接触式変位測定器による寸法測定の手順及び操作を検討し, 計測器及び測定者の系から発生する誤差のモデルを定式化し, それを確認するための実験を行った.
(1) 寸法値は本質的に二つの座標値の差として表されること, 及びこの座標値に入る誤差を偏りとばらつきに分離して表すことによって, 誤差のモデルを得た.それによると, 測定誤差は目盛付けの誤差, 最適値を捜す操作によって生ずる誤差, その他測定の機構により生ずる誤差に分けることができる.
(2) 誤差のモデルに, 有効操作回数の概念を導入することによって, 最適値を捜す操作による誤差の一部が小さくなることを明らかにした.フィードバックによって誤差分散の一部は小さくなるが, 小さくならない部分があり, 測定のパフォーマンスにとってフィードバックはあまり意味がない.
(3) 座標値の分布が測定機構上の制約によって打切り点をもてば, 寸法値の分布は正規分布からはずれ, とがりをもち, 右 (δ>0) にすそをひく形となる.
(4) 以上の考察の結果は, 接触式変位測定器による, フィードバックの有無によるパフォーマンスの違いをみるための実験結果とよく一致した.
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