日本ペインクリニック学会誌
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症例
  • 井内 貴子, 植松 弘進, 高橋 亜矢子, 博多 紗綾, 鈴木 史子, 松田 陽一
    原稿種別: 症例
    専門分野: 症例
    2021 年 28 巻 11 号 p. 209-213
    発行日: 2021/11/25
    公開日: 2021/11/25
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    軸性疼痛のみを症状とした神経圧迫のない胸椎椎間板ヘルニアに対して,経椎間孔硬膜外ブロックが診断と治療に有用であった症例を経験した.33歳男性.慢性右背部痛を主訴に当科を受診した.MRIで右Th9/10胸椎椎間板ヘルニアを指摘されていたが,脊髄や神経根の圧迫がないため他院脊椎外科では背部痛の原因ではないと評価されていた.X線透視下に診断的硬膜外ブロックを行う方針としたが,経椎弓間法では薬液が硬膜外腔背側にしか広がらず,痛みの軽減も不十分であった.経椎間孔法で薬液をヘルニア周囲の硬膜外腔腹側に注入したところ,直後から痛みは完全に消失し,その後も痛みは再燃することなく経過した.脊髄・神経根圧迫のない胸椎椎間板ヘルニアが慢性の軸性疼痛の原因となるかコンセンサスは得られていないが,本症例によりヘルニア周囲の硬膜外腔の慢性炎症が原因となり得ること,経椎間孔法による腹側硬膜外ブロックが診断と治療に有用であることが示唆された.

  • 松山 知貴, 大多和 賢登, 山本 諒, 伊藤 真史, 若林 健一, 雄山 博文
    原稿種別: 症例
    2021 年 28 巻 11 号 p. 214-217
    発行日: 2021/11/25
    公開日: 2021/11/25
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    症例は51歳男性.10年前に左下顎の疼痛を自覚し,当院耳鼻咽喉科にて三叉神経痛の診断のもと,内服加療で改善し,その後は無治療経過観察となっていた.10年経過後に同症状を再発症し,精査の結果,左前下小脳動脈が責任血管の舌咽神経痛の診断となる.内服加療では疼痛軽減が得られず,薬剤抵抗性のため当科紹介となり,左外側後頭下開頭で微小血管減圧術を施行した.左前下小脳動脈を錐体骨に固定し,舌咽神経痛との接触を解除した.術後合併症は認めず,左下顎痛は速やかに消失した.術後半年間明らかな再発なく経過している.

  • 山本 兼二, 岩田 千広, 和知 修太朗, 稲垣 泰好, 舘岡 一芳
    原稿種別: 症例
    2021 年 28 巻 11 号 p. 218-221
    発行日: 2021/11/25
    公開日: 2021/11/25
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    硬膜下血腫(subdural hematoma:SDH)を反復する頭痛に特発性低髄液圧症候群(spontaneous intracranial hypotension:SIH)を疑い,確定診断を得て硬膜外自家血注入(epidural blood patch:EBP)を施行した症例を経験した.症例は60歳代女性で誘因なく突然の頭痛と悪心,嘔吐を自覚した.頭部CTでSDHを指摘され,脳神経外科で両側穿頭血腫ドレナージ術を施行した.術後にSDHを再発し,起立性頭痛を訴えた.SDH合併のSIHを疑い保存的治療を行うも起立性頭痛が継続したためCT脊髄造影を行い,T1–8の硬膜外腔背側への造影剤漏出所見を示した.SDH合併のSIHとして,血腫による脳圧亢進症状に注意しつつX線透視下EBPを施行した.初回はT3/4より造影剤を混合した自家血25 mlを投与したが,頭痛が継続するため,翌日にT6/7より造影剤を混和した自家血20 mlを再投与し,速やかに頭痛は軽快した.2回目のEBPから5日目に退院し,その後は頭痛とSDHの再発を示さなかった.SDHを反復する頭痛はSIHを原因とする可能性があり慎重にSIHを鑑別診断する必要がある.SDHを伴うSIHでは脳圧亢進症状の出現に注意してEBPを行うことが重要である.

