本論では,STEPのAP開発において,最も手間と時間がかかる制約に注目し,制約の作成および記述の作業を容易にする一手法として,制約のマクロ化を試みた.その結果,
(1) マクロ化によって,いくつかの基本的な制約のパターンは簡潔なマクロ式に置き換えることができるため,制約の記述および理解はより容易になる.
(2) マクロ言語処理系によって,そのマクロ式は正確なEXPRESS構文に変換できた.
今後の展望としては,まずマクロを実際のAP翻案作業に適用しその有用性を評価する必要がある.その結果を今後の開発に適用していかねばならないが,現状では次の作業の必要性を予想している.
(1) マクロの拡張
現状では対応できない複数の構文の組み合わせによる高度な制約の要求に対応させる.また,さらに多くのAPを調査することで,マクロ化できる新たな制約の部分が抽出できる可能性がある.
(2) 実用化に向けて
実際に制約を書くには,属性などをEXPRESS-Gツール上で直接指定し,リファレンス情報を生成して制約に取り込む機能が必要である.これにより間違いの少ない,確実な制約の記述が行える.最終的には,このようなEXPRESS-Gツールを含めた翻案作業を支援する統合システムが開発できれば,この制約記述マクロ言語はより実用レベルに近づくことが期待できる.
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