛みの程度,膝関節可動域,患者満足度に両群間で有意の違いはなく,術翌日の間欠的投与群のペンタゾシン使用回数だけが持続投与群より有意に少なかった.術後鎮痛が満足ではないと間欠的投与群の50%,持続投与群の約30%が答えていた.【結論】膝関節置換後の鎮痛を,間欠的あるいは持続的大腿神経ブロックで行ったが,鎮痛効果は十分ではなく,ペンタゾシン使用回数が間欠的投与群で手術翌日に少なかった以外に明らかな違いはなかった.膝関節置換後の術後鎮痛法は,今後の検討が必要である.
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  • 泉 薫, 松山 博之
    19 巻 (2012) 1 号 p. 19-24
    公開日: 2012/03/07
    [早期公開] 公開日: 2012/02/16
    ジャーナル フリー
    脊髄硬膜外膿瘍は腰背部痛の原因としてまれであるが,重篤な神経障害を生じることがある.われわれは飯塚病院で2001年から8年間に脊髄硬膜外膿瘍と診断された16症例の患者背景,症状,検査所見,治療,予後を後ろ向きに検討した.脊髄硬膜外膿瘍の頻度は入院7,000症例に1症例であった.平均年齢は66歳で,多くは糖尿病,アルコール多飲などの危険因子を有していた.全症例で,腰背部痛が生じ,何らかの炎症所見があり,MRIで確定診断された.起因菌はブドウ球菌が最も多かった.すべての症例に抗菌薬が投与され,8症例で減圧手術が行われた.神経学的異常が軽微な症例では,内科的治療のみでも予後が良好であった.減圧手術の有無にかかわらず治療開始直前の神経学的異常が重篤なほど,予後は不良であった.腰背部痛で発熱や炎症所見がある場合には脊髄硬膜外膿瘍を疑い,早期にMRI検査を行う必要があり,顕著な神経学的異常がある場合には速やかな減圧手術が必要である.
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  • 小林 如乃, 米良 仁志, 野村 忍
    19 巻 (2012) 1 号 p. 25-30
    公開日: 2012/03/07
    [早期公開] 公開日: 2012/02/16
    ジャーナル フリー
    線維筋痛症(fibromyalgia syndrome:FMS)は痛みだけでなく種々の身体症状や精神症状を呈する疾患である.本邦では心理尺度を用いたFMS患者の心理的特徴に関する報告は少なく,これを調査し把握することを目的とした.FMS患者(n=20)で精神健康調査票(general health questionnaire:GHQ)を用いて調査し,FMS以外の慢性痛患者(非FMS慢性痛患者,n=20)を対照に比較した.さらに,FMS患者にはハミルトンうつ病評価尺度(Hamilton’s rating scale for depression:HRSD)による評価を行った.罹病期間はFMS患者24.1カ月,非FMS慢性痛患者54.1カ月であった.FMS患者のGHQ総合得点と全下位尺度得点は非FMS慢性痛患者より有意に高く,HRSDの結果中等度のうつ状態にあることが示された.これらのことから,FMS患者は著しく精神的健康度が低く,心身ともに疲弊していることが示唆され,治療の際には痛みだけでなく精神症状や心理社会的要因も含めた評価と治療が不可欠であると考えられる.
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  • 小林 如乃, 米良 仁志, 野村 忍
    19 巻 (2012) 1 号 p. 31-39
    公開日: 2012/03/07
    [早期公開] 公開日: 2012/02/16
    ジャーナル フリー
    電気痙攣療法(ECT)が適応となる慢性痛患者(ECT患者)は持続する激痛のため日常生活動作や生活の質が著しく低下していることが多く,他の慢性痛患者(非ECT慢性痛患者)に比べて精神的健康度が低いことが考えられる.そのため,ECT患者の心理精神的諸問題を把握することは重要である.そこで,これらの問題をCornell medical index(CMI:コーネル大学健康調査票)とHamilton’s rating scale for depression(ハミルトンうつ病評価尺度)を用いて,ECT患者(37名)と非ECT慢性痛患者(37名)の比較を行った.その結果,ECT患者は非ECT慢性痛患者に比べて身体的ならびに精神的自覚症状が強いことに加えて,神経症の状態にある患者が多く,また中等度・重度の抑うつ状態にあり,精神的健康度がきわめて低いことが示唆された.ECTは痛みの改善を目的とする治療法としては特殊な選択肢であり,精神科に入院するという受療環境面の問題もあるため,ECT患者の精神・心理面への援助が必要であると考える.
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症例
  • 木村 健
    19 巻 (2012) 1 号 p. 40-43
    公開日: 2012/03/07
    [早期公開] 公開日: 2012/02/16
    ジャーナル フリー
    帯状疱疹後神経痛の治療開始1カ月後に自殺企図を起こした1症例を報告する.79歳の女性で,帯状疱疹のために,急性期より強い痛みが持続し,不眠となっていた.鎮痛薬で痛みが軽減せず,副作用で日常生活動作が著しく障害されていたので,当科を紹介された.当科受診後,薬物による副作用は改善したが,痛みの治療に難渋した.神経ブロックによる治療を後日予定し,退院した.退院の翌朝に自殺目的で服薬し,意識が消失した状態で家人に発見された.本患者は,精神神経疾患の既往はなく,入院中に自殺念慮を示唆する明らかな言動はみられなかった.再入院後,頸部硬膜外ブロック,星状神経節ブロックを施行しながら精神科医による治療を受け,痛みは軽減した.高齢者の慢性痛患者では,自殺の可能性に留意する必要があると考えられた.
