日本ペインクリニック学会誌
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24 巻 , 2 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
話題
症例
  • 有川 智子, 眞鍋 治彦, 久米 克介, 加藤 治子, 武藤 官大, 武藤 佑理
    2017 年 24 巻 2 号 p. 100-104
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/03
    [早期公開] 公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    静脈穿刺による末梢神経障害は,時に痛みや感覚障害が長期に持続し,治療に難渋する.静脈穿刺に伴う末梢神経障害で受診した16例について,症例の背景,穿刺部位,症状,治療経過を診療記録より後ろ向きに検討した.対象は,女性14例,男性2例,21~79歳.穿刺部位は,肘皮静脈11例(正中5例,橈側4例,尺側2例),橈側皮静脈3例,前腕尺側静脈2例であり,初診時に14例が痛み,2例が違和感を訴えた.握力低下10例,アロディニア6例,冷覚鈍麻6例,腫脹3例,血腫2例があった.治療は薬物療法を13例,リドカイン点滴を8例,星状神経節ブロックを4例,持続硬膜外ブロックを2例で行った.転帰は軽快10例,治療中4例,転院2例であった.今回の調査では,静脈穿刺による末梢神経障害は報告が少ない肘部橈側静脈でも発生していた.末梢神経と静脈の走行と神経損傷の知識の普及が重要である一方,どの部位でも起こりうることから,末梢神経障害を疑った場合にはただちに抜針・止血し,早期より治療を開始するよう啓発する必要がある.
  • ―経皮的椎間板摘出およびラジオ波焼灼を行った1例―
    清永 夏絵, 上島 賢也, 明石 奈津子, 菊池 元, 安部 洋一郎
    2017 年 24 巻 2 号 p. 105-108
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/03
    [早期公開] 公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    症例は54歳,男性.腰椎椎間板ヘルニアで薬物治療中に,腰椎化膿性脊椎炎を発症した.抗菌薬の治療により炎症反応は正常化したが,体動時の強い腰痛が3カ月以上遷延し,座位保持や歩行が困難であった.感染コントロールの評価のため椎間板生検を行ったが,その際に椎間板性の腰痛への治療効果を期待して,経皮的椎間板摘出術・ラジオ波焼灼術を同時に施行した.原因菌は検出されなかったが痛みは軽減し,日常生活動作は著明に改善した.一般的に既感染または感染部位への侵襲的な痛み治療は推奨されないが,今回は,長期にわたる経過や本人の強い治療希望,社会的背景なども踏まえて治療を行い,良好な経過であった.
  • 井汲 沙織, 山川 美樹子, 奥山 慎一郎, 高岡 誠司, 星 光, 山内 正憲
    2017 年 24 巻 2 号 p. 109-111
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/03
    [早期公開] 公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    特発性三叉神経痛に対して直流微弱電流療法が有用であった2例を報告する.症例1は70歳代,女性.右第2,3枝領域の三叉神経痛を訴えていた.右眼窩下神経ブロック後にふらつきを自覚したため,以降拒否感が生じてしまった.薬物療法により痛みの緩和を試みたが,奏効しなかった.直流微弱電流を用いた治療を行ったところ,劇的に痛みは軽減した.症例2は80歳代,男性.歯磨きができず極度の口腔内汚染がみられるほどの,左第2,3枝領域の激しい痛みを訴えていた.ガッセル神経節ブロックは,一度は奏効したもののその後効果を認めなかった.直流微弱電流を用いて治療を行ったところ,痛みは消失した.2例の経験ではあるが,直流微弱電流治療は,外来で簡便に施行でき,使用禁忌項目もないことを考慮すると,神経ブロックや薬物療法による痛みの管理が困難な特発性三叉神経痛に対して試みるべき選択肢の一つであると考えた.
