日本ペインクリニック学会誌
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委員会報告
  • 日本ペインクリニック学会安全委員会, 松崎 孝, 西木戸 修, 松田 陽一, 前田 愛子, 綿引 奈苗, 山田 信一
    原稿種別: 日本ペインクリニック学会安全委員会報告
    2026 年33 巻5 号 p. 89-95
    発行日: 2026/05/25
    公開日: 2026/05/25
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    日本ペインクリニック学会安全委員会では,2009年より毎年ペインクリニック専門医指定研修施設を対象に有害事象調査を行っている.入力方法も2019年より紙ベースからEXCELファイルに報告を変更し,2022年よりホームページへ直接入力と変更になった.ここ5年間の傾向として,鎮痛薬・鎮痛補助薬に関する重大な有害事象3b以上は減少傾向で,左右部位間違いや医療機器の扱いに関する有害事象も減少傾向であった.硬膜外ブロックや星状神経節ブロック,肋間神経ブロックに関する有害事象は一定頻度で発生しているが,重篤な後遺症はなく対応できている.今回EXCELファイル変更後から5年分のデータをまとめて,有害事象の傾向と対策に関して報告を行う.有害事象の発症要因や状況の究明と把握を行い,学会内で情報共有の強化と再発防止に向けた対策の提言を行っていく方針を継続する.

症例
  • 運天 優拓, 服部 貴文, 山口 修平, 多和田 倫也, 平良 豊, 松原 貴子
    原稿種別: 症例
    2026 年33 巻5 号 p. 96-99
    発行日: 2026/05/25
    公開日: 2026/05/25
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    【はじめに】複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome:CRPS)に対しては,運動が第一選択治療として推奨されているが,重度の疼痛や運動恐怖により運動導入が困難な症例も存在する.今回,複数回のギプス固定を契機に重症化したCRPS症例に対し,神経ブロックを併用した段階的運動療法を実施したため報告する.【症例】60歳代女性.転倒による右橈骨遠位端骨折に対しギプス固定が施行された.ギプス除去時の疼痛により再固定が2回行われた.受傷後56日目に最終除去となったが,疼痛は遷延したため受傷後71日目に当院を受診しCRPSと診断した.【経過】初診時,右手部痛はnumerical rating scale(NRS)8/10であり,自律神経症状と可動域制限を認めた.疼痛と運動恐怖のためリハビリテーション介入が困難であったが,星状神経節ブロック後に疼痛が軽減したため段階的運動療法を導入した.介入2週後にNRS 3,4週後にNRS 1へと低下し,患部使用頻度も増加した.【結語】神経ブロックの併用は,CRPSにおける運動療法の早期導入を補助し,疼痛改善に有効であった.

  • 福重 哲志, 野口 幸志
    原稿種別: 症例
    2026 年33 巻5 号 p. 100-103
    発行日: 2026/05/25
    公開日: 2026/05/25
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    crowned dens syndrome(CDS)は,頸椎歯突起周辺靱帯にピロリン酸カルシウムが沈着し炎症を惹起することにより,頸部痛,炎症反応を生じる偽痛風発作である.今回,熱中症が関与したと思われる60歳代男性と整形外科術後の60歳代男性の2例に生じたCDSを経験した.1例目は当科では診断に至らず脳神経外科で診断に至った.1例目の経験を踏まえ2例目の診断は容易に行えた.CDSの診断ではこの疾患の認識が最も大切である.また,2例とも脱水が誘因になったと考えられた.高齢者で回旋制限を伴う強い頸部痛,炎症反応亢進状態を示す血液検査,computed tomography(CT)で歯突起周辺のカルシウム沈着を認めれば,CDSの診断は比較的容易である.一方,髄膜炎との鑑別診断には細心の注意を要する.

  • 矢部 充英, 目黒 匠, 宅野 結貴, 森 隆
    原稿種別: 症例
    2026 年33 巻5 号 p. 104-107
    発行日: 2026/05/25
    公開日: 2026/05/25
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    【はじめに】がん患者で化学療法をその副作用のために継続できなくなることは少なくない.【症例】73歳,女性.S状結腸がん術後,化学療法中に右下腹部痛が出現し,化学療法の継続が困難となった.血液検査,腹部造影CT検査,下部消化管内視鏡検査では異常はなく,化学療法を始めてから四肢,腹部の冷えと倦怠感が現れたことから腹部に近赤外線照射を施行し,当帰四逆加呉茱萸生姜湯を5 g分2で処方した.3週間後,冷えと痛みは改善したが,倦怠感の訴えが強かったため人参養栄湯を追加したところ症状が改善し,化学療法を再開・継続できた.【考察】化学療法中のがん患者は冷えや倦怠感を訴えることが多く,化学療法性末梢神経障害に加えて局所の血流障害が要因と考えられる.腹部の冷えに着目し,漢方を使用して冷えを改善することで症状が緩和され,化学療法を継続することができた.

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