ローラーチェインの伸びを減らし,壽命を長くする為には,ピンとブッシュの間の磨耗を減らす事が最も重要であるとの着眼の下に行い,以上2回にわたつて報告した実験の主な結果を総括すると下記の如くである。
1)ピン及びブッシュの加工法を改めてその仕上程度を向上すれば,初期磨耗,定常磨耗共に著しく減少し,定常磨耗は乾燥状態でも約半減する。
2)油入りの場合には油膜を保持する事が最も重要で,その意味で仕上面を向上した効果は更に著しい。
3)油入りの場合には油膜の保持と云う点で粗さと共に亘視的な寸法精度が重要であり,樽型或は鼓型になり易い加工法では特に注意を要する。
4)油入りの場合と同じ条件の乾燥状態の場合とで,磨耗量の比は数十分の一乃至数百分の一となる。そして此の比の相違は主として上記の亘視的な寸法精度の差に依るものと思われる。
5)マシン油に対する接触角は微細な凹凸のある面の方が小さく,潤滑と云う点では液体ホーニングを施した面が最も優れて居る事が分つた。
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