  • 南 絵里子, 石川 慎一, 増田 恵里香, 上川 竜生, 福永 智栄
    2017 年 24 巻 2 号 p. 112-115
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/03
    [早期公開] 公開日: 2017/05/26
    ジャーナル フリー
    硬膜穿刺後頭痛(postdural puncture headache:PDPH)における画像診断の報告は散見されるが,髄液漏出を治療前後で評価した報告はない.脊髄MRIで髄液漏出を確認し,硬膜外自家血注入(epiduralblood patch:EBP)前後の変化を評価した,頭蓋内硬膜下血腫を伴ったPDPHの1例を報告する.症例は32歳,女性,帝王切開時の硬膜外麻酔中に17G Touhy針で偶発的硬膜穿刺となり,脊髄くも膜下麻酔のみで麻酔管理を行った.翌日より起立性頭痛と上肢痛を訴えた.術後4日目の単純脊髄MRI T2強調脂肪抑制で下部胸椎から仙骨にわたる硬膜外腔に水信号病変が示され,髄液漏出と診断した.続いて脳MRIで両側硬膜下血腫が示された.術後12日目にEBPを施行し,頭痛と血腫は改善して術後20日目に患者は退院した.退院約1カ月後に一時的な血腫増大がみられたが,脊髄MRIで硬膜外水信号の消失を認め経過観察とした.約2カ月後に硬膜下血腫は自然消退した.EBP治療前後の髄液漏出を評価できたPDPHの1例を経験した.髄液漏出診断と治療効果判定における脊髄MRIの有用性が示唆された.
  • Ken IWATA, Yukino KOBAYASHI, Hitoshi MERA, Nagafumi DOI, Hiroshi SUWA, ...
    2017 年 24 巻 2 号 p. 116-120
    発行日: 2017/06/25
    公開日: 2017/07/03
    ジャーナル フリー
    Electroconvulsive therapy (ECT) may have analgesic effects on neuropathic pain, and the amounts of patient-requested opioids for pain reportedly decrease after ECT. However, no reports have examined the relationship between the analgesic effects of ECT and opioid dosages administered before and after ECT. We reviewed the medical records of 11 patients who underwent ECT while simultaneously using supplemental opioids for pain relief at our institution between March 2003 and March 2012. One case was excluded from analysis due to missing data. Eight of the remaining 10 patients showed decreased usage of opioids during ECT. Furthermore, opioid dosages for 4 of those 8 patients decreased without worsening of neuropathic pain. These results suggest that ECT may alleviate neuropathic pain and allow immediate decreases in opioid dosages for some patients with neuropathic pain.
  • 又吉 宏昭, 中西 俊之, 三宅 奈苗, 福田 志朗, 谷口 真
    2017 年 24 巻 2 号 p. 121-125
    発行日: 2017/06/25
    公開日: 2017/07/03
    ジャーナル フリー
    オピオイド鎮痛薬 (以下オピオイド) を長期使用していた腕神経叢引き抜き損傷患者に対して,脊髄後根進入部破壊術 (DREZ-lesion) を施行したが,術後にオピオイドの減量に苦慮した2症例を経験した.症例1は44歳の男性.6年前に右腕神経叢引き抜き損傷を受傷.数年前から塩酸モルヒネを使用していた.DREZ-lesion後はフェンタニルの持続静注を用いてオピオイドを減量する計画であったが,術後1日目にオピオイドの退薬症状が出現した.症例2は43歳の男性.20年前に右腕神経叢引き抜き損傷を受傷.数年前からオピオイドが開始され,最近はフェンタニル貼付剤,トラマドールを使用していた.DREZ-lesion後は経口モルヒネ換算で20 mg/日ずつ減量し,退薬症状を起こすことなくオピオイドを中止できた.腕神経叢引き抜き損傷の痛みに対してDREZ-lesionは施行直後から痛みが消失することが多い.術前から長期間オピオイドを使用している非がん性痛患者で,手術により痛みの改善が見込まれる場合,術後もオピオイドを一定期間使用する必要があり,安全に減量・中止するには術前使用量の確実な把握と周術期の綿密な計画が重要である.
