日本ペインクリニック学会誌
Online ISSN : 1884-1791
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2 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 村尾 浩平, 坂田 和房, 橘 和哉, 田口 仁士, 新宮 興
    1995 年 2 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    目的: ブピバカイン, ブトルファノール併用硬膜外投与による術後鎮痛法の有効性および副作用を検討した. 方法: 予定腹部手術患者106名を対象とした. 上腹部群 (n=43), 下腹部群 (21),婦人科群 (25), 腹腔鏡下胆嚢摘出群 (17)(以下ラパ胆群) に分けた. 硬膜外腔へ手術開始前に1%リドカイン3mlとブトルファノール1mgを単回投与し, 手術開始1時間後より0.25%ブピバカイン60mlとブトルファノール3もしくは4mgの混合液を2ml/時間で持続投与した. 帰室0, 3, 6, 12, 24および48時間後に鎮痛効果および副作用を調査した. 結果: 他の鎮痛法を必要とした患者頻度は, 上腹部群12%/5% (帰室時/48時間後), 下腹部群 (10%/10%), 婦人科群 (24%/36%), ラパ胆群 (12%/0%) であった. 悪心が婦人科群68%に, ラパ胆群47%に認められた. 掻痒感を訴えた患者は1名であった. 結論: 本鎮痛法は上腹部群および下腹部群に有効であるが, 婦人科群およびラパ胆群には投与法を再考する必要がある.
  • 低酸素下での検討
    津田 喬子, 中川 隆, 竹内 昭憲, 高木 宏幸, 薊 隆文, 田渕 昭彦, 間渕 則文, 勝屋 弘忠
    1995 年 2 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    同意を得た気管支喘息10例 (喘息群) とボランティア5例 (対照群) を対象に, 空気再呼吸による軽度低酸素下でのSGBが喘息症例の換気応答に与える影響を換気応答曲線 (以下応答曲線)から検討し, SGBの安全性を評価した. 再呼吸用閉鎖回路内のCO2吸収装置の有無により, 軽度低酸素のみ, 軽度低酸素+高CO2, 高CO2のみの環境を作成し, ダーテックス社製, カプノマックウルティマを用いてそれぞれの換気応答反応を測定した.
    FIO2は最大8%まで低下させ得たが, 低酸素吸入気とガス交換しない残存肺胞が多かったためかSpO2は88~92%にとどまり, 比較的低酸素下での検討となった. SGB後では喘息群, 対照群ともに応答曲線の傾きは大きくなり, 対照群ではETCO2 52mmHg付近でSGB前, 後の応答曲線は交差した. 喘息群でもETCO2が55mmHgよりもさらに上昇すれば交差する傾向が認められた. すなわちSGB後の換気応答は軽度ながら低酸素を負荷した場合では鋭敏となり, 正常人ではSGB後に低酸素に対する感受性が喘息例よりも早期に増大することが示唆された. 以上より, 気管支喘息症例に対する軽度低酸素下 (FIO2 20~8%, SpO2 88~92%) でのSGBは, 換気応答からの検討では危険はないと考える.
  • 鈴木 孝浩, 間瀬 清, 佐伯 茂, 勝又 徳一, 白石 瑛盛, 野田 薫, 加藤 実, 小川 節郎, 鈴木 太
    1995 年 2 巻 1 号 p. 14-17
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    WHO方式癌疼痛治療法により疼痛管理中の患者, あるいは神経ブロックにより一時的に鎮痛を得たが, 経過中, 癌の骨転移, あるいは神経圧迫が原因で疼痛が増強したと考えられた癌疼痛患者33例に対してプレドニゾロンを投与し, その鎮痛効果について検討した. WHO方式癌疼痛治療法で治療中の患者では鎮痛薬の投与量を変更せず, また神経ブロック後の患者では, 改めて鎮痛薬の投与を行なわずプレドニゾロンを30-20-10mgと9日間漸減的に経口投与した. その結果, visual analogue pain scale (VAS) は7.0 (中央値) から2.0 (中央値) に減少した. また, リン酸コデインとアセトアミノフェンにプレドニゾロンを併用した例に著効例が多かった. 明らかな副作用を認めなかった. 以上より, ステロイドは癌の骨転移, 神経圧迫に起因する疼痛の場合には, 弱オピオイド鎮痛薬との併用でも奏効する例が多く, 早い段階での投与が患者の quality of life (QOL) を高めることができると考えられた.
