表面欠陥検査が,産業界の広い分野で必要とされ,個別にさまざまな開発を行いつつ対処しているものの,現状ではまだ不十分な状態にあることが,アンケートの結果などからも明らかである.そこで,現在取り組まねばならない主要な開発課題を列挙すると,次のようになる.
(1)表面欠陥に対する大規模な調査,形態の系統的分類,名称の整理,これらを通じての標準化への対応
(2)光学的手段を中心に,欠陥検出に対する多様な測定法およびセンサの開発
(3)画像情報処理やパターン認識など,生物の高度な機能を参考にしたソフトウェアの開発,エキスパート的判断をするための強力なデータベースの構築
これらに加えて,周辺機能として,ズーミング,センサの移動,角度変化などのハードメカニズムの発達も忘れてはならない事項である.
以上,一般的または総合的な意味での表面欠陥検査に対する動向を述べた.ただし,実際はむしろ,今まで地道に行われてきたような,狭い領域での個別の対応の積み重ねによって,全体のレベルも向上してゆくように思われる.しかし,産業の発達により,品質管理はますます厳しくなってきている.表面欠陥検査は,その代表的なものであり,このへんで課題や方向を見直し,全体として取り組むべきものについては,英知を結集して問題を解決することも必要であろう.
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