同意を得た気管支喘息10例 (喘息群) とボランティア5例 (対照群) を対象に, 空気再呼吸による軽度低酸素下でのSGBが喘息症例の換気応答に与える影響を換気応答曲線 (以下応答曲線)から検討し, SGBの安全性を評価した. 再呼吸用閉鎖回路内のCO
2吸収装置の有無により, 軽度低酸素のみ, 軽度低酸素+高CO
2, 高CO
2のみの環境を作成し, ダーテックス社製, カプノマックウルティマ
™を用いてそれぞれの換気応答反応を測定した.
FIO
2は最大8%まで低下させ得たが, 低酸素吸入気とガス交換しない残存肺胞が多かったためかSpO
2は88~92%にとどまり, 比較的低酸素下での検討となった. SGB後では喘息群, 対照群ともに応答曲線の傾きは大きくなり, 対照群ではETCO
2 52mmHg付近でSGB前, 後の応答曲線は交差した. 喘息群でもETCO
2が55mmHgよりもさらに上昇すれば交差する傾向が認められた. すなわちSGB後の換気応答は軽度ながら低酸素を負荷した場合では鋭敏となり, 正常人ではSGB後に低酸素に対する感受性が喘息例よりも早期に増大することが示唆された. 以上より, 気管支喘息症例に対する軽度低酸素下 (FIO
2 20~8%, SpO
2 88~92%) でのSGBは, 換気応答からの検討では危険はないと考える.
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