6号瞬発電気雷管1本を, 満水の密閉円筒内で爆発させて, キャビティ半径R
c=36mm肩の丸みρ
r=3mmのダイスで, 直径100mm, 厚さ0.8mmの黄銅板を自由成形させたとき, 次の結果が得られた.
(1) 加工限界が見い出された.その限界値は接触角が90°, フランジからドーム頂点までのたわみZ
pが, ダイス寸法と変形前後の被成形材厚さt0, tだけで幾何学的に決まり,
Zp=
Rc+ρr+ (t0+t) /2=
39.2mmになる.また, このときのドーム部分は半径がR
cに等しい半球になる.
(2) 雷管の爆発エネルギーを3.0kJとすると, 加工限界で被成形材への透過エネルギーは1.2kJ, エネルギー効率は40%になる.
(3) 雷管と被成形材との距離が至近のときの透過エネルギーは, 0.79kJ、エネルギー効率は26%であり, 1200mm離したときの透過エネルギーは0.16kJ, エネルギー効率は5.5%に減少する.また, 透過エネルギーUkJ並びにエネルギー効率ηは, 距離hmに関して次式で結ばれることが分かった.
U=
0.789exp (-
1.31h), η=
0.263exp (-
1.31h).
(4) 至近距離であってもエネルギー効率は26%であり, 加工限界のときのエネルギー効率40%には及ばない.そのため, 至近距離でも加工限界に達することはない.
(5) 雷管から被成形材までの距離と, 被成形材への透過エネルギーとの関係は, Kirkwood-Betheの1/3乗恥があてはまらない.その理由は, 本実験で扱う雷管の薬量が微小であること, 及び距離が近いことに起因するものと考えられる.
(6) この計算方法は, ブラストメータの解析にも有用であると思われる.
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