静脈経腸栄養
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22 巻 , 2 号
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特集:栄養ケアのモニタリング―NSTのスキルアップにむけて
  • 山東 勤弥
    2007 年 22 巻 2 号 p. 113-119
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/29
    ジャーナル フリー
    モニタリングは栄養管理を行う上で必要不可欠である。モニタリングの目的は、施行されている栄養療法の「合併症を防ぐため」、また栄養管理が長期間施行されている場合の定期的な「動的栄養評価のため」である。
    合併症予防のモニタリングについては、非生理的で合併症も多く管理が難しい中心静脈栄養法について習熟すれば良い。その他の末梢静脈栄養法、経腸栄養法については、それぞれの合併症の特徴を少し加味すれば対応ができる。
    効果判定(動的栄養評価)のモニタリングについては、各種栄養療法で共通なものである。
    NST(nutrition support team)の普及に伴って栄養管理の重要性が認識され始めているが、refeeding syndromeの存在を知らずに栄養管理がなされていることがある。その結果不幸な転帰をとる可能性があるので、refeeding syndromeの存在をした上での栄養管理(モニタリング)が重要である。
  • 古賀 秀樹, 寺本 房子, 飯田 三雄
    2007 年 22 巻 2 号 p. 121-127
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/29
    ジャーナル フリー
    内科系疾患の病態別栄養学的モニタリングについて、消化器領域を中心に概説した。クローン病では、栄養状態改善目的のみならず原疾患の治療目的で栄養療法を行う。活動性指数の意味合いを理解し、栄養療法合併症としての肝障害や重篤なセレン欠乏症に注意する。潰瘍性大腸炎では、クローン病と同様の栄養療法は必要なく、あくまでも薬物療法が治療の中心であることを理解する。使用する薬剤に応じて栄養学的合併症が生じることを熟知する。慢性肝疾患では、アミノ酸バランス、糖代謝異常、亜鉛欠乏に注意する。また、虚血性心疾患や慢性閉塞性肺疾患の理想的管理や腎不全における血液透析前後での栄養管理の相違についても簡単に解説した。
  • 雨海 照祥, 大石 恭子, 藤澤 克彦
    2007 年 22 巻 2 号 p. 129-134
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/29
    ジャーナル フリー
    外科系疾患のモニタリングには、その病態の病勢、重症度と、栄養療法の効果判定と栄養アセスメント、の3つの観点があげられる。
    病態の重症度のモニタリングには、病態の重症度を判定する項目を、また栄養療法のモニタリングには、病態、病勢の変化を追跡できる項目を選択する。その例として急性膵炎(重症例)の場合、発症直後は補液がメイン、栄養療法はその後開始する。ルートは膵液分泌を刺激しない空腸ルートを選択し、その合併症(下痢、腹部膨満、腹痛)やチューブによる空腸穿孔をモニタリングする。
    栄養アセスメントのモニタリングには、体重が第一次情報であるが、病態による腹水、浮腫など、身体構成成分の変化以外の修飾因子も考慮する。
    さらに栄養アセスメントの総合評価のツールを導入した、栄養療法の効果判定を行う必要がある。その栄養アセスメントの総合的評価方法のツールのひとつとして「栄養アセスメントの亀の甲」を紹介した。
  • 矢吹 浩子
    2007 年 22 巻 2 号 p. 135-139
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/29
    ジャーナル フリー
    栄養療法のモニタリングには生化学検査、身体計測値のように栄養状態の変化を表す数値所見のほかに、栄養状態の変化が治療経過や患者の生活行動にどのように現れているか、実際の栄養管理はどのように行われているかなどの状況所見がある。状態や状況のモニタリングは看護師をはじめとするベッドサイドケアを担う者に実施が可能であり、モニタリングされた内容は栄養管理計画の評価や再計画にとって重要な情報である。
