経済学は, 古典派経済学以来, いろいろの形で, 機械化や技術革新の問題を取り扱ってきた.フィードバック・システムやトランスファ・マシンなどの自動化技術の普及は, 第二次大戦後の現象であり, とくに, エレクトロニクス技術の生産技術への本格的応用は, 比較的近年のできごとであるが, 経済学のなかでは, 分業, 資本蓄積, 資本と労働の代替, 生産関数, イノベーション, 投入・産出分析などの形で, 2世紀以上にわたって, 次第に精密な分析概念・手法が築かれてきた.ただ, 自然科学の場合と違って, 経済学の場合には, 理論の発展は古典派経済学から近代経済学にいたるまで, 直線的に発達してきたのではなく, 異なる理論・思想体系が, あるていど並列的に発展してきた, という事情がある.
抄録全体を表示