  • 古賀 恵里, 柴田 純平, 堤 啓彰, 秋山 正慶, 戸田 法子, 西田 修
    原稿種別: 症例
    2021 年 28 巻 11 号 p. 222-225
    発行日: 2021/11/25
    公開日: 2021/11/25
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    4歳,男児.身長102 cm,体重16 kg.左第4肋骨の肋骨腫瘍を認め,肋骨腫瘍切除術が計画された.全身麻酔下に右側臥位とし,0.25%ロピバカイン10 mlを用いて,超音波ガイド下に左Th4レベルで肋間外側アプローチ傍脊椎神経ブロック(paravertebral block:PVB)を施行した.術中の鎮痛は十分で,術直後はface scale 0で経過した.周術期を通して合併症なく経過し,術翌日ICU退室,術後2日で退院となった.本術式は骨膜損傷を伴うため,強い疼痛を生じることが予想された.小児に対するPVBは胸腔鏡手術時のものが散見されるが,肋骨切除のような直接的肋骨侵襲に対しても鎮痛効果が発揮された.また,肋間神経の損傷や術中所見により広範切除の可能性があったが,単回穿刺のPVBは十分な鎮痛域と鎮痛時間が維持でき,今回のような手術に有用であった.

  • 小林 彩香, 杉本 真理子, 田村 奈保子, 名城 れい子, 仲本 博史, 關山 裕詩
    原稿種別: 症例
    2021 年 28 巻 11 号 p. 226-230
    発行日: 2021/11/25
    公開日: 2021/11/25
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    直線偏光近赤外線とキセノン光はいずれも,波長帯が可視光線の赤から近赤外線領域にあり,生体内深達度が高い.ともに,神経伝導抑制,血流改善,抗炎症などの作用により,臨床的に鎮痛効果をもたらす.また,星状神経節近傍への直線偏光近赤外線照射は交感神経の過剰興奮を抑制し,星状神経節ブロック類似の効果が期待される.光線療法は副作用が少なく手技も簡便で,安全にかつ苦痛なく繰り返し施行可能なため,低侵襲な治療が望ましい高齢者にも行いやすい.ステロイド,免疫抑制剤,鎮痛薬として中枢性筋弛緩薬やオピオイドを使用中で,コントロール不良の筋肉痛が持続した多発筋炎・皮膚筋炎の2症例において,直線偏光近赤外線の星状神経節近傍照射とキセノン光による光線療法が,難治性疼痛の緩和に有効であった.

  • 權 斎増, 傳田 定平
    原稿種別: 症例
    2021 年 28 巻 11 号 p. 231-234
    発行日: 2021/11/25
    公開日: 2021/11/25
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    経皮的硬膜外腔癒着剥離術(PEA)は一般的にC-arm型透視装置(C-arm)を用いるが,移動型デジタル式汎用一体型X線透視診断装置(日本メドトロニック社製O-arm Surgical Imaging System,以下O-arm)を用いてPEAを行った2症例を報告する.症例1は75歳,男性.5年間続く左3~5指のしびれがあり,左C8神経根に対しPEAを行った.側面の透視像において上腕骨の陰影が重なり,カテーテル先端の位置確認は困難であったが,CTを撮影することによりカテーテル先端の位置が確認できた.症例2は60歳,女性.交通事故で骨盤骨折を受傷し,左臀部から下腿外側の疼痛と左足部のアロディニアが2年間続いていた.左L5神経根に対しPEAを行った.CT撮影により椎間孔にカテーテルが留置されていることを確認できた.PEAはカテーテル先端の位置が重要であり,O-armを併用することでC-armでは評価困難な椎体レベルにおいても簡便に位置を評価することが可能である.

  • 湊 文昭, 林 千晴, 萩原 信太郎, 林 摩耶, 上島 賢哉, 安部 洋一郎
    原稿種別: 症例
    2021 年 28 巻 11 号 p. 235-238
    発行日: 2021/11/25
    公開日: 2021/11/25
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    脊髄刺激療法(spinal cord stimulation:SCS)の慢性腹部内臓痛に対する効果は,いまだエビデンスが十分でない.今回われわれは,胆道ジスキネジアによる難治性腹部内臓痛に対してSCSを導入し,疼痛が軽減した症例を経験したので報告する.患者は44歳,女性.右上腹部痛,numerical rating scale(NRS)7.18年前に胆嚢摘出術後に胆道ジスキネジアを発症した.他院で腹腔神経叢ブロックを8回施行したが,次第に効果が減弱し,X年当科を受診した.高周波パルス法による腹腔神経叢ブロックを2回施行するも効果が一時的であったため,SCSを導入した.16極リードを1本使用し,リード先端はTh5上縁に留置した.刺激モードはトニックや1,000 Hzの高頻度刺激を用い,13日間試験刺激を行った.疼痛の軽減とともにオピオイドの使用量も減少した.胆道ジスキネジアなどの内臓神経由来の疼痛はおもに交感神経系が関与している.SCSはその過剰活動性を減弱させる作用があると考えられ,腹部内臓痛に対する治療手段となることが期待される.

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