  • 五十嵐 みゆき, 玉川 進, 野坂 拓寿, 小川 秀道
    1995 年 2 巻 1 号 p. 18-20
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    目的: 腰椎手術後に起こる遷延性疼痛は治療に難渋することが多い. 今回我々はかかる4症例に対し腰部交感神経節ブロック (腰交ブロック) を行ない治療効果を検討した. 方法: 腰椎椎間板ヘルニア術後2例, 脊柱管狭窄症術後2例を対象とした. 全例が術後1年以内に症状が再発し, 疼痛としびれ感を訴え外来を受診した. 硬膜外ブロックもしくは局麻薬による腰交ブロックを行ない有効であったためアルコールを用いた腰交ブロックを施行した. 結果: いずれも症状は寛解し, 良好な結果を得た. 結論: 腰椎手術後遷延性疼痛に対し腰交ブロックは試みられるべき治療法である.
  • 西澤 伸泰, 田口 仁士, 新宮 興, 坂井 貴子
    1995 年 2 巻 1 号 p. 21-23
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    脳腫瘍が原因で false localizing sign として三叉神経障害が起こっていた1症例を経験した. 症例は32歳女性. 右顔面 (三叉神経第II枝領域) のしびれ感を主訴に近医より当科に紹介された. 治療として右側の星状神経節ブロック (SGB) を行なったが, SGB後しびれ感は増強し効果は認められなかった. その後CT, MRIにて左後頭蓋窩に脳腫瘍が発見され, 手術により全摘された. 診断は髄膜腫であった. 脳腫瘍による対側の三叉神経障害のメカニズムとしては, 腫瘍により脳幹が対側に偏位し対側の血管により三叉神経が圧迫されたと考えられる. SGBによる脳血流増加の結果, 三叉神経への圧迫がさらに強くなったため症状が増悪したと推測される. 若年者に発症する三叉神経障害において神経ブロックが予期せぬ効果を示したときは, 痛みの有無にかかわらず脳腫瘍などの症候性の場合も考慮し, CT, MRIおよび他の脳神経症状などの検索をすべきである.
  • 竹田 尚功, 峯田 昌之, 高田 稔, 的場 光昭, 岩波 悦勝, 小川 秀道
    1995 年 2 巻 1 号 p. 24-27
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    癌性疼痛患者4例に皮下埋め込み型薬液注入システムを用いて持続くも膜下ブロック (CSA)による治療を行った. 薬液は局所麻酔薬と微量のモルヒネを併用した. 鎮痛効果は絶大で, 坐位, 歩行不能であったものが, 治療開始数日後には可能となった. 合併症は髄液漏, ポート内感染, ポート部褥創, 歩行障害などであったが, 治療を中止することなく消失, 治癒した. 痙攣, 呼吸抑制, および脊髄・神経根障害は出現せず, 意識も清明なままで経過した.
    CSAは, 予想される合併症は否定できないが, それらは適応を限定し, 厳重な管理を行うことにより解決でき, 難治性癌性疼痛の有効な治療手段となる. 皮下埋め込み型薬液注入システムを使用することにより, 管理がより容易になり適応もさらに拡大する.
  • 玉川 進, 野坂 拓寿, 赤間 保之, 小川 秀道
    1995 年 2 巻 1 号 p. 28-29
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    今回われわれは雷撃症による両上肢疼痛に対してプロスタグランディンE1 (PGE1) 静脈投与が有効であった症例を経験したので報告した. 症例は60歳男性. 農作業中に落雷にあい, 1カ月続いた意識障害が回復した後に両上肢の疼痛が残存した. 交感神経のブロックは無効であり, PGE1点滴投与が疼痛緩和に有効であった. 交感神経系のブロックが無効であったのは落雷により交感神経系が何らかの障害を受けているためと考えられた.
  • 1995 年 2 巻 1 号 p. A1
    発行日: 1995/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
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