1982年開催の日本国際工作機械見本市 (第11回) で, 主軸回転数が毎分1万回転を越えた機械が3台出展された.15年経過した現在, 高速加工への関心が高まっており, この種の加工機が少しずつ普及している.また, 高速加工とりわけ高速ミーリングに関する基礎研究も開始されており, 加工精度, 加工面性状, 切削力, 工具寿命, 切削温度等の加工特性が少しずつ明らかにされている.本文は著者らが検討を行ってきた内容を要約して示したが, 工作機械メーカにおいても様々な取組みを行っており, 前述の技術講演会のテキストにはその内容と多くの加工事例が紹介されている.また, 著者の一人 (賀井) が所属する金型メーカにおけるプラスチック金型への適用事例 (図9) では, 加工後に磨き工程をほとんど必要とせず, 加工時間の大幅な短縮に予想以上の効果があることが明らかにされている.
一方, 中川はボールエンドミル加工が高速加工に適した加工であり, 図10に示すようにCBNを工具材料に用いれば, 近い将来高硬度材に対して切削速度1000m/minの超高速加工も可能になると予測している.しかし, 超の文字が付かなくても吉田が指摘するように高速加工技術は奥が深く, 今後高速・高精度加工を一層普及, 発展させるためには, 工作機械ならびに制御装置に関係する技術的な課題に加えて, 工具に関しては長寿命を実現する材料, コーティング技術, 切れ刃形状, 保持具に関しては偏心が小さく, 高速回転時においても十分な把持力とパランスの良いチャック, さらには効率的な工具経路を出力するCAM等検討すべき多くの課題も忘れてはならない.同時に, それらの課題を解決または改善するためにも, 高速・高精度加工に携わっている多くの研究者, 技術者による基礎研究を通じた様々な試みおよびその結果得られる貴重なデータの蓄積と公開がとても重要であると考えている.
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