物体と照明光の方向を回転させる方法は, モアレトポグラフィ法や, Asai, 米村らの方法と比較して, 等高線の局在性のうえで有利である.すなわち, 等高線が物体面上に局在するため, 等高線パターンが物体上に鮮明に観測できる特徴を有する.測定範囲としては, 回転ステージの回転角を測るための電気マイクロメータの測定限界から, 等高線の1しまあたりの高さ△
hが5~0.1mm程度まで実験可能であった.
一方, 参照光と照明光の方向を回転させる方法は, 既製の光学装置で実験を行うことができるという特徴がある.しかし, 干渉じまの間隔が狭い場合や物体の凹凸の変化が大きい場合では, 観測方向によって等高線が激しく変化したり, 物体面上に等高線が局在しなくなったりする.このため, レンズL
3を絞るか, 乾板から十分遠方で試料に対して垂直方向から観測する必要がある.また, 乳剤膜面の平面度が等高線に影響を与えるため, ガラス製の乾板を使用する必要があることなど若干の問題があった.測定範囲としては△
hが5~0.2mm程度まで測定可能であった.
本法はモアレトポグラフィ法と比較して, コヒーレントな光源が必要であり, 防振が必要であるという欠点を持ってはいるが, 等高線の高さを任意に変化させることができ, 高い周波数の格子じまも発生しないという特徴が得られた.測定感度を上げて実験を行う場合には等高線が物体面上に鮮明に観測できることから照明光の方向と物体を回転させる方法が適している.一方, 低い感度で実験を行う場合には参照光と照明光の方向を回転させる方法でも十分実用に耐えることができる.
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