精密成形品用の金型について,その要点等を列記してまとめてみたい.
(1) 金型の剛性を高くすること.モールドベースの材料についてもよく吟味する.
(2) 鋼材の熱処理は出来るだけ回数多く行って, 機械加工時のひずみを取ること.熱処理は鋼種の特性に従って行うこと.
(3) 加工及び測定の温度環境に留意すること.鋼材は素手で触れても膨張する. 機械はスタートすると油の温度が上がって主軸等が膨張する.
(4) 研磨後の精度を出すためには, 可能な限り研磨代を少なくすること(研磨代は筆者のところでは最大2μmである).そのためには精度は機械加工で出すこと.
(5) 機械加工時にワークに加工変質層が発生するのを避けること.ツールの選択,切込み量,切込み回数, 切削・研削の速度等がポイントである.
(6) 上型下型の型合わせ精度はリーダピンによらないこと.
(7) 寸法測定は必ず基準面から行うこと.
(8) 金型温度調節は複数の方法で行うこと.
(9) 多数個取りでキャビティ配置,ランナ距離等に配慮してバランスを取ること.
(10) 成形機との結合性をよく考えること.スプルーは短い方がよい.
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