日本ペインクリニック学会誌
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9 巻, 2 号
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  • 伊藤 誠二
    2002 年 9 巻 2 号 p. 51-56
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    神経因性疼痛は侵害性刺激に対する痛覚過敏反応だけでなく, 痛みを起こさない触覚刺激による痛み (アロディニア) を伴う. アロディニアの発生機構を明らかにすることは治療のうえでも学問的にも重要な問題である. これまで神経因性疼痛には坐骨神経結紮モデルが頻用されてきたが, われわれは, 直接脊髄腔内に投与したプロスタグランジンE2が痛覚過敏反応だけでなくアロディニアを誘発することを見出した. 今回, ノックアウトマウスを用いた解析を含め, 最近の知見を交えて神経因性疼痛の分子機構を報告する.
  • カプサイシン・Vanilloid receptor と疼痛制御
    富永 真琴
    2002 年 9 巻 2 号 p. 57-61
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    近年, 感覚神経特異的に発現して侵害性刺激によって活性化するいくつかのイオンチャネル型受容体の遺伝子クローニングがなされた. この受容体の一つ, トウガラシの主成分カプサイシンの受容体VR1は6回膜貫通型のイオンチャネルであり, 生体において痛みを惹起するカプサイシン, プロトン, 43℃を超える熱によって活性化される. このカプサイシン受容体の機能は, 受容体欠損マウスの行動解析によっても確認された. 感覚神経終末における痛み刺激受容を調節している炎症関連メディエイターの一つである細胞外ATPのVR1活性に対する効果を検討すると, ATPはカプサイシン活性化電流およびプロトン活性化電流を増大させた. また, ATP存在下ではVR1の熱による活性化温度閾値は42℃から35℃に低下し, 体温でもVR1が活性化して痛みを惹起する可能性が示された.細胞外ATPは代謝型P2Y1受容体に作用してPKC活性化を介してVR1機能を制御することが判明した. このATPの効果は後根神経節細胞でも観察された. これは, 細胞外ATPによる疼痛発生の新しいメカニズムである. このように疼痛発生の分子機構の解明が進み, 新たな鎮痛薬開発につながるものと期待される.
  • 山上 裕章, 福島 哲志, 柳井谷 深志
    2002 年 9 巻 2 号 p. 62-69
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    経皮的椎間板摘出術に神経ブロック療法を併用した腰椎椎間板ヘルニア455症例について検討を行った. 従来の施行適応を拡大し, 椎間板造影・ステロイド注入で再現性疼痛があるか, 一過性効果が認められた症例を経皮的椎間板摘出術の施行対象とした. 術後10日以内に必要に応じて神経ブロック療法を行った. 術後1カ月の有効率は59.8%, 術後6カ月の有効率は68.6%であった. 従来の適応症216症例の有効率は, 術後1カ月で69.9%, 術後6カ月で79.6%であった. 骨棘や脊柱管狭窄を伴う拡大適応症239症例では, 術後1カ月で50.6%, 術後6カ月で58.6%であった. 術後の神経ブロック療法では, 椎間関節ブロック, 腰部交感神経節ブロックが特に有用であった. 経皮的椎間板摘出術と神経ブロック療法の相加・相乗効果により, 拡大適応症例の約50%に十分な改善が得られた.
  • 太田 孝一, 並木 昭義
    2002 年 9 巻 2 号 p. 70-73
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    高周波熱凝固法による脊髄後枝内側枝ブロックを低温群と高温群に分け, 鎮痛効果と鎮痛期間について比較検討した. 方法: 高周波熱凝固法による脊髄後枝内側枝ブロックを行った124例を, 低温群 (45~50℃, 60秒) と高温群 (60~65℃, 60秒) に各62例ずつ無作為に分けた. ブロック後12カ月間, 1カ月ごとに鎮痛効果を定期的に評価した. 統計学的処理は, Mann-Whitney U 検定で行った. 結果: ブロック後は, 全例, 臨床的に有効な鎮痛効果を得た. 平均鎮痛期間 (平均値±SD)は, 低温群6.7±4.0カ月, 高温群7.5±3.6カ月で両群間に差はなかった. 12カ月以上有効であった症例は, 低温群, 高温群それぞれ17例 (27%), 12例 (19%) であった. 結論: 高温 (60~65℃) と比較して, 低温 (45~50℃) 脊髄後枝内側枝ブロックは, その鎮痛効果, 鎮痛期間とも遜色がなく, 患者への侵襲も少ないため, 高温高周波熱凝固に変わりうる方法である.
