日本ペインクリニック学会誌
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5 巻, 1 号
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  • 山路 敦子, 山路 倫生, 山路 兼生
    1998 年 5 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    骨粗鬆症の慢性疼痛に対する治療は難渋することがあり, 骨折予防の面からも治療は長期間にわたる. 今回従来からの活性型ビタミンD3, カルシトニン製剤, 消炎鎮痛剤, 理学療法などの治療に抵抗し, 腰背部痛が軽減しない12症例に対して, 新たにメナテトレノン (ビタミンK2) 30mg/日を追加投与し治療効果を検討した. 疼痛の評価には10段階のペインスコアを用い, 骨塩量の評価には Computed X-ray Densitometry 法を用いた. ビタミンK2投与開始までの平均1年8カ月間には活性型ビタミンD3を中心とした治療が行なわれていた. ビタミンK2投与開始後約2~4週で疼痛の軽減が認められ, 投与開始後ペインスコアは昼夜とも有意に低下した. また骨塩量はビタミンK2投与開始4, 8カ月後に有意に増加した. ビタミンK2は, 疼痛の軽減のみならず骨折などの予防的視点からも有用な薬剤の一つであると示唆された.
  • 金井 成行, 岡野 英幸, 薄 竜太郎, 阿部 博子
    1998 年 5 巻 1 号 p. 5-10
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    目的: 腰痛に対する磁気治療器の効果を皮膚温度, 深部温度など客観的な方法を用いて検討した. 方法: 腰痛患者85例 (男性29名, 女性56名, 平均年齢64.7歳) と健常人22例 (男性6名, 女性16名, 平均年齢52.3歳) の腰部の各温度を比較検討した後, 腰痛群を対象に, 治療群, ダミー群を無作為に割付し, 貼付直前, 1週間後, 2週間後, 3週間後, 除去後1週間後のスケジュールで, 磁気による治療効果 (自・他覚症状の改善および, 皮膚温度, 深部温度の変化) の検討を二重盲検法により行なった. 結果: 腰痛群の皮膚温度および深部温度は, 腰部中心部が最も高温であり, 周辺部が低温を示した. 腰部全体では, 腰痛群が正常対照群より低温化している傾向が認められ, 今回検討を行なった腰痛群では, 虚血性疼痛の場合が多いことが推察された. また, 腰痛部位に磁気治療を試みたところ, 自・他覚症状の改善に伴い, 経時的に患部領域の低温化した表面温度および深部温度が上昇し, かつ腰部全域で一様の温度分布を示した. 結論: 磁気治療器は虚血性腰痛に対して血流を改善することにより明らかに腰痛改善に有効であることが確認された.
  • 橋爪 圭司, 山上 裕章, 坂本 尚典, 古家 仁
    1998 年 5 巻 1 号 p. 11-16
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    脊椎転移 (31例) による疼痛 (51例) に対して, 神経ブロック治療を行ない, 有用性を検討した. 背部痛27例は, 脊髄神経後枝内側枝を介する疼痛と考えられ, 同浸潤ブロックで67%が有効 (平均有効期間6.4日), 同高周波熱凝固法で89%が有効 (同, 14.7週) であった. 神経根性痛と考えられた四肢や体幹の疼痛24例は, 神経根ブロックで58%が有効 (10週), 同高周波熱凝固法で75%が有効 (6.7週) であった. 全体の87%で, ADLの改善がみられ, 入院患者23例中8例は, 一時退院可能となった. 脊髄神経後枝内側枝ブロックおよび脊髄神経根ブロック (高周波熱凝固法を含む) は, 脊椎の安定性には寄与しないが, 止血・凝固機能異常をきたすほどの末期患者でないかぎり適応の制限はなく, 反復施行も容易である点から, 病変が進行・拡大する脊椎転移の疼痛治療に有用である.
