静脈経腸栄養
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21 巻 , 3 号
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特集:消化器癌手術後早期経口・経腸栄養の意義と成果
  • 平尾 素宏
    2006 年 21 巻 3 号 p. 3_3-3_6
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/22
    ジャーナル フリー
    最近、日本でも術後早期経口栄養摂取の利点が注目され、各施設とも、胃切除後できるだけ早期から経口摂取を開始する傾向がある。胃切除術後の早期経口・経腸栄養の意義と成果について、現在までに報告されている種々の研究結果とともに、当科のデータにも基づき、最近の知見を述べる。術後早期経口栄養に関して、その安全性を理解し、在院日数、医療コスト、術後に及ぼす影響など、患者に対するメリット・デメリットを十分に把握し、今後もより適切な術後経口栄養スケジュールを組むべきである。
  • 小田 剛史
    2006 年 21 巻 3 号 p. 3_7-3_10
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/22
    ジャーナル フリー
    一般的に大腸癌術後では特別な合併症がない限り、末梢静脈栄養による輸液管理が行われている。経口摂取の時期は腸蠕動が開始し排ガス等が認められる3~5日目以降となることが多い1)。我々の施設では食道癌・膵癌など高度侵襲を伴う手術はもとより胃癌、大腸癌術後の栄養管理には経腸栄養管理(EN)が第一選択となっている2)。術後第1病日という超早期よりENを開始するプロトコールにてEN管理を行い、その安全性、有用性、問題点について検討した。大腸癌切除を対象に術後第1病日から低残渣経腸栄養食品を用いたEN管理を行い臨床経過、rapid turnover proteinsを初めとする生化学検査成績の推移を検索した。術後第1病日からのEN管理は完全に行え、食事摂取への移行もスムースで、栄養状態の回復も速やかであった。退院後社会復帰までの期間の短縮、医療費の削減に寄与することも示唆された結果となった。一方で経腸栄養による管理中には致命的な合併症を引き起こすことがあるため、厳重な患者観察と若干の工夫が必要となることがある。
  • 池永 雅一, 辻仲 利政, 安田 奈穂, 前田 梨佐, 浅岡 幸子, 西藤 絵美, 檀 信浩, 日浦 祐一郎, 安井 昌義, 宮崎 道彦, ...
    2006 年 21 巻 3 号 p. 3_11-3_15
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/22
    ジャーナル フリー
    大腸癌術後の早期経口摂取における摂食状況調査と早期経口摂取開始後のクリニカルパスでのバリアンス評価を行った。術後2日目よりゼリー食、術後3日目よりライト食としたところ、ゼリー食の摂取コンプライアンスが低かったが、安全性は確認できた。さらに術後2日目より固形食のライト食としたところ、摂取コンプライアンスは上昇し、食事開始後の縫合不全や誤嚥などの摂食による合併症はなく安全性も確認できた。術後早期経口摂取のためには、(1)外科手術の質を高めることで小腸蠕動を確保すること、(2)術後食欲不振時に対応するために摂食コンプライアンスのよい食材を工夫すること、(3)緩下剤の使用で吻合部に負担をかけないようにすること、(4)クリニカルパスを用いて管理評価することでその安全性を医療者(医師、看護師、栄養士)と患者のお互いが認識すること、いずれも大切な要素である。
  • 土師 誠二, 大柳 治正
    2006 年 21 巻 3 号 p. 3_17-3_23
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/22
    ジャーナル フリー
    肝切除術は背景肝と術式により侵襲度が異なるため、症例に応じた周術期栄養管理を要する。栄養管理の基本は経口・経腸栄養管理であり、術後早期の経口・経腸栄養もまた安全に行い得る。慢性肝疾患のない小範囲肝切除では特別な管理を要しないが、肝硬変合併、大量肝切除、胆道再建併施例では手術リスクが高く、このような症例において術後早期の経腸栄養の意義が認められると考えられる。しかし十分な臨床検討はいまだなされていない。さらに使用する経腸栄養剤の種類に関しても統一されたとはいえないが、高濃度分岐鎖アミノ酸製剤、免疫増強経腸栄養剤、synbiotics療法が今後新たな周術期栄養管理法として確立されるかは今後の課題といえる。
  • 大西 康晴, 山岸 文範, 大澤 宗士, 土屋 康紀, 福田 啓之, 澤田 成朗, 田澤 賢一, 湯口 卓, 堀川 直樹, 長田 拓哉, 廣 ...
