日本ペインクリニック学会誌
Online ISSN : 1884-1791
Print ISSN : 1340-4903
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19 巻 , 2 号
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総説
  • 伊吹 京秀
    19 巻 (2012) 2 号 p. 71-80
    公開日: 2012/06/20
    [早期公開] 公開日: 2012/05/30
    ジャーナル フリー
    近年医学研究の進歩はめざましく,痛みの研究については,米国議会の決議した1990年からのThe Decade of the Brainや2001年からのDecade of Pain Control and Researchキャンペーンにより,新たな知見が集積されてきた.しかし残念ながら,難治性の痛みの画期的な治療を生み出すには至っていない.その実現には,われわれ実地医家も基礎にある科学的知識を習得する必要がある.本稿では,このような視点から痛み学説の変遷,痛覚神経系の特徴,痛覚伝導の仕組み,末梢感作,中枢感作を解説する.
    20世紀初頭われわれが受け継いだ痛みの理論は,17世紀以来のデカルトの特異説であるが,1965年革命的なゲートコントロール説が提唱され多くの疑問が解決された.しかしその後,機序の解明されていない現象を説明できる新たな学説はまだ日の目を見ていない.人間の痛みを対象として診療を行っているという非常に有利な立場から,われわれには新たな発想で画期的な説を打ち出せる可能性がある.本稿が実地医家の方々に何らかの影響を及ぼすことになれば,幸いである.
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原著
  • 山内 正憲, 新谷 知久, 大沼 淳, 水口 亜紀, 渡邊 昭彦, 山蔭 道明
    19 巻 (2012) 2 号 p. 81-85
    公開日: 2012/06/20
    [早期公開] 公開日: 2012/04/27
    ジャーナル フリー
    【目的】安全で的確な硬膜外穿刺を行うために,実際の硬膜外穿刺と脊髄周囲の各種画像検査で計測した皮膚から硬膜までの距離について,正確性と有用性について検討した.【方法】腰部硬膜外麻酔の適応があり,穿刺部位の単純X線側面像,X線CT画像,MRI画像が撮影されている患者30例を対象とし,各画像の皮膚-硬膜距離を計測した.側臥位で超音波矢状断像と水平断像で皮膚-硬膜距離を計測した後に硬膜外穿刺を行い,実際の穿刺距離を記録し,背景因子および各画像上の計測距離と比較検討した.【結果】各画像上の皮膚-硬膜距離は穿刺距離,体重,肥満指数との相関が高かった(P<0.05).単純X線側面とX線CTでの計測は実際の穿刺距離との誤差の範囲が大きく,超音波矢状断像および水平断像実際は実際の穿刺距離との誤差の範囲が小さく,一致性も高かった(r=0.96,P<0.001).【結論】画像検査の皮膚-硬膜距離の計測は精度が高く,特に超音波画像では実際の穿刺距離ときわめて高い一致性があるため,より適切かつ安全な硬膜外穿刺が可能と思われる.
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症例
  • 渡辺 逸平, 持田 崇, 山本 豪, 森平 貴, 松橋 麻里
    19 巻 (2012) 2 号 p. 86-89
    公開日: 2012/06/20
    [早期公開] 公開日: 2012/04/27
    ジャーナル フリー
    硬膜外ブロック後に脊髄ミオクローヌスと思われる下肢の不随意運動を生じた症例を報告する.患者は86歳の女性で,帯状疱疹後神経痛の治療で持続硬膜外中に,1%メピバカイン6 mlを硬膜外に単回注入した.約30分後より,右足全体の強直性の異常運動が発現し,強さと頻度が次第に増強し,45分後には左下肢にも発現した.その間の意識は清明で,自分で異常運動を制御するのは不可能であった.下肢の異常運動は,約1時間持続し,2時間後より回数が減少し,約3時間後にはほぼ消失し,歩行が可能となった.MRIでは,硬膜外カテーテル刺入部付近に明らかな異常所見はなかったが,C4からC7レベルに背髄空洞症の所見があった.硬膜外カテーテルによる機械的な刺激や血腫,神経損傷などは考えられず,脊髄ミオクローヌスと判断した.
