以上時計油の潤滑を主とした実験をやつてみ元結果,時計の作動に対してはいわゆる油性のよい油が適しており,これはテンプの自由振動に於ける減衰で比較できる。尚時計油は従来粘度が高いと望ましくないとされて居つたが、これは少くとも30℃で110CSの粘度のものまでは殆ど関係がないことが判明した。
油の散逸に対してはその原因の中のいわゆる拡散と云う点に着目すると,油により非常に異り,且つ重要な要素でもあるので,プレパラート上の拡散により比較した。この性質は油の他の物性と如何なる関係を有しているか現在の所不明である。
然し実際時計にさした場合の拡散性とはよく一致しているので,比較としては充分役にたち時計油の試験法としては意味があると考えて居るわけである。
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