  • 特に interleukin-8の変動について
    中山 裕人, 岡田 弘, 稲田 捷也
    1998 年 5 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    目的: 帯状疱疹患者の血液および髄液の炎症性サイトカインを測定し病態形成への関与について検討し, さらに帯状疱疹後神経痛 (PHN) との関連について検討を加えた. 方法: I. 発症1カ月以内の帯状疱疹22例の血清および髄液の炎症性サイトカインをELISA (enzyme-linked immunosorbent assay) 法に基づき測定し, 対照と比較した. II. 帯状疱疹33例の発症初期と1カ月目のインターロイキン-8 (interleukin-8: IL-8) を測定し, 変動とPHNとの関連について検討した. 結果: I. 血清および髄液のIL-6, TNF-αは検出限界以下のことが多かった. IL-8は血清に比べ髄液で高値を示し, 髄液IL-8は対照と比較して高濃度であった. II. 髄液IL-8度は, 急性期87.7±22.0pg/ml, 1カ月目37.0±2.5pg/mlと1カ月目で有意な低下がみられた. また, PHNに移行する患者では, 1カ月目のIL-8濃度が治癒する患者に比較して高値であった. 結論: 今回の研究から, 帯状疱疹において髄液IL-8は帯状疱疹の中枢神経系の炎症の程度を反映し, 病期判定に有用であることが判明した.
  • 山上 裕章, 橋爪 圭司, 岩阪 友俗, 古家 仁
    1998 年 5 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    目的: 胸神経後枝内側枝高周波熱凝固法 (TFR) の効果・効果持続期間を調べ, 影響する因子を検討した. 方法: TFRを施行し2年以上あるいは死亡するまで経過観察できた46例を対象とした. 効果判定にはVASを用いTFR施行後半減すれば有効とし有効率を算出した. 結果: 対象の原疾患は, 骨転移と圧迫骨折が60.9%を占めた. 有効率は87.0%で, 効果持続期間は5.7±3.5カ月であった. 複数回施行例では, 1回目より2回目のほうが効果持続期間が有意に長かった. 神経症非合併例は合併例に比べ効果持続期間が有意に長かった. 疾患別では圧迫骨折が最も効果持続期間が長く, 骨転移や関連痛の効果持続期間は短かった. 結論: TFRの効果は頸椎・腰椎よりも低かったが, 有効率は87.0%であった. 神経症の有無, 初回か2回目が効果に影響を及ぼした.
  • MMPI sub-scale を用いて
    長谷川 守, 服部 卓, 大中 美和子, 石埼 恵二, 後藤 文夫
    1998 年 5 巻 1 号 p. 30-35
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    慢性疼痛患者の心理的特徴を Minnesota Multiphasic Personality Inventory (MMPI) の major scale のみを用いて調べた研究は多いが, sub-scale を用いた研究は数例しか存在せずわが国では報告例はない. 今回の研究では慢性疼痛患者ではMMPIを用いて得られる personality profile して major scale の scale 1, 2, 3がそれ以外の scale よりも上昇した profile pattern を呈することが多いことに着目して, major scale の scale 2, 3の sub-scale として Harris and Lingoes sub-scale を major scale と一緒に用いて慢性疼痛患者の心理的特徴をより明確化しようと試みた. 対象はDSM-IV診断基準に基づく精神障害のない6カ月以上の疼痛持続期間を有するペインクリニック外来初診患者であり, 初診時にMMPIと, その他の心理検査が施行され心理状態などが評価された. MMPI各 scale 間には項目に重複があるため, MMPI t-score の分析には非直交回転を伴った主成分分析を用い, 固有値1以上の因子を有意とみなし抽出した. 4因子が抽出され因子付加量が有意に上昇した scale に着目し, おのおの Psychological lability (instability), Physical complaints, Social isolation, Social adaptability と命名された. これらの4因子は慢性疼痛患者の痛みの体験がどのような過程にあるのかを評価するのに有用である可能性が示唆され, また sub-scale を用いることで, それらの因子の意味がより明確化され, sub-scale を用いることの有用性も確認された.
