静脈経腸栄養
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22 巻 , 4 号
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特集:高齢者の栄養管理 そのポイントとup to date
  • 葛谷 雅文
    2007 年 22 巻 4 号 p. 433-437
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/03/25
    ジャーナル フリー
    高齢者の栄養に係わる事項として、過栄養、ならびに低栄養の問題がある。しかし、今後日本において益々増加が見込まれ、成人と疾病構造自体が異なる後期高齢者においては低栄養問題が重要である。特に要介護高齢者では低栄養は高頻度で起こり、新たな疾患の発症、障害の進行、生命予後などに密接に係わっている。その意味で要介護高齢者では低栄養の予防、対策が重要である。本稿は総論として私なりに高齢者と栄養について考えるところを記載させていただいた。
  • 大荷 満生
    2007 年 22 巻 4 号 p. 439-445
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/03/25
    ジャーナル フリー
    高齢者医療における栄養評価の重要性について、(1)高齢者の栄養障害の特徴、(2)高齢者の自立障害とsarcopenia(筋肉減少症)、(3)高齢者の栄養評価の進め方の3点を中心に概説した。
    高齢者の低栄養には、骨格筋と脂肪組織の消耗が著明であるが、内臓蛋白は比較的保たれるため浮腫をみないマラスムス型PEMと内臓蛋白の低下が著しく高度の浮腫をみるカシオコール型PEMが混在する。高齢者の栄養状態を内臓蛋白の指標である血清アルブミンだけで評価すればマラスムス型PEMを見落とし、これとは対照的に身体計測指標だけで評価すればカシオコール型PEMを見落とすことになる。したがって、高齢者の栄養評価では、血清アルブミンなどの血液検査所見と身体計測指標を組み合わせて評価することが重要である。また、加齢に伴う筋肉量の減少と筋力低下は、sarcopeniaと呼ばれ、高齢者の転倒や骨折、寝たきりなどの自立障害を引き起こす大きな原因になる。高齢者の筋肉量を正確に評価し適切な栄養治療をおこなうことは、高齢者の健康維持や自立障害の予防に重要である。高齢者の栄養評価法としては、在宅や施設入所の高齢者を対象とする場合は、血液検査を必要とせず、簡単な問診と身体計測によって評価が可能なMini Nutritional Assessment(MNA)が有用である。一方、高齢入院患者を対象とする場合は、血清アルブミンと理想体重比から求めるGeriatric Nutritional Risk Index(GNRI)が有用である。いずれの栄養評価法も高齢者あるいは高齢患者の臨床経過や生命予後のよい指標となる。
  • 土師 誠二, 大柳 治正
    2007 年 22 巻 4 号 p. 447-454
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/03/25
    ジャーナル フリー
    経口摂取量の減少を伴いやすい高齢者では低栄養や脱水症に陥るリスクが高く、静脈栄養が重要な位置を占める。しかし、高齢者の静脈栄養管理に際しては、まず高齢者の特性について理解しなければならない。高齢者では加齢に伴う水分電解質代謝、栄養基質代謝をはじめ諸臓器機能にも変化が生じ、さらに個体差も大きいことから、個々の症例に応じたきめ細かな管理が重要である。すなわち、水分・電解質異常の補正、低栄養状態の改善、耐糖能低下による術後高血糖の防止、アミノ酸投与による蛋白代謝の改善に留意すべきである。また、静脈路確保が困難な脱水症例では皮下輸液も選択肢の1つとなる。
  • 宮澤  靖
    2007 年 22 巻 4 号 p. 455-463
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/03/25
    ジャーナル フリー
    経腸栄養法(enteral nutrition:EN)は経静脈栄養法(parenteral nutrition:PN)に比して生理学的に経口摂取に近く、消化管ホルモン動態なども、より正常に維持することができる。また、合併症が少なく、より安全に管理することができる。しかし、高齢者の場合は身体的に予備能が低下し、臓器障害も多く見られる。よって若年層の患者よりもよりきめの細やかな投与法が検討されなくてはならない。また、経腸栄養投与と同時にリハビリテーションも考慮しなくてはならない。臨床栄養学は医学の中で最も経験的に施行されてきた分野であるが、経腸栄養法は特に慣習的に行われ施設によってまた、施設内でも投与方法が一定になっていない。本稿では高齢者に対する標準的な投与方法と合併症の予防に対する新たな投与法を提言し概説する。
  • 谷口 知慎, 谷村 学
