日本ペインクリニック学会誌
Online ISSN : 1884-1791
Print ISSN : 1340-4903
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21 巻 , 2 号
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総説
  • 小田 裕
    21 巻 (2014) 2 号 p. 81-85
    公開日: 2014/07/18
    [早期公開] 公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    腕神経叢ブロックには,ロピバカインやラセミ型ブピバカイン(ブピバカイン),レボブピバカインなどの長時間作用型局所麻酔薬が多用されるが,これらは毒性が強いため,その使用にあたっては基本的な薬物動態を理解するとともに,中毒症状の発現に注意する必要がある.健康成人に対してロピバカインまたはブピバカインを持続静脈投与すると,70~160 mg投与後に明らかな視覚・聴覚障害や構音障害などの中枢神経症状が生じ,その際の血中総分画・蛋白非結合分画濃度,蛋白結合率は両麻酔薬間で差がない.また中枢神経症状発現時には末梢血管抵抗の増加による血圧上昇および心拍数の増加が認められる.腕神経叢ブロック後15~30分間で局所麻酔薬の血中濃度はピークに達するが,斜角筋間アプローチの場合は腋窩・鎖骨下アプローチに比べて血中濃度の上昇がより速く,最高血中濃度も高い.アドレナリンの添加により血中濃度の上昇は抑制されるが,作用時間は必ずしも延長しない.局所麻酔薬投与後に,興奮や痙攣などの中枢神経症状,徐脈・頻脈・不整脈などの心血管症状が認められた際には,気道確保に加えて酸素や抗痙攣薬とともに,早期の脂肪乳剤の投与が有効である.
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原著
  • 原賀 勇壮, 自見 至郎, 仁田原 慶一, 大慈弥 裕之, 香取 清, 比嘉 和夫
    21 巻 (2014) 2 号 p. 86-91
    公開日: 2014/07/18
    [早期公開] 公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    【目的】創部・穿刺部の感染症の予防に役立てるために,動物で感染モデルを作製する.【方法】感染モデルとして,マウスの背部の皮膚欠損創に黄色ブドウ球菌を塗布し,創面の変化を組織学的・定量培養的に,経時的に検討した.菌の塗布24時間後まで3時間ごとに,以後48時間後と120時間後に7匹ずつを犠死させ,5匹は凍結保存し創部を定量培養した.2匹は,5%ホルマリン固定し創部の組織を観察した.【結果】菌を塗布した6時間後では,創部の炎症細胞浸潤はなかった.9時間後では創表面に菌が増殖,分布し,菌を貪食した好中球が多数浸潤していた.12時間後から21時間後まで,時間の経過に伴い細菌数は有意の直線相関で増加した.48時間後には,表層の硝子様物質と壊死物質は,内部に菌が局在した状態で,創表面の肉芽組織から剥離し始めていた.21~120時間後は,有意な負の直線相関で,細菌数は減少した.【結論】このモデルは,生体における創部,穿刺部感染の成立およびその後の生体反応の経時的変化をin vivoで初めて示したものである.今後の創部,穿刺部の感染の予防・治療の研究に有用と考える.
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症例
  • 末次 啓子, 山本 明史
    21 巻 (2014) 2 号 p. 92-96
    公開日: 2014/07/18
    [早期公開] 公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    複視と頭痛を初発症状とし,多彩な脳神経症状を呈した特発性肥厚性硬膜炎の1例を報告する.患者は71歳・男性で,複視が先行したあとに頭痛が生じ,眼瞼下垂・嚥下障害・嗄声など多彩な脳神経症状が次々に出現した.病初期の頭痛は群発頭痛に類似し,後期は頭重感や頭部を締め付けられるような特徴を呈した.MRIでは海綿静脈洞や斜台部の硬膜に,T1・T2強調画像でともに低信号を示す肥厚を認め,ガドリニウム造影T1強調画像では増強され高信号を示した.ステロイド内服が奏効し,症状はすみやかに改善した.原因のわからない多彩な脳神経症状を伴う頭痛の診断では,造影MRIを行うことが重要である.