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  • 牛尾 倫子, 住谷 昌彦, 辛 正廣, 四津 有人, 大竹 祐子, 戸島 美智生, 張 雅素, 関山 裕詩, 山田 芳嗣
    19 巻 (2012) 1 号 p. 44-47
    公開日: 2012/03/07
    [早期公開] 公開日: 2012/02/16
    ジャーナル フリー
    脊髄刺激療法(spinal cord stimulation:SCS)は難治痛に有用であり,最近はパーキンソン病などの運動変性疾患にも応用されている.今回,脊髄変性症による両下肢痙性不全麻痺を呈していた61歳男性にSCSを行い,下肢運動機能への影響を,光学式三次元動作分析システムを用いて評価したので報告する.患者は,発症時から動作(特に座位からの立ち上がり動作)時に左腰痛が起こり,痛みは徐々に増強し,数値評価スケール(numerical rating scale:NRS)で8であった.各種の薬物療法に抵抗性であったので,第10胸椎レベルでのSCSを行い,痛みはNRSで5に改善した.座位からの立ち上がり動作の分析で,SCS施行前には5.5±0.5秒を要していたがSCS後には4.0±0.1秒(P<0.05)に短縮した.さらに,SCS使用時は骨盤と体幹のアライメントが10.0±6.8°前傾(P<0.05)し,歩行姿勢が改善した.SCSの効果判定には痛みだけの改善でなく,生活の質全体への影響が求められ,三次元動作分析システムを用いた運動機能評価はその一助となりうる.
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  • 河端 崇, 御村 光子, 宮本 奈穂子, 枝長 充隆
    19 巻 (2012) 1 号 p. 48-51
    公開日: 2012/03/07
    [早期公開] 公開日: 2012/02/16
    ジャーナル フリー
    下肢のコンパートメント症候群による痛みと感覚・運動神経障害に静脈内局所ブロックが著効した症例を報告する.患者は32歳の男性で,Marfan症候群に合併した急性大動脈解離で,Bentall手術が施行された.手術中に右大腿動静脈より人工心肺の送脱血管が挿入され,体外循環時間は7時間33分であった.手術後に右下肢のコンパートメント症候群が生じ,減張筋膜切開が行われたが,右足関節より末梢の痛みと感覚・運動障害を生じ,右下腿から足部の浮腫,垂足も発現した.痛みの治療のために当科を紹介された.抗血栓療法を施行中であったので神経ブロックを選択しなかった.下腿に駆血帯を装着し,リドカイン,デキサメタゾンを用いた静脈内局所ブロックを,駆血時間は5分間で,駆血圧は250 mmHgで,8回施行した.ブロック後より痛みは軽減し,夜間良眠できるようになった.また,浮腫と感覚・運動機能が改善し,理学療法も進んだ.駆血時間,使用薬物等に配慮すれば,コンパートメント症候群の病態改善に静脈内局所ブロックは,有用性がある治療法と考えられた.
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  • 岡部 格, 佐藤 千代, 荒井 雅江, 幸田 修典, 河原 裕泰, 鈴木 規仁, 中西 一浩, 村田 智, 坂本 篤裕
    19 巻 (2012) 1 号 p. 52-55
    公開日: 2012/03/07
    [早期公開] 公開日: 2012/02/16
    ジャーナル フリー
    Negative-balance isolated pelvic(NIPP)による閉鎖循環下骨盤内抗がん薬灌流療法は抗がん薬を動脈内に注入する新しい治療法で,血管内に留置したバルーンカテーテルとターニケットにより骨盤部に閉鎖循環を作り,骨盤内に限局させて高容量の抗がん薬を投与し,抗腫瘍効果を高める方法である.今回,横行結腸癌の仙骨浸潤による痛みがNIPP後に軽減した症例を報告する.患者は51歳の男性で,横行結腸癌の局所再発に対し,放射線照射と化学療法を施行したが腫瘍は増大していた.腫瘍の仙骨浸潤による痛みがあり,高容量のモルヒネの持続静注にもかかわらず,痛みは数値評価スケール(NRS)で9であった.NIPPを2回施行後に,痛みはNRSで1~2に減少した.従来の化学療法で腫瘍が縮小せず,通常の薬物療法でも鎮痛が得られない症例にはNIPPが痛みを軽減する一手段になりうると思われた.
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  • 井上 卓郎
    19 巻 (2012) 1 号 p. 56-60
    公開日: 2012/03/07
    [早期公開] 公開日: 2012/02/16
    ジャーナル フリー
    三叉神経痛の多くは動脈による神経への圧迫が原因である.しかし,動脈の他に静脈,腫瘍,くも膜の癒着などが関与した症例も少なからず存在する.当院では,三叉神経痛の患者では,単純および造影MRIで精査し,さらにガンマナイフ治療計画ソフトである「Gamma Plan®」の描画機能を利用して三叉神経周囲の三次元画像を作成している.本稿では,薬物抵抗性の三叉神経痛の114症例の中で,画像診断で静脈の圧迫が原因と判断し,手術で静脈が三叉神経を圧迫していることが確認され,手術直後から痛みが消失した3症例を報告する.静脈の圧迫が原因の三叉神経痛では,典型的な電撃痛を呈さないことがある.責任血管が細い静脈では,単純MRIのみでは診断が困難なことがある.手術では静脈が上錐体静脈洞に流入していることがあり,減圧操作に苦慮することも多い.画像所見で動脈の圧迫が明確でない三叉神経痛では,静脈の関与を考慮する必要がある.
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その他
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