精密齒車の第1條件は先づ刻み精度が高いといふことであらう.このために, 現在齒切りに從事してゐる技術者は, 齒車の刻み精度を高くすることに專ら力を集注してゐるのである.
さて齒車を仕上げる際に, 直接に割出板を使用することがあり又間接に齒切り用のカッタを製作する際に割出板を用ふることがある.これ等の場合に仕上げられる齒車の刻み精度を高くするには, 割出誤差の非常に少ない精密割出板が必要になつて來る.又特に割出精度の高いスブライン軸を仕上げる際に直接に割出板を使用することがある.
筆者はこれ等の目的を以て, 精密割出板を研削仕上する方法に就て研究し, 特に割出板研削盤を設計製作して割出板の研削仕上を行つてみた.
一般に精密割出板を研削仕上するのに, 親となるやうな特に精度の高い割出板があるか又は特に精度の高い割出装置があれぼ甚だ好都合である.併し現在に於てはこれ等の入手は極めて困難である.そこで筆者は, 全然親を使用せずに精密割出板を研削仕上することを試みた.こゝには試作せる割出板研削盤並に實際に割出板を研削仕上せる方法及び結果に就て述べる.
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