    ベッドサイドのモニタリングの具体的な内容について、当院での経験事例も紹介しながら看護師の立場から述べる。
  • 熊倉 勇美, 木村 優子
    2007 年 22 巻 2 号 p. 141-144
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/29
    ジャーナル フリー
    わが国においては古くから耳鼻咽喉科、リハ科、歯科、小児科、看護の領域で嚥下障害への取り組みが行われていた。社会の摂食・嚥下リハビリテーションへのニーズが高まり、多職種によるチームアプローチの必要性が認知されると、STも嚥下リハチームのメンバーとして積極的に参加するようになった。1995年には学際的な学会として「日本摂食・嚥下リハビリテーション学会」が発足したが、次第に、リハの領域でも栄養療法の必要性も広く認識されるようになってきた。以上のような流れの中で、NST活動へのSTの参加も始められているが、まだ十分ではない。市立枚方市民病院におけるNST活動の立ち上げの経過と取り組みの概要を報告し、具体的な事例の中でSTの取り組みを紹介した。今後さらに、STのNST活動への積極的参加が求められるが、対象を摂食・嚥下障害に限定することなく、守備範囲を広げる努力・工夫も求められる。
  • 大浜 修
    2007 年 22 巻 2 号 p. 145-150
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/29
    ジャーナル フリー
    2006年4月の診療報酬改定に際して新設された「栄養管理実施加算」の施設基準において実質的なNSTの設立と活動が求められ、医療スタッフの一員として薬剤師が明記された。これは、薬剤師の新たな職能として臨床栄養にかかわる業務が公に認められたものと理解される。これからの薬剤師は、多職種共同によるNST活動を展開して行く中で、薬の適正使用という従来の薬物治療の範疇に留まらず、入院患者個々の栄養治療、栄養ケアにおいて経口栄養から経腸、経静脈栄養まで、薬と栄養の双方にかかわる専門職として一貫した高度な栄養ケア業務の実践が求められる。急速な展開を見せたわが国のNSTは、いまその存在意義と真価が問われている。NSTのスキルアップにむけて栄養ケアのモニタリングはいかにあるべきか、専門性を持った業務のあり方について薬剤師の立場から整理し、考えてみる。
  • 西田 卓明, 桜井 洋一, 鶴田 啓, 丹羽 朝子
    2007 年 22 巻 2 号 p. 151-156
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/29
    ジャーナル フリー
    高度に専門化された大規模専門病院においても患者の栄養状態は疾患や病態に密接にかかわるものであり、栄養治療を専門とするNSTは栄養治療に関する推奨を行い高度に細分化された病院を統合する組織として機能している。本稿では胸部外科手術後に重篤な呼吸器合併症をきたした症例を呈示し、経過中にNSTが介入し、胃瘻造設による経腸栄養ルートの作成、適切な経腸栄養療法を推奨することにより良好なアウトカムを得た。術後合併症をきたして重篤な状態にある患者では全身状態や栄養状態の変化が早く、栄養管理についてもこれらの変化に対して迅速に対応することもまた重要であると考えられる。患者の栄養状態を的確に把握し、適切な栄養素、栄養投与量を決定し、NSTの推奨事項を担当医に的確にフィードバックすることが重要である。管理栄養士は他職種メンバーと最適な栄養療法について充分に議論することも重要と考えられる。
  • 宮下 実
    2007 年 22 巻 2 号 p. 157-160
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/29
    ジャーナル フリー
    当院のNSTは“全科型”で活動している。NST介入の依頼があると、まずはNST管理栄養士が栄養アセスメントを実施し、モニタリング項目等の栄養管理計画を検討していく。今後のfollow upに有効なモニタリング項目を判断し、提言する。管理栄養士はその判断について論拠とともに伝える。NST報告書はそのツールの1つとなる。栄養ケアのモニタリングを進めていく場合、すべての患者を基準値の範囲内に導く必要はなく、種々の栄養指標の改善や疾病悪化の防止が患者のQOLの向上にもつながる。臨床の場では、個々のセットポイントを考慮した栄養管理やモニタリングが必要である。
