目的: 全国における低出力レーザー治療 (LLLT) の現状とその際の疼痛治療の効果判定に関する現状を把握し, 今後統一的な普及をはかるための可能性を検討した. 方法: 日本レーザー治療学会会員, およびペインクリニック学会の認定医指定研究施設の計410施設を対象にアンケート調査を行った. 調査内容は, 疼痛治療のための使用機器と治療方法 (含む機器の使用基準) および疼痛効果判定方法と有効率の算出方法が主であった. 調査期間は平成10年6月から10月までであった. 結果: アンケートの回答率は410施設中110施設であった (回収率26.8%). LLLTは72施設 (65.5%) で行われており, うち32施設はレーザーのみの使用で, 残り40施設ではスーパーライザーも併用していた. 各施設における疼痛効果判定をみると, 主として Visual Analogue Scale (VAS) を用いるところが34.4%, 主として Pain Relief Score (PRS) を用いるところが25.0%あった. また判定方法の分類として, 著効, 有効, 微効, (不変), 増悪の5分類が36施設 (35.6%), 著効, 有効, (不変), 無効または増悪の4分類が59施設 (58.4%) であった. しかしいずれの分類を用いている施設でも, そのほとんどが, 有効を著効, 有効のみとしていた. 結論: 同一条件で効果判定を行う際の一つの基準として以下の提案をしたい. すなわち, 照射方法として1点を10秒位, 1回の治療を10分位とし, 1週2~3回行う. 大体10回を目安とし, 中止はその施設にまかせる. 効果判定にはペインスコアを用い, 「0~10」のスケールを使用する. 即時効果は治療直後にPRSを用いて毎回記録する. 持続効果はVASを用いて治療開始時, 一定の期間を置いた時点と治療終了した時点で記録する. この際, ペインスコアの分け方としては劔物らによるLLLTの効果判定法に準じ10から0~2を著効, 10から3~5を有効とするか, 著効, 有効, 微効まで分けても有効率への算出は10から3~5までとすることで統一する.
抄録全体を表示