学校心理学研究
Online ISSN : 2432-2865
Print ISSN : 1346-5732
18 巻, 1 号
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巻頭言
原著論文
  • 古田 伸子, 五十嵐 哲也
    2018 年 18 巻 1 号 p. 3-14
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/12/04
    ジャーナル フリー

    本研究は,教師の個人内特性としての信頼感に着目し,生徒への指導行動との間に,どのような関連があるのかを,職場環境との要因をふまえながら検討することを目的とした。中学校教師349名を対象に質問紙調査を実施した結果,信頼感の肯定的側面は生徒へ積極的に介入する動的な指導を,否定的側面は生徒の様子を静観し変容を待つ静的な指導を促進することが示された。次に,信頼感の強さとバランスから類型的に捉えた結果,「信頼無意識群」「信頼意識群」「自信・不信意識群」が抽出され,3群とも職場環境を協働的であると認識することで,信頼感の状態にかかわらず,生徒へ積極的に介入する動的な指導行動が促進された。

  • 大山 卓, 金井 篤子
    2018 年 18 巻 1 号 p. 15-28
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/12/04
    ジャーナル フリー

    本稿は特別支援学校のセンター的機能として実施した小学校特別支援学級担任へのコンサルテーション事例について,複線径路・等至性モデリングTEM図をもとに分析・考察した。解決には至らなかった事例を取り上げ,有効な介入と課題を分析することにより特別支援学校のコンサルテーションの効用とその限界について論じた。特別支援学校のコンサルテーションの効用としては,特別支援教育の専門性を備えた特別支援学校の教員が授業場面に着目して行う相談であること,また限界は特別支援学校の教員として,自校の授業と兼任で行う相談構造のため緊急支援など積極的な介入が難しいシステム的な問題を明確化した。本事例で明らかになった有効なサポートと課題,また特別支援学校のコンサルテーションの効用と限界を踏まえ,心理職など他の専門職が行うコンサルテーションとは異なる視点で行う特別支援学校のコンサルテーションを「センター的機能型コンサルテーション」と名付け,その有効なサポートの特徴について,①授業場面を通した相談,②専門的立場からの継続的支援,③コンサルティへの心理的支援,④学校機能全体への介入,の4つを明確化した。またTEM図を使った相談事例の分析効果も明らかになった。今後の課題として,特別支援学校のセンター的機能担当者の資質向上のための研修の体系化をあげた。

  • 中井 大介
    2018 年 18 巻 1 号 p. 29-41
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/12/04
    ジャーナル フリー

    本研究では,自己決定理論による中学生の教師との関係の形成・維持に対する動機づけの規定要因を検討するため,過去の教師との関わり経験と教師との関係の形成・維持に対する動機づけの関連を検討した。中学生483名を対象に調査を実施した結果,主にポジティブな関わり経験が自律的動機づけと正の関連,主にネガティブな関わり経験が統制的動機づけと正の関連を示すこと,またその関連の様相は学年や性別によって異なることが示唆された。

  • 五十嵐 哲也, 茅野 理恵
    2018 年 18 巻 1 号 p. 43-51
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/12/04
    ジャーナル フリー

    本研究は,小中学生の登校への動機づけについて,自己決定理論に則って測定することができる尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討することを目的として実施された。その結果,自己決定理論の4つの枠組みに沿った尺度が作成され,内的整合性,構成概念妥当性,併存的妥当性,交差妥当性が確認された。また,概ね自己決定性の高い登校への動機づけは小学生の方が高く,自己決定性の低い登校への動機づけは中学生の方が高いことが示された。

実践報告
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