  • 廣田 一紀, 眞鍋 治彦, 比嘉 和夫, 檀 健二郎
    1998 年 5 巻 1 号 p. 36-40
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    急性帯状疱疹痛の治療として投与された抗ウイルス薬が原因と思われる肝障害をきたした2例を経験した. これらは, 肝疾患既往のない2例 (44歳, 女性-皮疹部位: 右第7胸神経領域, 57歳, 男性-皮疹部位: 右第3腰神経領域) で, いずれの症例も入院のうえ, 簡易持続注入器による0.5%ブピバカインの連続硬膜外注入 (0.5~0.7ml/時) を含む神経ブロックとアシクロビルの1日1回点滴静注 (500mg/日, 連続5日間) を施行した. 加療により疼痛は急速に低下したが, 治療開始よりそれぞれ22日, 18日目に微熱, 全身倦怠をきたし, 血中好酸球の増多 (12.5%, 15.0%), 肝血清酵素の上昇を認めた. 特に, 1例はすでに治療を終了, 退院9日後に症状の出現をみた. 両症例とも腹部エコーで画像上肝の形態異常は否定され, HA-IgM抗体, HBs抗原, HCV抗体は陰性であった. 安静と肝庇護を行ない, それぞれ4週, 7週後に肝酵素系は正常となった. 発熱, 好酸球増多を伴うことから薬剤過敏性肝障害と考えられたが, これまで周術期の麻酔, 疼痛管理に局所麻酔薬は広く用いられ肝障害の報告がなく, われわれの症例では症状出現後も局所麻酔薬を用い続けた経過より局所麻酔薬による障害は否定的であり, アシクロビル10mg/kgの単回静注連続5日間投与の関与が最も疑われた.
  • 桜井 康良, 田口 奈津子, 田垣内 祐吾, 山本 達郎, 西野 卓
    1998 年 5 巻 1 号 p. 41-43
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    症例は48歳の女性. 卵巣癌の術後再発による麻痺性イレウスのために, 嘔気・嘔吐・腹部膨満感を訴えていた. 中心静脈栄養, イレウス管挿入, 高圧酸素療法により改善せず, イレウス管は本人の強い希望で抜去した. 嘔気・嘔吐に対してハロペリドールの持続静注が行なわれたが, 十分な改善が得られないまま, 過度の鎮静状態を呈した. ソマトスタチン同族体であるオクトレオチドの持続皮下注を1日量100μgで開始し, 投与2日目より1日量200μgに増量し, 嘔気・嘔吐の著明な改善が得られた. 投与開始から死亡までの約3カ月半のあいだに, 1回目8日間, 2回目5日間, 3回目7日間にわたり同様に投与して, いずれも有効であった. 投与中止後それぞれ約1カ月は嘔気・嘔吐の改善が得られ, ハロペリドールを中止した. この間合計7回の外泊が可能になるなどQOL (quality of life) の著明な改善が得られた. 副作用は認められなかった. オクトレオチドは末期癌患者のイレウスに伴う嘔気・嘔吐に対して有効である.
  • 玉川 進, 小川 秀道
    1998 年 5 巻 1 号 p. 44-46
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    目的: 1日5.5gのモルヒネ投与によってもコントロールのつかなかった癌性疼痛を硬膜外ブピバカイン追加投与によってコントロール可能となった症例を経験した. 対象・方法・結果: 43歳, 男性, 胃癌の再発による広範囲の腹部痛. 5g/日の静脈内モルヒネ投与に反応しないため, 硬膜外カテーテルを挿入した. 当初硬膜外腔にはモルヒネを単独で投与していたが, 0.5g/日まで増量しても疼痛は変化しなかった. 0.125%ブピバカインを4ml/時追加投与することによって疼痛はコントロールできた. 結論: モルヒネ全身大量投与患者には硬膜外モルヒネ投与は無効である. 全身投与でコントロールのつかない疼痛に対しては局所麻酔薬の硬膜外投与が有効な症例がある.
  • 1998 年 5 巻 1 号 p. 47-53
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 5 巻 1 号 p. 54-61
    発行日: 1998/01/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
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