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  • 山本 陽子, 中本 達夫, 矢部 充英, 旭爪 章統, 寺井 岳三
    21 巻 (2014) 2 号 p. 97-101
    公開日: 2014/07/18
    [早期公開] 公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    足趾有痛性皮膚潰瘍に持続坐骨神経ブロック(CSNB)が奏効した症例を報告する.症例は80歳,男性.主訴は両足趾の痛みと潰瘍.検査結果より末梢小動脈の攣縮性虚血によるものと考えられ,仙骨硬膜外ブロック後に一時的な効果を認めたため,痛みの強い右下肢にCSNBを施行した.0.2%レボブピバカイン4 ml/hの持続投与を開始し,痛みはvisual analogue scale 80 mmから0 mmまで改善を認めたが,足関節運動が不可となったため,濃度を漸減した.0.03%まで低下させた時点で底背屈可能となり,両足趾の鎮痛は良好で,潰瘍は痂皮化を認めた.カテーテル抜去後もプレガバリンの内服で鎮痛は良好であった.痛みによる交感神経過緊張が,もともと少なかった足趾への血流をさらに低下させ,皮膚症状の治癒を遷延させたと考えられた.下肢の難治性潰瘍に対して,CSNBは選択すべき治療法の一つになりうる.
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  • 奥野 聡子, 山崎 恭子, 花田 留美, 川原 玲子
    21 巻 (2014) 2 号 p. 102-106
    公開日: 2014/07/18
    [早期公開] 公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    非がん性の痛みに対するオピオイド投与が普及しているが,離脱は困難なことが多い.頸椎椎弓形成術後の頸部痛に超音波ガイド下持続腕神経叢ブロックを施行し,理学療法,家庭環境の改善を追加しオピオイドの離脱をしえた1例を報告する.症例は73歳,男性で,8年前頸椎症性頸髄症に対し椎弓形成術を施行された.術後も頸部痛は改善せず,クロナゼパム内服とブロック治療を施行した.ガバペンチン,塩酸モルヒネを追加して痛みのコントロールを行っていた.頸部痛が増悪したためオピオイドの増減やオピオイドローテーションを行ったが改善せず,希死念慮を訴えたため入院した.これを機に,妻の認知症悪化と一致して頸部痛が増悪したことが判明した.超音波ガイド下持続腕神経叢ブロックを行い,患者自己調節鎮痛法(PCA)でロピバカイン持続注入を開始し,痛みが消失したところで,オピオイド減量とリハビリを開始した.妻の一時入所施設を紹介し,自宅でのヘルパー導入も誘導した.約2週間で頸部痛は軽快したためオピオイドを漸減中止し,退院した.
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  • 小原 洋昭, 中島 毅, 兜 正則
    21 巻 (2014) 2 号 p. 107-110
    公開日: 2014/07/18
    [早期公開] 公開日: 2014/05/30
    ジャーナル フリー
    片頭痛患者が後頭部の痛みを主訴に来院し,MRAにて椎骨動脈解離と診断された症例を報告する.症例は38歳,女性で,3年前から,主に月経前に左後頭部に前兆と随伴症状を伴う拍動性の頭痛が生じるようになったが,痛みは市販の解熱鎮痛薬を内服することでその都度軽快していた.今回も夕食中,急に同部位に拍動性の頭痛が出現したため,鎮痛薬を服用したが症状の軽快があまりみられず,また,いつもの症状とは異なる“つっぱる感じ”が続くため,不安になり同日救急外来を受診した.診察では神経症状はなく,また単純CTでも異常はみられなかったが,MRAにて左椎骨動脈解離と解離部での内腔の閉塞,偽腔による動脈瘤の形成を認めた.脳動脈解離は椎骨動脈に発生することが多いが,頭痛の性状からは片頭痛などの一次性頭痛と鑑別することは困難である.そのため,後頭部の痛みを訴える患者が受診した際には二次性頭痛も念頭に置いて診察し,単純CTにて異常がみられない場合でも,疑わしければMRAを施行することが必要である.
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  • 眞鍋 治彦, 久米 克介, 加藤 治子, 武藤 佑理, 平森 朋子, 有川 智子
    21 巻 (2014) 2 号 p. 111-114
    公開日: 2014/07/18
    [早期公開] 公開日: 2014/06/20
    ジャーナル フリー
    顔面の痛みは,日常の臨床で非常に多くみられる症状であり,頭痛,眼,鼻,耳,口腔の異常,筋膜の障害,脳神経疾患により起こる.三叉神経痛や片頭痛の診断基準に当てはまらず,2~20年にわたり片側性の持続痛を訴える持続性特発性顔面痛(persistent idiopathic facial pain:PIFP)の3症例を,神経ブロックとともに10~25 mg/日の三環系抗うつ薬(tricyclic antidepressants:TCAs)で治療し,著明な痛みの軽減を得た.その後は,低用量(10 mg/日)のTCAs で効果を維持することができた.奏効機序は不明であるが,診断と治療に難渋する顔面痛患者には試みてよい治療法と思われた.