    2007 年 22 巻 4 号 p. 465-469
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/03/25
    ジャーナル フリー
    高齢者は様々な要因から容易に低栄養状態に陥る。加齢に伴う基礎代謝量や身体活動量の低下、消化吸収に関連する生理機能の低下もみられ、合併する疾患や病態により一層拍車をかける場合がある。人における老化にはかなり個人差があり、かつ高齢者は種々の疾患を持つことより多くの薬物を服用していること、また薬に対する感受性の高まっていることなどにより副作用の発現が多い。薬物治療における副作用が低栄養状態を招き、治療を妨げていることが報告されている。栄養状態に影響を及ぼす各副作用症状から薬物をとりあげ、その薬物の副作用の発生メカニズムについて概説する。
  • 西岡 心大, 宮澤 靖
    2007 年 22 巻 4 号 p. 471-475
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/03/25
    ジャーナル フリー
    脳血管疾患では、急性期を離脱しても、麻痺や嚥下障害などの機能障害が残存するため、早期からのリハビリテーションが必要である。特に嚥下障害は脱水や低栄養を招き、食べるという基本的欲求を喪失することに繋がる。摂食嚥下リハビリテーションは、まず摂食嚥下評価を行い、摂食嚥下能力を把握することから始まる。食物を用いた直接訓練はゼラチンゼリーから開始するのが安全である。モニタリングを行い、必要栄養量・水分量が適切なルートから投与されるように計画する。また、外科手術前に、心肺機能トレーニングや筋力トレーニングなどの術前リハビリを6~12週間実施すると、手術侵襲、活動量低下による機能低下を抑制することが報告されている。栄養管理とリハビリは相補的にはたらき、リハビリ実施中の患者に対する栄養サポートは、ADL向上という側面からも有効性が期待できるが、明確な基準はまだ存在していない。我が国の実情を考慮した形で、可能な限り早期からのリハビリ実施と、術前の栄養状態の維持改善が推奨される。
原著
  • 朝川 貴博, 田中 芳明, 小林 英史, 甲斐田 章子, 中溝 博隆, 浅桐 公男, 八木 実
    2007 年 22 巻 4 号 p. 477-487
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/03/25
    ジャーナル フリー
    【目的】微量元素ならびに抗酸化ビタミンを含有する補助飲料の摂取によって、酸化ストレス及び肝機能の改善が可能か否かを検討することを目的とした。
    【対象と方法】胆道閉鎖症術後患児12例を対象に微量元素、抗酸化ビタミン含有飲料Vクレスα® (ニュートリー(株);三重県四日市市)を3ヶ月間投与した。血中Manganese-Super-oxide-dismutase(以下、Mn-SODと略)濃度が慢性肝機能障害患者における酸化ストレスの鋭敏な指標の1つと考えて、Mn-SOD濃度の高値群と正常値群の2群に分け、その投与効果を検討した。
    【結果】高値群、正常値群ともに、投与前に正常値下限以下であった血中Selenium(以下、Seと略)濃度は有意に正常域まで上昇した。高値群の尿中8-IsoprostaglandineF2α(以下、8-Isoprostaneと略)値は投与後に有意な低下を認めた。肝機能及びTypeIV collagen値は両群間で明らかな変化は認められなかったが、insulin like growth factor-1(以下、IGF-1と略)値は高値群で投与3ヶ月後に有意に上昇した。
    【結論】胆道閉鎖症術後患児に対する微量元素・抗酸化ビタミン含有補助飲料の投与は、高度の酸化ストレス状態にある患児の生体膜酸化障害の軽減に有効である可能性が示唆された。
  • 石渡 一夫, 静間 徹, 中澤 博江, 盛 英三, 福山 直人
    2007 年 22 巻 4 号 p. 489-495
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/03/25
    ジャーナル フリー
    【目的】海藻に含まれるフコイダンは種々の有用な生物活性を持つが、沖縄モズク由来アセチルフコイダンの癌に対する作用は不明である。本研究において我々は沖縄モズク由来アセチルフコイダンの癌抑制作用について検討を行った。
    【対象及び方法】動物実験モデルとして、マウス大腸癌細胞移植モデルを用いた。実験群は癌細胞移植後に通常水を飲水させたコントロール群と、通常水に5%フコイダンを混ぜて飲水させたフコイダン群に分け、マウスの体重を経時的に計測し腫瘍量を計測した。腫瘍組織は採取後、組織学的に腫瘍の浸潤とアポトーシス細胞の有無を検討した。
    【結果及び考察】マウスの有意な体重減少抑制効果をフコイダン投与群で認め、腫瘍量もフコイダン投与群で有意に低下していた。組織学的にもフコイダン投与群で腫瘍の浸潤が抑制され、癌細胞のアポトーシスも認められた。
