【目的】慢性腰痛患者における痛みの破局思考の強さに影響する因子について複数の問診票を用いて検討した.【対象】3カ月以上続く慢性の腰痛または腰下肢痛を訴えた18名.【方法】年齢,性別,痛み強度(VAS),痛みの性状(SF-MPQ),痛みによる日常生活動作への影響(PDAS),不安・抑うつの評価(HADS),ストレス対処能力(SOC)を評価項目として,痛みの破局思考の強さ(PCS)に対する相関係数(r
s)を評価し,さらに重回帰分析を行った.【結果】PCSと有意な相関を示したのは,VAS(r
s=0.50,P=0.03),PDAS(r
s=0.49,P=0.04),HADS(r
s=0.88,P<0.01),SOC(r
s=-0.71,P<0.01)であった.重回帰分析の結果,PCSに影響していたのは年齢(回帰係数=0.29,P<0.01),HADS(回帰係数=0.42,P<0.01)とSOC(回帰係数=-0.34,P<0.01)であった(調整済みR
2=0.86,P<0.01).【結論】慢性腰痛患者の痛みの破局思考に関連する因子として,不安・抑うつとストレス対処能力が重要である可能性が示唆された.
抄録全体を表示