ドイツ連邦共和国 (西ドイツ) において, 国家的な研究開発は, 連邦経済省, 連邦教育科学省, 連邦研究技術省等により行われているが, 中でも連邦研究技術省の役割が大きい (図1参照).西ドイッの場合, 州の独立性が強いため, 連邦と州との研究開発計画の調整を行うため連邦・州協定がある (図1の連邦・州協定による研究組織参照).西ドイツの研究開発計画は, 「R&Dプログラム」と銘打たれ, その対象分野は極めて基礎的で, 政府の手によるものとしての意味から国家的必要性のあるものだけになっている.表1に目的別の科学技術関係予算を示すが, エネルギー・・原料の確保, 情報処理, 宇宙等のテーマが最近の大きな研究開発である.これらのプロジェクトは, 主に研究技術省により推進されているが, 実際の研究は, わが国の場合と同じく研究所, 大学への委託あるいは民間企業の協力によって行われている.表1を見ると「生活・労働環境の改善」という項目があり, その中に「労働環境・職業教育」という小項目があるが, これには例えば「労働における人間性回復」などというテーマが含まれていて, 保健衛生面, 労務法的なアプローチはもちろんのこと, 生産工学の面から自動組立による作業環境改善といった形で機械工学的アプローチが考えられているのは注目されるべきである.西ドイツの研究開発計画の一つの特徴は, 他のプロジェクトとの関連がきめ細かく考えられていることである.
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