  • 坂口 結夢, 塚田 妹子, 佐々木 大雅, 篠崎 未緒, 濱口 眞輔
    2017 年 24 巻 2 号 p. 126-129
    発行日: 2017/06/25
    公開日: 2017/07/03
    ジャーナル フリー
    診断未確定のままで長期間経過した,難治性全身痛を呈する患者の治療を経験した.症例は57歳の女性で,既往は高カルシウム血症を指摘されたことがあるのみで,30年前から誘因なく全身痛を自覚し複数の医療機関を受診したが,異常は指摘されなかった.うつ病と線維筋痛症として抗うつ薬,抗不安薬や鎮痛薬が処方されていたが,痛みが増強したために当院を受診した.患者からは痛みの他に気分障害,抑うつ,罪悪妄想,不眠,不安の訴えがあった.患者の既往歴を重視して血液検査を行った結果,血清カルシウム値などの上昇を認め,さらにCT検査や核医学検査を施行したところ,副甲状腺腫瘍による副甲状腺機能亢進症の確定診断に至った.副甲状腺摘出術を施行した結果,血液検査の異常値は基準範囲内となり,痛みはアセトアミノフェン800 mg/日の内服で自制内となるまで軽減した.診断未確定のまま,長期の経過をたどっている難治性疼痛は心因性疼痛と診断されることが多いが,高カルシウム血症も原因の一つとして考慮すべきであると結論した.
  • 石岡 慶己, 関根 利佳, 高田 幸昌, 山蔭 道明
    2017 年 24 巻 2 号 p. 130-133
    発行日: 2017/06/25
    公開日: 2017/07/03
    ジャーナル フリー
    帯状疱疹は,片側の支配神経領域に皮膚病変を呈するのが一般的であるが,隣接しない複数の神経支配領域に病変が出現するものは複発性帯状疱疹と呼ばれ,きわめてまれな病態である.強い急性痛を伴う複発性帯状疱疹に対し,発症早期から神経ブロックを行い良好な経過を得たので報告する.症例は60代の男性.発症1週間前より右膝部の痛みを自覚し,その後右膝および臀部に皮疹が出現した.複発性帯状疱疹の診断で皮膚科入院となったが,激しい痛みが持続したため当院ペインクリニックに紹介となった.右膝 (L3領域) に軽度の皮疹があり,左臀部 (S3領域) に正中を越えて広がる重度の皮疹がみられた.痛みは右膝部に強かったが,臀部には痛みはないとした.強い急性痛を伴う右L3領域に加え,重度の皮疹を伴う左S3領域も帯状疱疹後神経痛への移行が危惧された.早期より神経ブロックを行ったところ,痛みは速やかに軽減し良好な経過をたどった.強い急性痛を伴う複発性帯状疱疹であったが,痛みの程度と皮疹の重症度は一致しなかった.
  • 塚越 栄次, 富田 行成, 疋田 陽子, 岩田 美香, 安齋 健, 吉川 大輔
    2017 年 24 巻 2 号 p. 134-137
    発行日: 2017/06/25
    公開日: 2017/07/03
    ジャーナル フリー
    高比重0.5%ブピバカインによる脊髄くも膜下麻酔後に神経障害を生じた2症例を経験した.症例1は36歳,女性.腹式帝王切開術のため,高比重0.5%ブピバカイン2.1 mlとフェンタニル10 μgの混合液を左側臥位にて注入.穿刺時および薬液注入中に放散痛などの神経刺激症状は認めなかった.術後に左下肢L5~S1領域にアロディニアを伴う知覚低下と左下肢の筋力低下を認めた.術後6日目より急速な回復が始まり術後7日目にはほぼ術前と同じ状態まで回復した.症例2は79歳,男性.経尿道的前立腺切除術のため,高比重0.5%ブピバカイン2.8 mlを注入した.術後より排便障害を認めた.腰椎MRIにてL3/4,L4/5レベルでの高度な脊柱管狭窄が判明した.直腸障害は現在も認める.脊髄くも膜下麻酔施行時の局所麻酔薬による神経障害はまれであるが,起こってしまうと重篤な場合もある.慎重な麻酔法の選択,慎重な麻酔手技とともに,麻酔合併症に対する十分な説明と患者の理解を得ることが重要である.
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