日本ペインクリニック学会誌
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6 巻, 2 号
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  • Luke M. Kitahata
    1999 年 6 巻 2 号 p. 55-59
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    There is little question that pain is a sensation with special structural, functional, and perceptual properties. The total pain experience is the result of 1) nociceptive signal transduction at the peripheral receptors, and/or 2) nociceptive signal conduction along the peripheral nerves, and/or 3) modulation of signal transmission at the spinal level, and/or 4) pain perception at the supraspinal sites, and/or 5) emotional reactions and associated sensations at the cortical level. In treating the specific case of pain syndrome, it is essential to understand the phase of pain, the type of pain, and location of the specific pain pathway involved. Each analgesic mode of therapy and each analgesic agent have their own mechanisms and sites of action. The optimum pain relief in each specific case of pain syndrome can be attained, first, by obtaining the correct diagnosis of pain syndrome including (a) the phase of pain, (b) the type of pain, and (c) the site of transmission of the pain signal as discussed above and, second, by administering the proper and rational pain treatment.
  • 山室 誠
    1999 年 6 巻 2 号 p. 60-64
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    神経ブロックは優れた効果をもつ反面, 確実な手技の裏づけがなければ副作用や合併症のために, ときには生命に関わることすらある. そこで, 熟練した指導者のもとでの研修が必須となる. しかし著者は, 種々の理由から研修の機会に恵まれず教科書を唯一の頼りに神経ブロック療法を手がけてきた. その結果として多くの副作用や合併症を経験した. これらの経験は, 著者にとっては思い出すのも辛いが, その原因と対策を述べることは, 次代を担うペインクリニック医への警鐘となるばかりでなく, 同じ過ちを繰り返さないための道標ともなる.
    合併症というと, 主として手技によるものを指すが, ペインクリニックでは患者との対応一つで人の生命を左右する場合がある. ある意味では技術的な合併症に勝るとも劣らない問題と考えられる. そこで神経ブロックの手技による合併症とともに, 対応の拙さが誘因と思われる不祥事についても自験例を中心に述べる.
    本稿は, 第3回中国・四国PC研究会での「ペインクリニック20年における苦い経験」と題して行った講演ならびにそれをまとめて, 同じ題で「麻酔と蘇生」に掲載した文章と重複する旨をお断りしておく.
  • 長櫓 巧, 安部 俊吾
    1999 年 6 巻 2 号 p. 65-69
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    慢性痛は, 組織障害, 神経障害, 神経機能障害, 心因性機序などの異なった原因により起こるが, 多くの例では侵害受容系の活動が亢進し, 中枢への入力が増加している状態または増加しやすい状態にある. 侵害受容系には, シナプスでの伝達を促進および抑制するシステムが存在している. 慢性痛には抗うつ薬, 抗痙攣薬, 局所麻酔薬 (全身投与), 抗不安薬, 抗精神病薬, 麻薬, NMDA受容体拮抗薬が使用されているが, これらの薬物は侵害受容系の神経伝導またはシナプス伝達を抑制し侵害受容系の異常活動を抑制することにより, 鎮痛効果を発揮する. 薬物治療は, 今後薬の併用療法および新しい薬の開発により, 慢性痛の最も有力な治療法になると思われる.
  • 整形外科診療の現場から
    古瀬 洋一
    1999 年 6 巻 2 号 p. 70-75
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    目的: ペインクリニックで治療するCRPSは病期の進んだものが多い. 一方, 整形外科は新鮮外傷から治療にあたっているため, 初期のCRPSを診ることが多い. 整形外科の立場から特に初期のCRPSの診断と治療について報告する. 方法: 1987年以降に治療したCRPSを retrospective に検討した, 症状および所見と治療法の組み合わせ, そしてその治療成績を分析した. 結果: CRPS type Iは初診時に浮腫の強い症例が多く, これらに対してはステロイドを中心とした治療が有効であった. 初診時にすでに浮腫が少なくなっている症例ではステロイドは無効なことが多く, 種々の治療を行なったが, 結果を予測できたものは少なかった. 再現性の得られた治療法は星状神経節ブロックが一時的に著効した場合の胸腔鏡下交感神経遮断術のみであった. CRPS type IIは初診時から浮腫の少ない症例が多く, 外科的治療を含め多種の治療を施行したが治療成績は不良であった. 結論: 浮腫の強い早期に治療を開始することが整形外科の使命で, この時期を過ぎ, 浮腫が消退すると難治性となり, 治療成績の予測が困難となる.
