以上の研究は濕式ラッピング工作法の場合のラップ劑の切削作用について行つたものであるが, その結果を總括すれば次の欄になる.
i) ラップ劑の濃度は重量比30%位の時が最もラップ量が多い.此の場合ラップ剤粒子の間隔はその粒子の大さ程度である.
ii) ラップ劑の粒度によるラップ量は粒子が小い間は粒子直径に比例して増加するが, 或大さの粒度以上ではその増し方がゆるくなる.此の限界の粒度なラップ劑の種類のみでなくラップ壓力によつて變つてくる.
iii) ブップ劑は普通はいづれかの面に附着して滑り相手方を切削している.南面の間を轉り動く事は少い.
iv) 鋼をラップする場合にはアランダムとカーボランダムとで, 切削能力大差はないが, 耐久性の點ではアランダらの方がよく, ラップ面の粗さもアランダムの方がよい.
v) ラップ壓力を次第に増してゆくとラップ量に極大極小の點を生じ, これはラップ劑のこわれ方で説明出來る.又この極大値の壓力はラップ劑の種類のみでなくその粒度によつても變つてくる.
vi) ラップの磨耗を極めて少くして鋼をラップするには, 焼入鋼をラップとしてカーボランダムを使えば, 荒ラップとしては大層工合がよい.
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