  • 西木戸 修, 舘田 武志, 岡本 康朗, 宮沢 章子, 山中 郁男
    2002 年 9 巻 2 号 p. 74-76
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    41歳, 女性の脊椎麻酔下にて虫垂切除術後, 右大腿神経麻痺がみられた. その原因は右大腿神経が開創鈎により圧迫されたためと考えられた. 腰椎3/4間から脊髄クモ膜下腔を穿刺 (22G針)し, 0.5%高比重ブピバカイン3.0mlでT8以下の痛覚消失を確認した. 手術開始2時間15分後に手術の延長のため, 酸素, 亜酸化窒素, セボフルランによる全身麻酔に移行した. 患者は手術翌日より右大腿から下腿内側にかけてのしびれ感と歩行困難を訴え, 麻酔科にコンサルテーションがなされた. 臨床所見, 神経学的検査, 手術所見, MRI検査, 筋電図から大腿神経麻痺と診断し, 薬物療法とリハビリテーションを開始した. 術後12日目に筋力低下は回復し, 感覚低下と感覚異常の範囲は徐々に縮小し術後44日目にほぼ消失した. このような術後神経障害に対処するには, 脊椎麻酔による神経障害との鑑別が重要である.
  • 山田 圭輔, 遠山 一喜, 明星 康裕, 西塚 一男, 遠山 芳子, 浅地 直
    2002 年 9 巻 2 号 p. 77-81
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    目的: 星状神経節ブロック (SGB) において, 穿刺部位の損傷を小さくする目的で, 先端を三角錐に刃付けし, 薬液注入のための側孔を設けたSGB専用のブロック針 (SGB針) を試作し, その特性および臨床使用の効果を検討した. 方法: SGB針での損傷範囲および穿刺抵抗を市販の注射針(八光社製) と実験的に比較した. また, SGB針を臨床に使用し, 19名の患者で89回のブロックを行い, ブロックの効果, 合併症, 術者の感想および患者の訴えを検討した. 結果: SGB針の穿刺時の損傷範囲は小さく, 穿刺抵抗は市販の注射針と同等であった. 臨床での使用においても, 穿刺および薬液の注入に支障はなかった. ブロックの効果は良好に得られ, 重篤な合併症はなく, 皮下出血や硬結を認めなかった. 患者からのSGB針に関する不快な訴えもなかった. 結論: 試作したSGB針は臨床での使用が可能であり, 穿刺による組織損傷を小さくできる可能性が示唆された.
  • 秋田 宏樹, 尾上 公一, 高橋 伸二, 鳴海 孝, 河西 稔
    2002 年 9 巻 2 号 p. 82-85
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
    慢性落痛に対し, 機械式患者自己調節鎮痛 (PCA) ポンプ (サブラテック6060TM) を使用したところ, 使用開始直後より頻回にアラームが鳴り, 患者からは不安, 看護婦からは対応法の苦情がみられた. アラームデータと苦情を照合整理し, 改善点を検討した結果, 患者, 看護婦への機械そのものの説明不足と装置, 操作の問題点が明らかとなった. これらの改善点を念頭におき, 機械式PCAポンプの使用開始時に, 患者, 看護婦へ説明用冊子を配布し, アラーム条件の変更, エアベント付きフィルタの採用などの対処をした. 改善後は, アラーム発生が1度に減少し, 患者, 看護婦からの苦情もみられなくなった.
  • 2002 年 9 巻 2 号 p. 86-93
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 9 巻 2 号 p. A1-A5
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/12/21
    ジャーナル フリー
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