  • 小坂 義弘
    1999 年 6 巻 2 号 p. 76-81
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    大手術後には痛みのために呼吸が抑制されることがよく知られている. オピオイドはペインスコアーを低下させるが呼吸を抑制する. このとき硬膜外麻酔が用いられると呼吸機能を回復させ, 深呼吸や咳反射が可能になるので, 無気肺を予防し, 肺合併症を防止できる. しかし, 上腹部の術後鎮痛を硬膜外麻酔で行なう場合, 投与する局所麻酔薬の量が多くなれば血圧の低下は避けられない. 1979年にオピオイドが硬膜外鎮痛法に導入されたが、脊髄反射を抑制できず, 投与量が多いと中枢性の呼吸抑制を呈するので, 安全な術後鎮痛法ではなくなる. 今日では局所麻酔薬とオピオイドの相乗作用が期待されているので, 少量のオピオイドを低濃度の局所麻酔薬に混合させた併用投与が推奨されている. Preemptive analgesia (先制鎮痛) とは,「術後に中枢神経の過敏状態を生じさせないことを目的とした周術期の鎮痛」である. 近年, オピオイドレセプターのアゴニスト・アンタゴニストの研究が盛んになったが, 安全な鎮痛法の研究発展には重要な事項である。
  • 橋爪 圭司, 山上 裕章, 丸中 州, 八反丸 善文, 古家 仁
    1999 年 6 巻 2 号 p. 82-87
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    目的: 三叉神経領域の帯状癌疹痛・帯状疱疹後神経痛に対する, ガッセル神経節ブロック(GGB) の有効性を評価した. 方法: 局所麻酔薬とステロイドを用いたGGBを施行後, 2年間以上経過を観察した三叉神経領域の帯状疱疹痛, 帯状疽疹後神経痛19例について検討した. 結果: 施行2週間後では, MMPIにて人格偏位の認められない症例で, 有意に有効率が高かった. 施行2年後では, 知覚脱失例に比べて知覚低下例で, 有意に転帰が良好であった. そのほか, 罹病期間が短い症例や, 発作性電撃痛に, 有効例が多い傾向が認められた. 結論: GGBの効果は, 病前人格に大きな偏りがなく, 比較的早期例で, 発作性電撃痛か, 皮膚知覚の温存された症例に対して期待できる.
  • 金古 逸美, 内田 和秀
    1999 年 6 巻 2 号 p. 88-92
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    ヒトの疼痛感受性には日内変動があるとする報告が散見され, 実験動物では疼痛域値の日内変動が証明されている. 本研究では, この変動が外部環境に基づく外因性リズムか, 自律的な内因性リズムであるのかを, 数種明暗条件下にホットプレート法で追究した. 12時間明暗周期で疼痛域値の日内変動が認められたが, 恒明および恒暗条件下では認められなかった, 疼痛域値の日内変動は外因性リズムであることが示唆され, 砂時計機構が関与している可能性が考えられる.
  • 中保 利通
    1999 年 6 巻 2 号 p. 93-99
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    目的: 帯状疱疹患者の知覚障害と皮膚温から, 神経ブロック治療前に重症度と予後を知る. 方法: 78名の帯状疱疹患者 (男42名, 女36名, 平均66歳) を対象とし, 初診時に触覚および冷覚で知覚障害の程度を調査するとともに, 罹患部および対側健常部の皮膚温を測定した. このうち35名では初診時だけでなく, 追跡調査も行ない, 知覚障害, 皮膚温と発症からの経過期間や治療期間などとの関係につき検討した. 結果: 発症30日以内の症例 (n=37) では31日以上の症例 (n=41) よりも罹患部皮膚温が有意 (p<0.01) に高く, 初診時の触覚低下症例 (n=43) は, 正常 (n=16) または過敏症例 (n=19) に比して有意 (p<0.05) に発症から初診までの経過期間が長かった. 三叉神経領域の皮膚温は胸神経領域より有意に高く, 両領域で異なる推移を示した. 罹患部皮膚温は治療後に左右の温度較差が減少した. また多くの症例で知覚の改善が認められた. 結論: 帯状疱疹の臨床経過に伴った皮膚温と知覚所見の推移について, 有意義な知見を得ることができ, 重症度と予後を推測する指標として皮膚知覚特に触覚低下の有無が参考となった.