JSPEN 全国栄養療法サーベイ委員会 報告
原著
  • 藤山 二郎, 木ノ元 景子, 山村 修, 藤井 明弘, 井川 正道, 奥田 智行, 李 相植, 斉藤 隆也, 栗山 勝
    2007 年 22 巻 2 号 p. 181-187
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/29
    ジャーナル フリー
    【はじめに】高カロリー輸液時にはビタミンB1を投与するように勧告が出されたが、末梢静脈栄養では必ずしもビタミンB1等の水溶性ビタミンの投与がなされていない。【対象・方法】内科(消化器及び神経内科)疾患で、絶食かつ末梢静脈栄養となった患者19例の血中水溶性ビタミンについて検討を行った。【結果】入院時点全患者でビタミンB6とビタミンCは低値傾向であった。特に消化器疾患では、血中ビタミンB1、B2、B6、B12、C、葉酸濃度すべてにおいて、入院時点で低値であり、絶食中さらに低下した。神経疾患でも絶食にて低値傾向となった。【考察】原因として、患者が高齢であることに加えて、さらに消化器疾患では、栄養の吸収不全、入院前の摂食状況不良などの影響が考えられた。絶食が必要な入院患者、特に消化器疾患では、短期間の末梢静脈栄養管理においても、これらビタミンの補給が必要と考えられた。
  • 佐々木 雅也, 丈達 知子, 栗原 美香, 岩川 裕美, 柏木 厚典, 辻川 知之, 安藤 朗, 藤山 佳秀
    2007 年 22 巻 2 号 p. 189-194
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/29
    ジャーナル フリー
    【はじめに】クローン病症例の入院時SGAによる評価と疾患活動度、治療のアウトカムとの関連について検討した。
    【対象及び方法】2004年1月より2005年12月までに滋賀医科大学消化器内科にて入院治療された27例(男性19例女性8例、平均年齢30.7歳)を対象とした。入院時のSGAは、栄養状態良好(A判定)10例、中等度の栄養障害(B判定)11例、高度の栄養障害(C判定)6例であった。
    【結果】CRP値、IOIBDアセスメントスコア、CDAIはB判定群、C判定群で有意に高値であった。TPN施行率、手術施行率もB判定、C判定群で有意に高率であり、在院日数もB判定、C判定群で有意に長かった。
    【考察】クローン病入院時SGAによる評価は、疾患活動度とよく相関した。またTPN施行率、手術施行率、在院日数と有意な関連があり、疾患予後の推定に有用であった。
症例報告
  • 増本 幸二, 永田 公二, 上杉 逹, 中島 和博, 中嶋 一惠, 大石 了三, 田口 智章
    2007 年 22 巻 2 号 p. 195-199
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/08/29
    ジャーナル フリー
    在宅栄養管理において、微量元素の欠乏の危険性が指摘されている。セレン(以下、Seと略)欠乏症もその1つで、静脈栄養(parenteral nutrition;以下、PNと略)管理中の患者に報告が多い。今回、成分栄養剤(elemental diet;以下、EDと略)による在宅栄養を行っていた小児例で、軽度のSe欠乏症を認めた。
    【症例】基礎疾患として、臍帯ヘルニア及び脊髄髄膜瘤術後、精神発達遅滞が存在し、慢性肺疾患による気管切開状態で、嚥下障害のある5歳男児である。3歳より経鼻胃管を用いたチューブ栄養によるED投与が行われていた。5歳8ヶ月頃より赤血球の大球化を認め、その後爪の白色化、軽度の筋力低下を認めるようになった。Se欠乏症を疑い、血中Se値の検索を行ったところ、Se値は2.0 μg/dL未満であり、経鼻胃管からのSe製剤の投与を開始した。血中Se値の上昇とともに、症状の改善を認め、治療期間を通して、心機能などに異常はなかった。
    在宅成分栄養管理されている小児例ではSe欠乏症を起こす危険性が高く、Se投与は必須と考えられた。
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