以上の研究によつて次の事項がわかつた。
(1)研削における砥粒切刄を追跡することによつてその脱落,欠損,摩耗の様子がわかつた。
(2)研削を行うことによつて砥粒切匁は摩耗して平滑となるが,その摩耗面は研削方向に深さ1μ,ピッチ0.02~0.04mm程度の条痕をもつ。
(3)砥粒の摩耗量をその追跡写真より求めた結果,焼入鋼の研削にはC系砥粒は摩耗が甚だしくて不適であり,A系ではSA砥粒(単粒砥粒)の摩耗が最も少いことがわかつた。
(4)砥石作業面上の砥粒切刄の分布を示す切刄チャートを作り,これより連続切刄間隔を求めた。
(5)連続切刄間隔は粒度,結合度,砥粒率一定のA系砥石でも,目直し後は異つており,WAが最も大きく,SA,Aの順となる。またこれらの砥石の結合度Mのものでは研削作業の進行に連れ,砥粒の摩耗によつて,連続切刄間隔が短くなつて行き一定値に近付く。GC砥石の結合度Gのものでは日直し後の連続切刄間隔は大きいが,研削に当つては砥粒の脱落と欠損とによつて急激にその値が大きくなる。
抄録全体を表示