球軸受等が製作されたる場合其の良,不良を簡單に檢査する爲に圓盤に或囘轉を與へ圓盤の囘轉速度の減衰をストロボスコープ方法に依て測定する方法が便利である.著者は此のストロボスコープ方法に依て球軸受に就て研究し,球軸受に與へる給油量に從ひ目掛けの摩擦係數が著しく變化する状況を測定した.次に同樣なストロボスコープ方法を用ひ,テーパ軸受の檢査器に應用して好結果を得た.テーパ軸受は旋盤等の工作機械に多く使用されて居るが,テーパ軸受の締工合を數量的に檢査出來る方法は必要である.即ちテーパ軸受に於てテーパブッシュの締工合が適確でなければ囘轉軸及軸受面が焼付いたり又は破損したりする恐れがある.この事は從來テーパ軸受の締付程度を工員等の感に依て行つたからで,熟練工員でもテーパ軸受の適確なる調整は相當面倒である.斯樣に工員等の感又は熟練に頼らずしてテーパ軸受の滑動面に作用する接觸壓力及摩擦係數を簡易に檢出出來る測定理論を明かにした.各異のテーパブッシュの締程度に依て接觸壓力及摩擦係數を測定して好結果を得た.著者のテーパ軸受檢査器はストロボスコープ方法を應用し實用に供し得る事を確めた.
著者の提案せる軸受檢査器による測定結果を綜合すれば球軸受,テーパ軸受の性能試驗に適することを明かにした.ストロボスコープの點滅周波數を豫め正確に較正して置けば,測定の際に入り得る誤差の因子少くして所要の摩擦係數μを比較的精度大にして檢出することが出來た.從つて各種の球軸受,ローラー軸受等の製品檢査に適するものと思はれる.
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