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  • 小幡 千亜紀, 小林 俊哉, 松沢 理恵, 藤井 宏一, 渡辺 啓介
    21 巻 (2014) 2 号 p. 115-118
    公開日: 2014/07/18
    [早期公開] 公開日: 2014/06/20
    ジャーナル フリー
    開胸術後に生じた痛みと創部の筋の不随意収縮に対し,A型ボツリヌス毒素(botulinum toxin A:BTX-A)が有効であった1例を報告する.症例は66歳の女性.気管支拡張症に対する右肺中葉切除術の2カ月後より創部から前胸部にかけての痛みが増強し,間欠的に繰り返す創周囲の筋の不随意収縮も出現した.他院にてプレガバリンや抗うつ薬の内服,肋間神経ブロック,星状神経節ブロックなどを施行されたが効果はなかった.不随意収縮の緩和目的にBTX-A 100単位を創部周囲の筋に注入したところ,不随意収縮は消失し注入部周囲の痛みも改善した.その後の不随意収縮の再発に対するBTX-A注入により注入部周囲の痛みが完全に消失したため,不随意収縮を伴わない前胸部の筋に対してもBTX-A 100単位を注入したところ,痛みは軽減した.本症例は開胸術後症候群に不随意収縮を併発し,筋弛緩目的で施行したBTX-A注入が有効であったが,同時に痛みも著明に改善した.近年BTX-A注入が神経障害性痛に対し有効であるという報告が散見され,本症例のような難治性の開胸術後神経障害性痛に対する治療選択肢の一つとなりうると考えられた.
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  • 小畑 ダニエル, 藤井 洋泉, 香曽我部 義則, 梶木 秀樹
    21 巻 (2014) 2 号 p. 119-123
    公開日: 2014/07/18
    [早期公開] 公開日: 2014/06/20
    ジャーナル フリー
    脊椎疾患による上肢・下肢痛の治療中に,突然の多発関節痛と浮腫が発現し,臨床症状と血液検査よりRS3PE(remitting seronegative symmetrical synovitis with pitting edema)症候群と診断した2症例を経験した.2症例ともに男性で,少量のステロイドの内服により短期間で関節痛と浮腫が消失した.ペインクリニックで治療中に関節痛と圧痕性浮腫が出現したときは,関節リウマチとの鑑別が必要な膠原病類縁疾患として,RS3PE症候群を念頭に置く必要がある.
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  • 藤井 真樹子, 西江 宏行, 溝渕 知司, 五藤 恵次, 森松 博史
    21 巻 (2014) 2 号 p. 124-128
    公開日: 2014/07/18
    [早期公開] 公開日: 2014/06/20
    ジャーナル フリー
    【目的】神経障害痛に対するリドカイン点滴の有効性の報告は一定しておらず,ガイドラインでは第一選択薬ではない.一方,神経障害痛の患者に対し,リドカイン点滴が有効で,副作用が少ないとの報告がある.その効果はvisual analogue scale(VAS)を用いて検討されることが多い.今回,神経障害痛に対するリドカイン点滴の効果を,より詳しく評価する目的で,VASによる評価以外にペインビジョン®を用いてリドカイン点滴前後での痛みの評価を行った.【方法】当院外来を受診した神経障害痛患者8名(帯状疱疹後神経痛4名,開胸術後痛3名,三叉神経障害痛1名)に対してリドカイン点滴の効果をVASで評価すると同時に,ペインビジョン®による痛み度(以下,痛み度)を測定し,投与前後で変化を検討した.【結果】リドカイン点滴(100 mg/h)により,投与前後でVAS値,痛み度ともに投与前後で有意に低下した.【結論】VAS値に加えペインビジョン®の評価でもリドカイン点滴直後には神経障害痛は軽減するが,その長期的な有効性については,今後さらなる評価が必要である.