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  • 東澤 知輝, 湯浅 晴之, 武田 聡士
    19 巻 (2012) 2 号 p. 90-93
    公開日: 2012/06/20
    [早期公開] 公開日: 2012/04/27
    ジャーナル フリー
    多回脊椎手術後に生じた難治性腰下肢痛を訴える5症例に対し,ステロイドを加えた脊髄くも膜下ブロックを実施し,良好な結果を得たので報告する.3回の硬膜外ブロックとメキシレチン150 mgとバクロフェン15 mg(各分3),アミトリプチリン25 mg(眠前)内服を行ったが無効であった5名の高齢者(年齢74~89歳)を対象とした.これら5名に対し,0.5%リドカイン1 mlとデキサメタゾンリン酸エステルナトリウム3.3 mgを用いた脊髄くも膜ブロックを2週間隔で7回実施し,治療開始から14週が経過したところで,痛み治療の効果を視覚アナログスケール(visual analogue scale:VAS,mm)で評価した.治療前と治療後の痛みは,症例1:74 mm→33 mm,症例2:62 mm→60 mm,症例3:81 mm→5 mm,症例4:78 mm→29 mm,症例5:100 mm→25 mmと,5例中4例で痛みの軽減が得られた.痛みが軽減しなかった症例2では,治療前の腰下肢痛が広範囲であった.ステロイドを加えた脊髄くも膜下ブロックは,多回脊椎手術後の腰下肢痛治療に有用である可能性が示唆される.
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  • 岩田 人美, 岡崎 敦
    19 巻 (2012) 2 号 p. 94-97
    公開日: 2012/06/20
    [早期公開] 公開日: 2012/05/30
    ジャーナル フリー
    帯状疱疹後神経痛(以下,PHN)治療中に発症したcrowned dens syndrome(以下,CDS)の診断に難渋した症例を経験したので報告する.症例は78歳女性.左胸部に発症したPHNのためブプレノルフィン口腔粘膜錠(FTB-8127)の第3相臨床試験に参加した.治験開始後1週間でPHNの痛みは軽減したものの,強い頸部痛,後頸部の熱感と頭部後屈制限が発現した.咽後膿瘍や髄膜炎を疑がったが諸検査から否定され,脊椎CTでは,環椎横靱帯に淡い石灰化沈着があり,CDSと診断した.非ステロイド性抗炎症薬投与を行い1週間後には後頸部痛は消失した.CDSは,急激に発症し,強い頸部痛,嚥下痛と頭部後屈制限を呈する疾患であり,確定診断は強い炎症反応と歯状突起周囲環椎横靱帯の石灰化で行う.急激に発症し,強い頸部痛と頭部後屈制限を呈する症例ではCDSを念頭に置く必要がある.
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  • 星野 陽子, 住谷 昌彦, 日下部 良臣, 佐藤 可奈子, 冨岡 俊也, 小川 真, 関山 裕詩, 山田 芳嗣
    19 巻 (2012) 2 号 p. 98-102
    公開日: 2012/06/20
    [早期公開] 公開日: 2012/04/27
    ジャーナル フリー
    エピドラスコピーは腰部脊柱管狭窄症などによる痛みに対して,硬膜外腔の癒着剥離および神経根周囲の洗浄を目的として行われる治療手技である.このようなエピドラスコピーの利用法とは異なり,腰部脊柱管硬膜外腔内嚢胞性病変による腰下肢痛に対して,エピドラスコピーを造影のために使用し,Tuohy針による穿刺によって嚢胞性病変の縮小と痛みの緩和に成功した1症例を経験したので報告する.症例は52歳の女性である.半年前から左臀部痛および左下肢痛を発症し,腰椎MRI所見から第4腰椎硬膜外腔内の嚢胞性病変による第5腰髄神経根の圧迫が痛みの原因と診断した.嚢胞性病変の成因としては第4/5腰椎椎間関節滑液嚢胞が示唆された.まず行われた低侵襲治療である椎間関節ブロック,腰部硬膜外ブロック,薬物療法では痛みは軽減しなかった.そこで,エピドラスコピーを用いて直視的に嚢胞を穿破しようと試みた.しかし,エピドラスコピー本体での穿破は硬度が足りず成功しなかったため,硬膜外腔の局所的な造影で不染部から嚢胞の位置を同定し,第4/5腰椎椎間板間隙からTuohy針を穿刺し嚢胞内容の減量に成功した.穿刺直後から痛みは軽減し,その後の腰椎MRIでは嚢胞性病変が縮小した.
