被削材を炉中で加熱し乍ら二次元切削した以上の実験から得られた主な結果は以下の如くである.
1.切削抵抗は一般に被削材温度の上昇に伴つて単調に減少する.その原因は被削材の降伏剪断応力の低下が主であるが,剪断角の増大も原因している.
2.炭素鋼の如き耐熱性の低い材料を極く低速で切削する場合には,500℃以上に加熱すると剪断角が減少し且つ被削材が押しつぶされて切削幅も増加する為に切削抵抗は増大する.
3.クロムモリブデン鋼では温度上昇に伴う切削抵抗の減少率は炭素鋼より少い.
4.切削の形状は被削材の伸びと密接な関係を有し,青色脆性及び二次脆性を示す温度では切削の連続性が低下し,それに伴つて仕上面も粗くなる.
5.600℃附近削加熱するとすくい角-10°の鈍角バイトを用いて極めて低速で削つても1μ程度の非常に平滑な面が得られる.之は高温の為に構成刄先が消滅する為と考えられる.
6.切削速度が増せば切削熱による温度上昇が増大するから,より低い被削材温度でも前項の平滑面が得られる.
7.被削材温度が上昇すると切削抵抗におけるSize Effectは減少する
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