    2006 年 21 巻 3 号 p. 3_25-3_29
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/22
    ジャーナル フリー
    膵頭十二指腸切除(PD)術後における経腸栄養(EN)の効果について検討した。対象は当科で施行されたPD25例で、そのうち手術時、空腸に留置したENチューブを使用して術後ENを行った症例は15例(EN群)で、中心静脈栄養を行った症例(TPN群)は10例であった。EN群とTPN群の間に、年齢、手術時間、出血量、血中TP、Albに有意差を認めなかったが、EN群で退院時の総リンパ球数が多い傾向にあった。術前と退院時の体重変化をみると、EN群で体重減少を有意に少なくすることができ、体重減少率はEN群では3.98%で有意に少なかった。術後の食事開始時期はEN群では16.1日で、食事開始までの期間が有意に短かった。術後在院日数をみると、EN群では51.5日でTPN群より1週間以上も術後入院期間が短かった。PD術後にENを用いることで、周術期の体重減少抑制あるいは免疫能低下改善がみられ、さらに経口摂取開始が早められ、その結果として術後入院期間が短縮された。PD術後における栄養管理としてENが有用と思われた。
  • 荒木 孝明, 土屋 誉, 小針 雅男, 本多 博, 内藤 剛, 佐藤 敦子
    2006 年 21 巻 3 号 p. 3_31-3_37
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/22
    ジャーナル フリー
    膵頭十二指腸切除術(PD)及び幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PpPD)後の早期経腸栄養(EN)管理と完全静脈栄養(TPN)管理とを比較検討した。5日間以上EN管理を継続可能であった症例は43例中35例(81.4%)であり、EN関連の合併症で中止となったのは5例(11.1%)であった。膵液・胆汁瘻などの合併症の頻度はENとTPNとで有意差はなかった。血清アルブミン値はENとTPNとで有意差を認めず、総リンパ球数は術後第21病日にEN管理例で有意に高かった。術前耐糖能正常例での術後1週間のインスリン使用頻度はEN管理例で少ない傾向を示し、使用量はEN管理例で有意に少なかった。術後在院日数はEN管理例で短い傾向を示した。PD及びPpPD術後の早期EN管理はTPN管理と比較して合併症を増加させることなく安全に施行可能で、さらに血糖管理を容易にする有用な術後管理方法である。
  • 宇佐美 眞
    2006 年 21 巻 3 号 p. 3_39-3_44
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/22
    ジャーナル フリー
    周術期の栄養投与の基本的な考え方は、適切な代謝管理によって手術侵襲に伴う異化亢進による蛋白喪失を軽減し、術後の回復を改善することにあり、本特集は、術後早期の経口経腸栄養の効果に関するものである。さらに、最近になり、術前・術中栄養投与が侵襲そのものを軽減することが明らかにされつつある。本稿では、麻酔手技の長期予後への関与、術中の糖質投与による蛋白保持効果、術中・術後の厳密な血糖管理が術後早期及び長期合併症の発症を抑制する効果、術中アミノ酸投与が術中体温低下を抑制し手術侵襲を減弱する効果、術中及びICUでの脂肪乳剤投与、などのそれぞれの意義と問題点を考察する。
JSPEN 全国栄養療法サーベイ委員会 報告
症例報告
  • 佐々木 吉明, 丸山 静男
    2006 年 21 巻 3 号 p. 3_71-3_76
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/22
    ジャーナル フリー
    重症心身障害者(以下、重障者と略)の摂食嚥下障害に対して、広く胃瘻による栄養管理が普及してきた。その中でもより低侵襲な経皮内視鏡的胃瘻造設術(以下、PEGと略)が選択される症例がある。今回我々は当院入院中の重障者に対して施行されたPEG4症例につき問題点について明らかにする。4症例のうち、3症例にて術後に胃食道逆流の発症を認め、1症例においては胃空腸瘻が発症した。重障者は(1)側彎や長期臥床に起因する胃や腸管の位置異常(2)胃食道逆流の存在(3)呼吸器系を始めとする合併症の存在(4)経腸栄養管理の長期化などを背景に有しており、重障者へのPEG導入は慎重でなければならない。
原著
  • 伊藤 由紀, 今高 多佳子, 小林 一信, 山本 麻由, 宇佐美 康子, 水野 愛, 福元 由美, 梅崎 愛子, 波多野 範和, 鈴木 善男 ...
    2006 年 21 巻 3 号 p. 3_77-3_83
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/22
    ジャーナル フリー
    液体経腸栄養剤の胃食道逆流(GER)による誤嚥性肺炎を繰り返した症例にとろみ剤を用いて半固形経腸栄養剤にしたところ、GERに伴う誤嚥性肺炎を予防できた。そこで、半固形経腸栄養剤の物性について基礎的検討を行い、従来報告されている寒天を使用した固形経腸栄養剤との物性比較をおこなった。とろみ剤を添加すると、経腸栄養剤の粘度が経時的に変化し、「ずり流動化」を示した。また、胃内溶液モデルに投与すると、投与した状態の形態を保持した。一方、固形経腸栄養剤は、胃内溶液モデルに投与した直後に白濁を認めた。シリンジから投与する際の平均離水率は、半固形経腸栄養剤では0%、固形経腸栄養剤では36.6%だった。固形経腸栄養剤は、シリンジから押し出すと同時に液体が固形経腸栄養剤から溢れ出した。とろみ剤を用いた半固形経腸栄養剤は、GERに伴う誤嚥性肺炎の予防に有用である。
臨床経験
  • 齊藤 昇, 内野 勝子, 山口 泉
    2006 年 21 巻 3 号 p. 3_85-3_93
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/05/22
    ジャーナル フリー
    嚥下障害のある入院患者10例(男性2例、女性8例、平均年齢74.2±14.5歳(平均±SD))に8種類の微量元素を含有するL-8を6ヶ月間投与し、血中微量元素の変化を観察した。開始時に血清銅(Cu)が低値であった6例、及び正常であった4例の血清Cuは投与により有意に上昇し正常範囲を維持した。血清セレン(Se)は正常下限値以下から投与1ヶ月で有意に上昇し正常範囲を維持した。血液マンガン(Mn)、血清モリブデン(Mo)及び血液ヨウ素(I)も正常範囲内で有意に上昇したが、血清鉄(Fe)及び血清亜鉛(Zn)は投与により変化しなかった。栄養指標は良好に維持され下痢発生もなかった。
    食事摂取基準(2005年版)との比較から、L-8に含まれる微量元素は高齢経腸栄養患者に安全投与できると考えられた。
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