被圧接材にNi基超耐熱鋳造合金713Cと窒化鋼SACM-1の10mmφ中実軸を用いて摩擦圧接実験を行なった結果を概括するとっぎのとおりである
1)最適圧接条件を決定するには,実験回数も少なく断定的な結論は得られなかったが,本実験では,リングを使用してSACM-1側の自由変形を防止し,回転数2400rpm,加熱圧力
P110.8kg/mm
2,アプセット圧力
P219.0kg/mm
2,加圧時間
T20sec以上に圧接条件を設定した場合には,引張り強さはSACM-1母材と同程度であり,接合部で破断することはなかった.
2)X線マイクロアナライザによる線分析の結果,加圧時間が長いため接合部は複雑な様相を示し,幅約50μのじょう乱層中に引きちぎられた713C材が存在することが認められた.
3)また,アプセット部分外周に母材中のAl等が圧接時に酸化して生じたと思われるAl
2O
3,Cr
2O
3等の介在物が本実験で認められたが,母材部分にはこれらの介在物は認められず713C材とSACM-1材の接合状態はほぼ完全であった.
一般に耐熱材料の溶接では,脱酸剤や析出物等の影響でクラック等の欠陥が起きやすく,無酸化雰囲気中で作業をする必要がある等完全な溶接作業を行なうことは困難であるが,摩擦圧接によれば,これらの問題は上述のように無視することができ,今後耐熱材の溶接法として実施可能と考えられる.
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