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  • 駒澤 伸泰, 野間 秀樹, 杉 崇史, 助永 憲比古, 垣内 英樹, 竹井 清純, 松田 良信
    19 巻 (2012) 2 号 p. 103-106
    公開日: 2012/06/20
    [早期公開] 公開日: 2012/05/30
    ジャーナル フリー
    51歳,女性.中下咽頭癌に対し喉頭全摘術,遊離空腸再建術後の患者であった.頻回の嘔吐による経口摂取不能に引き続いて,痛みと呼吸困難が増悪し緊急入院となった.入院前の右側胸部の痛みのコントロールはフェンタニル貼付剤8 mg/日,プレガバリン75 mg/日,エトドラク400 mg/日,呼吸困難に対しモルヒネ速放製剤5 mg/回,疼痛に対し30 mg/回を頓用処方しており,痛みはNRSで 3-4であった.その後頻回の嘔吐が出現したため内服は不可能になり,塩酸モルヒネおよびケタミンの持続静脈内投与を開始したが効果がなかった.さらに,リドカイン100 mgの投与にて一時的に痛みは緩和されるものの痛みはNRSで4-6であった.痛みのみならずしびれ等もみられ神経障害性疼痛が疑われた.第7,8,10肋骨に右肺転移腫瘍による浸潤によると考えられる溶骨性変化を認め,無水アルコール1.5 mlをそれぞれ3肋間神経に投与したところ,持続的に良好な痛みのコントロールを得た.胃瘻造設後に在宅療養のために退院した.経口摂取不能の患者において転移性肺腫瘍の肋間神経浸潤による神経障害性疼痛に対し肋間神経ブロックにて痛みのコントロールを行った1例を経験した.
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  • 白澤 円, 安藤 智子, 福内 清史, 中川 美里, 比嘉 正祐
    19 巻 (2012) 2 号 p. 107-110
    公開日: 2012/06/20
    [早期公開] 公開日: 2012/05/30
    ジャーナル フリー
    外来通院から在宅緩和ケアに移行した末期癌患者で,高周波熱凝固により,オピオイドを増量することなく痛みを管理し得た症例を経験したので報告する.46歳の男性.腰背部痛,下肢脱力を自覚し,精査で膵臓癌Stage IV,多発骨転移と診断されオピオイドが導入されたが,痛み管理不良で当院を受診し,オピオイド増量,硬膜外ブロック,肋間神経ブロックを行った.病状進行に伴い,脊髄損傷,胸水貯留,肺炎,呼吸不全で入院したが,在宅死を熱望,在宅酸素を導入して退院し,在宅緩和ケアに移行した.フェンタニル貼付剤で安静時痛は管理できたが,体動時痛が強く,傾眠で増量は困難であった.在宅で第6,7肋間神経高周波熱凝固,入院して第7胸神経根高周波熱凝固を行い,フェンタニル貼付剤が半減でき,傾眠が改善した.その後,痛みの増悪に伴い,在宅で第 3,4肋間神経高周波熱凝固を施行することで,オピオイドを増量せず,最後まで自宅で仕事を続けたいとの希望に沿った在宅療養が可能であった.骨転移による体動時痛は,薬物療法で管理困難なことが多いが,神経ブロックは有用な場合があり,在宅緩和ケアにおいて用いることで,診療の質を上げる可能性がある.
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  • 水上 奈穂美, 新谷 知久, 山内 正憲, 橘 信子, 高橋 三佳, 山蔭 道明
    19 巻 (2012) 2 号 p. 111-114
    公開日: 2012/06/20
    [早期公開] 公開日: 2012/05/30
    ジャーナル フリー
    上腕骨悪性腫瘍に対して肩甲帯離断術を施行した患者における,術後の幻肢痛ならびに幻肢感覚に対してガバペンチンが奏効した3症例を経験したので報告する.症例1は切断後5日目にnumerical rating scale(NRS)で2-3/10の幻肢痛が出現し,オキシコドン(10 mg,分2)で対応したが,14日目より幻肢痛がNRSで8/10と増悪したためガバペンチン300 mg/日を開始したところ,痛みはNRSで0-1/10に改善した.症例2は切断前から腫瘍による神経障害痛が出現しており,ガバペンチン300 mg/日の投与によりNRSで5/10から3/10になり痛みの程度の改善を認めた.切断後9日目より生じた右上腕全体の幻肢感覚に対しても,同量のガバペンチンが奏効し幻肢感覚は消失した.症例3は切断後2日目より重量感を伴う幻肢痛が出現したが,ガバペンチン600 mg/日で痛みはNRSで6/10から2/10に改善した.四肢切断後の幻肢痛や幻肢感覚に対して,ガバペンチンは有効であることが示唆された.
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