前報 (切削剤を用いた金属切削における刀先滅度の計算) の5.計算例において, 勢断面温度の刃先温度に及ぼす影響は大ぎく, その勇断面温度は連続切削の場合, 加工物に流入し表面近くに留まつている熱量によつて生ずる加工物表皮の温度上昇によつて高められているので, 加工物の冷却はゆるがせに出来ないことをのべた。本報では, まず, 加工物を冷却したときの表皮の湿度上昇を求めたのち, その冷却程度が匁先温度に及ぼす影響を考察する。
いま, 定常切削状態において, 切削個所から加工物に流入する熱量をQcal/cm
2sとする。普通の流下式の場合, 切屑と工具を冷却したのちの幾らかの量が加工物にそつて流れるにすぎず, 切削点以下1/4周が冷却されるのが普通である。よつてその冷却効果は相対表面熱伝達率
hと熱流入聞隔
t0 (とくに旋削では回転数
N) に関係することは容易に想像がつく。しかし, (
a) 切削液の拡つた部分であるうえに切屑, 工具に邪魔されるため, 切暦におけるよりも, 加工物単位表而積当りの吸熱に与る液量が少いこと, (
b) さらにこの液体量は相対速度のうえから切削速度が早くなるほど少いこと, によつてそれぞれ
hが非常に小さな値になることに注意しなければならぬ。
1.2次元連続切削において冷却能
hで加工物が冷却されるとぎ, 加工物表皮の温度上昇を階差法によつて求めた。その結果は式 (10) で与えられる。
2.現在使用されている切削剤・沖油法の冷却状態如何は, 丁度常川速度で大いにその冷却効果を異にする。
3.加工物冷却効果は, 勇断面温度の低下となつて刄先温度を下げる。これは低速軽切削で著しい。 (図6)
4.普通に行われる3つの冷却の場rrを仮定し (表2) それぞれの刄先温度低下効果を考察した。 (図7)
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