日本ペインクリニック学会誌
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29 巻, 8 号
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原著
  • 野村 有紀, 佐藤 仁昭, 上野 喬平, 本山 泰士, 小幡 典彦, 溝渕 知司
    原稿種別: 原著
    2022 年 29 巻 8 号 p. 177-181
    発行日: 2022/08/25
    公開日: 2022/08/25
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    【序言】当施設では難治性疼痛患者に対する治療選択の指標の一つとしてフェンタニル静注試験を行い,オピオイドの有効性評価および治療法の選択を行っている.本研究では帯状疱疹関連痛患者に対する,フェンタニル静注試験の結果とその後の疼痛治療について検討した.【方法】2015年1月から2021年1月までに帯状疱疹関連痛に対してフェンタニル静注試験を行った症例について,投与前後で疼痛スコアが半減したものを有効とした.発症からの時期による,フェンタニル静注の効果,副作用およびその後の治療と経過について後ろ向きに検討した.【結果】フェンタニル静注試験を施行した帯状疱疹急性期の20例中11例(55%),亜急性期31例中20例(65%),慢性期20例中14例(70%)で鎮痛効果を認めた.有効例では45例中42例でオピオイド製剤による治療が行われた.無効例のうち,すでに他院にてオピオイドが処方されていた8例中6例で試験後に中止された.【結論】帯状疱疹関連痛においてフェンタニルは時期によらず鎮痛効果を示した.当施設ではフェンタニル静注試験の結果に応じてオピオイド処方の必要性を判断している.

症例
  • 佐野 愛, 中條 浩介, 伊東 祥子, 簗瀬 賢, 白神 豪太郎
    原稿種別: 症例
    2022 年 29 巻 8 号 p. 182-185
    発行日: 2022/08/25
    公開日: 2022/08/25
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    セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬であるデュロキセチン(DLX)は中止後に退薬症状が生じることがある.長期間DLXを内服し,中止後に退薬症状と思われる幻聴を生じた症例を経験したので報告する.73歳男性,腰部脊柱管狭窄症による腰下肢痛に対しDLXを4年3カ月投与した.投与量は症状に合わせて増減し,中止前の19カ月間は最小用量の1日20 mgであった.DLX中止後7日目に足元で小鳥が鳴くような幻聴があり,内服を再開したところ幻聴は消失した.DLXの投与間隔を連日から隔日,数日と徐々にあけ,12カ月後に症状出現時の頓服のみとし,1年7カ月かけて完全に中止した.DLX中止後にさまざまな退薬症状が生じた報告があるが,幻聴の報告は見当たらない.DLXを中止する際には,本症例のような非特異的な退薬症状を呈することがあるため,患者の状態を十分観察する必要がある.

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