目的: 腰痛に対する磁気治療器の効果を皮膚温度, 深部温度など客観的な方法を用いて検討した.
方法: 腰痛患者85例 (男性29名, 女性56名, 平均年齢64.7歳) と健常人22例 (男性6名, 女性16名, 平均年齢52.3歳) の腰部の各温度を比較検討した後, 腰痛群を対象に, 治療群, ダミー群を無作為に割付し, 貼付直前, 1週間後, 2週間後, 3週間後, 除去後1週間後のスケジュールで, 磁気による治療効果 (自・他覚症状の改善および, 皮膚温度, 深部温度の変化) の検討を二重盲検法により行なった.
結果: 腰痛群の皮膚温度および深部温度は, 腰部中心部が最も高温であり, 周辺部が低温を示した. 腰部全体では, 腰痛群が正常対照群より低温化している傾向が認められ, 今回検討を行なった腰痛群では, 虚血性疼痛の場合が多いことが推察された. また, 腰痛部位に磁気治療を試みたところ, 自・他覚症状の改善に伴い, 経時的に患部領域の低温化した表面温度および深部温度が上昇し, かつ腰部全域で一様の温度分布を示した.
結論: 磁気治療器は虚血性腰痛に対して血流を改善することにより明らかに腰痛改善に有効であることが確認された.
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