  • 太田 孝一, 樽見 葉子, 前野 宏, 久原 幸, 大和田 栄治, 石谷 邦彦, 並木 昭義
    1999 年 6 巻 2 号 p. 100-104
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    腎機能障害を合併した終末期癌患者で, モルヒネによる癌疼痛治療を行なった3名を対象として, 血中モルヒネ, モルヒネ代謝物濃度を, 経時的に検討した. 腎機能障害を合併した終末期癌患者では, モルヒネ, モルヒネ代謝物とも上昇する. とりわけ, BUN, 血中クレアチニン値ともに上昇する高度腎機能障害では, モルヒネ代謝物の蓄積が顕著で, 予期せぬ副作用がみられる可能性があり, 血中モルヒネ, モルヒネ代謝物濃度を測定し, モルヒネ至適投与法を検討する必要がある.
  • 長谷 浩吉, 目黒 和子, 藤本 幸弘
    1999 年 6 巻 2 号 p. 105-109
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    顔面部の帯状疱疹に合併した外転神経麻痺に対して星状神経節ブロック (SGB) が奏功した2例を経験した. 症例1は81歳, 女性で右顔面全域の水疱性皮膚発疹と疼痛, 複視が出現し, 右三叉神経帯状疱疹の診断で薬物療法を受けた. 皮膚症状軽快後も, 外転神経麻痺と疼痛が残存したが, 1日1回のSGB (1%メビバカイン7ml) で疼痛の軽減, 眼球運動の改善がみられ, 15回のSGB後複視, 疼痛がほぼ消失した. 症例2は72歳, 女性. 左耳介後部皮疹と左顔面神経麻痺出現後複視が出現し, ラムゼーハント症候群, 左外転神経麻痺と診断された. 薬物療法で顔面神経麻痺は改善したが, 外転神経麻痺が残存し, 1日1回のSGB (1%メビバカイン7ml) を開始した. SGB開始後には左眼球の外転が徐々に可能となり, 13回目には眼球運動がほぼ完全回復した. SGBは帯状疱疹の疼痛のみでなく, 本症例のように併発症の治療にも有効であり, 発症早期からのSGBの施行が罹病期間の短縮を望めるものと思われる.
  • 樽見 葉子, 太田 孝一, 前野 宏, 石谷 邦彦, 並木 昭義
    1999 年 6 巻 2 号 p. 110-113
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    69歳, 慢性腎機能障害を合併する肺癌 (Pancoast 腫瘍) 患者. 神経原性疼痛を伴う癌疼痛治療の経過中に, 意識低下, ミオクローヌス, 嘔気などの症状出現により, モルヒネでの疼痛緩和が困難となった. このためモルヒネを減量し, フェンタニルに変更 (オピオイドローテーション) したところ, 良好な疼痛管理が可能となった. これに先立って測定した, モルヒネとモルヒネ代謝物であるモルヒネ-3-グルクロナイド (M3G), モルヒネ-6-グルクロナイド (M6G) の血中濃度との関係を考察した. 本症例では, 意識低下などの中枢神経症状の増悪に先行して, 血中モルヒネ代謝物の上昇がみられた. 慢性腎機能障害を合併する終末期癌疼痛治療において, 適切なオピオイドローテーションを行なうために, モルヒネ代謝物の蓄積の有無が重要な指標の一つになることが示唆された.
  • 1999 年 6 巻 2 号 p. 114-116
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
  • 1999 年 6 巻 2 号 p. A1-A3
    発行日: 1999/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
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