    【結論】沖縄モズク由来アセチルフコイダンは癌細胞にアポトーシスを誘導し腫瘍発育を抑制すると考えられた。
臨床経験
  • 徳光 誠司, 野崎 晃, 綱島 武彦
    2007 年 22 巻 4 号 p. 497-501
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/03/25
    ジャーナル フリー
    高齢患者への中心静脈カテーテル留置においては、内頚あるいは鎖骨下静脈経由では偶発症や事故抜去が問題となり、鼠径部大腿静脈経由ではカテーテル挿入部の易感染性が問題となる。超音波ガイド下に鼠径靱帯より遠位の大腿静脈を穿刺しカテーテルを挿入する方法が偶発症もなく感染も予防できる方法とされているが、今回我々は超音波ガイド下に、より遠位側で大腿静脈を穿刺して中心静脈内にカテーテルを挿入、留置する方法を行った。挿入部位は鼠径靱帯から平均17cm遠位に置くことができ、偶発症は認めなかった。8例の高齢患者に本法を施行したが、事故抜去やカテーテル感染はなく、また清拭やオムツ交換などの陰部及び鼠径部への看護、介護処置を行いやすいという有用性も認められた。
  • 丹野 英, 丹野 大
    2007 年 22 巻 4 号 p. 503-507
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/03/25
    ジャーナル フリー
    経腸栄養食品は製品により栄養成分や組成率、電解質濃度が異なる。当施設において経腸栄養食品を変更した後から低K血症を認めた患者が多発したことから、約半年間の経時的な電解質変化の検討を行った。対象は濃厚経腸栄養食品アイソカル2KTMからMA2.0TMに変更した症例16名。熱量・水分投与量に変更はなかったが、血清K値は有意な低下傾向を認めた(p<0.001)。その中には積極的なK補充が必要となった症例や重篤な腎機能の悪化を認めた症例が1例含まれた。血清Na、Cl値に変化は認めず、変更時の肝腎臓にも異常を認められなかったことから、血清Kの低下した原因として摂取量の不足と栄養組成バランスの変化が考察された。経腸栄養へ依存している患者において、経腸栄養の選択によっては重篤な電解質異常を来す可能性があり注意が必要である。同時に定期的な血液検査は不可欠であると思われた。
施設近況報告
  • 野口 球子, 林 宏行, 鈴木 博
    2007 年 22 巻 4 号 p. 509-514
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/03/25
    ジャーナル フリー
    はじめに:「栄養管理実施加算」の新設は入院患者に対する栄養管理のあり方をあらためて認識させ、NST活動を推進する契機となったと思われる。神奈川NST研究会では、チーム医療における栄養管理やそれに関わる問題等、今後取り組むべき課題について検討することを目的に調査を実施した。
    対象及び方法:対象は神奈川県下20床以上の病院。方法は郵送によるアンケート調査。
    結果:平成18年7月末現在、栄養管理実施加算実施施設は88.7%、NST稼動施設は44.4%であった。栄養管理実施加算にNSTが関与する施設は35.8%であり、栄養管理実施加算にNSTが生かされているとはいえなかった。栄養管理計画書作成における多職種共同は充分ではなかった。
    考察:栄養管理の質的向上を図るためにはマンパワー不足の解消と共にチーム医療の実践が必要である。当研究会としては、栄養管理の重要性や職種間連携などの啓発活動を続けると共に、各専門職のスキルアップや、業務の効率化にも視点をあてた活動を展開していきたい。
症例報告
  • 長谷川 隆一, 川瀬 正樹
    2007 年 22 巻 4 号 p. 515-519
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/03/25
    ジャーナル フリー
    近年経腸栄養の普及につれて経鼻胃管の挿入や栄養剤注入に伴う合併症が増加し、社会的にも問題となっている。その中でスタイレット付き栄養チューブ(St-ENチューブ)が気管内に誤挿入されて生じる肺損傷については、欧米では以前から指摘されていたが本邦ではこれまであまり取り上げられず、データもほとんどなかった。今回われわれはSt-ENチューブによる肺損傷を生じた症例を2例経験したので、その危険性や対策について検討した。症例は2例とも高齢で、意識レベルも低下していた。St-ENチューブは右主気管支から右肺下葉を貫通して先端は胸腔内まで達し、その結果両者とも気胸を発症したが胸腔ドレナージにより軽快した。肺損傷を生じる要因として、患者側の要因(高齢、意識レベルの低下など)、チューブ側の要因(先端の形状など)、医療スタッフ側の要因(技量や確認方法など)があり、St-ENチューブはこれらに十分注意して使用する必要がある。
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