本論文では,力学的なシミュレーション技術を利用した,図形の配置設計の支援手法について議論した.まず図形配置に関する制約を,領域的な制約と寸法制約の2種類に分類し,力学的なシミュレーション技術を用いて,領域的な制約を対話的に充足させる手法を示した.次に寸法制約の多くが,図形問の距離や姿勢を拘束する平面リンク機構と見なせることを説明し,同じシミュレーション技術により,寸法制約の図形の位置姿勢に及ぼす影響が,適切に評価できることを示した.提案した手法に基づいて配置設計支援システムを試作し,手法の有効性を検討した.
作成したシステムは実験的なものであり,実用化のためには以下のような課題が残されている.
(1) 現状では図形を配置する操作として,マウスによるドラッグ操作だけを用意している.Haradaらの提案している離散的な移動など,より多彩な配置操作を実現する必要がある.
(2) 本論文では,領域的な制約に対応する障害物の導出法については議論していない.領域的な制約を整理し,汎用性の高い導出法を確立する必要がある.
(3) 寸法制約は,仮想的なリンク機構を定義したファイルを読み込ませることで入力している,これについても,自然な入力用インタフェースを用意する必要がある.
(4)本システムで最も時間を要する処理は,図形間の接触点の検出である.連続的に移動する図形間のすべての接触点を, ほぼ一定時間で検出できるなどの手法の導入を検討している.
実用性の高いシステムの完成後に,より詳細な評価実験を行いたいと考えている.
抄録全体を表示