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  • 下畑 敬子, 下畑 享良, 小野 哲, 茂木 僚一郎, 石倉 秀昭, 宮下 興
    21 巻 (2014) 2 号 p. 129-132
    公開日: 2014/07/18
    [早期公開] 公開日: 2014/06/20
    ジャーナル フリー
    【目的】ナラトリプタンによる月経関連片頭痛に対する治療効果と問題点について検討する.【方法】対象は2008年6月から2010年1月の間に,ナラトリプタン2.5 mgにより治療を行った月経関連片頭痛患者16名とした.観察期間中における継続率,有効率,副作用について後方視的に検討した.【結果】継続率は14/16名(87.5%)であった.有効が14/16名(87.5%),無効が2/16名(12.5%)であった.重篤な副作用はなかった.継続した理由は,(1)再発率が低く経済的である,(2)副作用がない,があげられた.一方,継続できなかった理由は,(1)悪心・嘔吐で内服できない,(2)効果発現までの時間が長い,があげられた.【結論】月経関連片頭痛に対するナラトリプタンは,継続率,効果とも良好で,重篤な副作用もなかったことから,月経関連片頭痛に有用であると考えられた.一方,悪心・嘔吐のため内服困難であることや,別種類のトリプタンを状況に応じて使い分けている患者がいることもわかり,トリプタン製剤の使い分けなど,外来における患者指導が重要であると考えられた.
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  • 大友 重明, 鈴木 昭広, 阿部 展子, 原田 修人, 間宮 敬子, 岩崎 寛
    21 巻 (2014) 2 号 p. 133-136
    公開日: 2014/07/18
    [早期公開] 公開日: 2014/06/20
    ジャーナル フリー
    ペインクリニック外来診療において,気胸の診断に超音波が有用であった2症例を報告する.[症例1]59歳,女性.傍脊椎神経ブロックを施行した.ブロック施行時に咳嗽を認め,その後,胸痛を訴えた.穿刺による気胸を疑い,超音波機器によるスクリーニングを行った.超音波画像上,lung slidingの消失,lung pulseの消失,Mモードでstratosphere signがあり,気胸と診断した.胸腔ドレーン留置,入院となったが,気胸改善後,無事退院した.[症例2]68歳,女性.他院にて針治療を施術された際,胸痛などを自覚し,改善しないため当院を受診した.聴診上,呼吸音の左右差は明らかでなかったが,気胸を疑い超音波機器によるスクリーニングを行った.超音波画像上,lung slidingの消失,lung pulseの消失,Mモードでseashore sign消失があり,気胸と診断した.胸腔ドレーン留置,入院となったが,気胸改善後,無事退院した.ペインクリニック外来においても,診療で超音波を利用する機会は増えている.気胸の発生が疑われる場合,まず超音波機器によりその検出を試みることが,早期診断に有用と考える.
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  • 柏木 秀行, 牧野 毅彦
    21 巻 (2014) 2 号 p. 137-140
    公開日: 2014/07/18
    [早期公開] 公開日: 2014/06/20
    ジャーナル フリー
    悪性腸腰筋症候群は悪性腫瘍が腸腰筋に影響を及ぼすことで生じ,難治性の痛みの原因として知られる.われわれは,悪性腸腰筋症候群の痛みに対して良好な鎮痛を得たので,報告する.症例は31歳の女性.5カ月前から左腰痛が出現し,左大腿前面から左膝部にかけての異常感覚を伴うようになり,歩行困難となった.CTで子宮頸部の腫大と左腸腰筋の嚢胞性病変を認め,腸腰筋膿瘍を疑いドレナージ目的に穿刺したところ,内容液から扁平上皮がん細胞が検出された.子宮頸部の病理検査からも扁平上皮がんが検出され,子宮頸がんの腸腰筋転移による悪性腸腰筋症候群と診断した.フルルビプロフェンアキセチル注射液,フェンタニル,ステロイド,その他鎮痛補助薬の投与を開始したが痛みは軽減しなかった.しかし難治性の痛みに対して,放射線治療を併用することで良好な痛み緩和を達成し,独歩可能となり退院となった.腸腰筋の嚢胞性病変は,腸腰筋膿瘍以外に悪性腫瘍の転移が重要な鑑別であり,悪性腸腰筋症候群の痛みに対しては,薬物療法に放射線照射を併用することで有効な鎮痛効果が期待できる可能性があることが示唆された.
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