以上の試驗結果より銅の壓延板について次のことが結論される。
1. 衝撃せん斷仕事はせん斷速度の大きくなると共に増大し,クリアランスが異つてもその増加の割合は殆ど同じである。從つて實際のプレス加工において,プレスの囘轉數を大きくするとせん斷加工に必要なエネルギも大きい。
2. せん斷速度を同一にした場合,クリアランス,試片の支持法,せん斷方向等のせん斷仕事に對する關係は静的せん斷の場合と定性的には全く同一である。
3. 試片のせん斷切口形状に關しては,かえりを除外すると,せん斷速度の影響は殆ど認められない。實用のクリアランス範圍ではかえりもせん斷速度の影響はないと考えてもさしつかえはない。
4. 以上の事柄より靜的せん斷試驗の研究結果から動的なせん斷加工性を豫測できる。實際の現場における加工速度はこの實驗のせん斷速度よりずつと小さいので,静的せん斷の研究結果で實用上は間にあう。
5. せん斷製品の彎曲と寸法に關しては,せん斷速度の影響が認められ,せん斷速度が大きくなると彎曲は大きく,製品の寸法も大きくなる傾向がみられる。しかし後者に關しては製品の實際寸法のばらつきが割合に大きいので,特に取上げる必要もなさ相である。
本報では銅の壓延板についての試驗結果を報告したのであるが,ヂュラルミン板(厚さ3mm)について行つた試驗結果も本報と同様な傾向を示したことを附加えておく。
抄録全体を表示