静脈経腸栄養
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22 巻 , 3 号
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特集:侵襲期栄養管理のトピックス
  • 深柄 和彦
    2007 年 22 巻 3 号 p. 277-281
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/26
    ジャーナル フリー
    免疫栄養(immunonutrition)は、新しい患者管理法であり、栄養によって生体反応を調節し合併症発生を抑え予後改善をめざす治療法である。その強化成分である個々のimmunonutrientはそれぞれ生体反応の調節機序が異なっており、その組み合わせ・量によって免疫増強・抗炎症作用など異なる作用の栄養製剤となる。病態に応じた栄養製剤の選択が必要となる。
  • 福島 亮治, 岩崎 晃太, 稲葉 毅
    2007 年 22 巻 3 号 p. 283-288
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/26
    ジャーナル フリー
    特別な栄養法によって宿主の生体防御能を高め、感染症の発生を低下させたり、生存率を改善したりするなど、いわゆる臨床的outcomeの改善を期待する栄養法がimmunonutrition(免疫賦活栄養法)と呼ばれている。アルギニン、ω-3系不飽和脂肪酸、核酸など、免疫能を高めるとされる栄養素を豊富に含む経腸栄養製剤(immune-enhancing enteral diet:IED)の投与は、今やimmunonutritionの代名詞となっている。IEDを用いると、待機手術患者の感染性合併症発生率が約50%減少することが欧米の多くの報告で示されている。一方、救急領域における臨床効果は病態によっていまひとつ一貫した結果が得られていない。最近本邦でもIEDに関する研究成果、特に待機手術に関するデータが蓄積されつつある。これらを集積して多数例で検討すると、IEDの術前投与群では非投与群に比して術後感染性合併症発生率が有意に低くなっていた。我が国の待機手術症例でも欧米の検討とほぼ同様の臨床効果が得られることが示唆された。
  • 鍋谷 圭宏
    2007 年 22 巻 3 号 p. 289-296
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/26
    ジャーナル フリー
    アルギニン、ω-3系脂肪酸、核酸などの特殊栄養成分を含む免疫増強栄養剤を用いて生体防御能・免疫能を高め、感染性合併症の減少や予後の改善を期待するimmunonutritionは、欧米での多くの臨床試験の結果から、待期的消化管手術での有用性が報告されてきた。免疫増強栄養剤は経腸的投与という制限はあるが、わが国でもimmunonutritionは特に消化器外科待機手術の新しい周術期管理法として将来の発展が期待される。しかし、immunonutritionは有用であるとの結論が先行したような研究報告は厳に慎むべきである。今後、わが国で新しく開発された製品を含め、免疫増強栄養剤の成分を考慮してわが国における適応・投与法ならびに臨床的意義などを科学的に解明していく必要がある。
  • 金子 能人, 佐藤 譲
    2007 年 22 巻 3 号 p. 297-303
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/26
    ジャーナル フリー
    インスリンは、糖代謝に関する作用が最も知られており、生体内でインスリンが不足したり、十分な働きができない(抵抗性)場合、エネルギー源であるブドウ糖が有効に利用されないため糖代謝異常が起こる。インスリンは種々の臓器、組織に様々な作用を及ぼす。インスリンの作用として、肝臓における糖新生の抑制や骨格筋・脂肪組織における糖取り込みの促進作用は知られている。他の臓器に対する作用としては、腎臓も糖新生にかかわるが、それを抑制したり、血管においては、血管収縮性に働き血圧上昇を起こしたり、血管拡張性に働き降圧を生じる作用もある。また、中枢性に作用し食欲を調節する因子の1つとして機能する。
    手術侵襲時には、抗インスリンホルモン・サイトカインの分泌亢進により、インスリン作用が低下し、種々の作用に影響を及ぼす。
  • 寺島 秀夫, 只野 惣介, 大河内 信弘
    2007 年 22 巻 3 号 p. 305-322
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/26
    ジャーナル フリー
    2001年にVan den Bergheらにより提唱された強力インスリン療法(intensive insulin therapy;以下、IITと略) とは、重症患者に対する治療法の1つであり、特に多臓器の保護、感染の予防・治療を目的とし、強力にインスリン投与を行い、血糖値を80~110mg/dLの範囲に正常化させ、これを維持するものである。その後、血糖値の上限を140~180mg/dLに修正した変法と呼ぶべきIITによる臨床研究が行われている。現在までのところ、公式に発表された多施設共同ランダム化試験による治療成績はなく、単一施設における成績では、IITによる在院死亡の絶対リスク減少率は3~4%前後を示している。本稿では、IITの臨床成績に関する最新データとその成績を適正に評価する上で必要な情報を収集し、論説を行った。
  • 波戸岡 俊三, 篠田 雅幸, 光冨 徹哉
    2007 年 22 巻 3 号 p. 323-327
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/26
    ジャーナル フリー
    一般外科では術後一過性にみられる高血糖は外科的糖尿病として認識されているが、積極的な血糖管理は実施されてこなかった。2001年、Van den Bergheらは心臓手術患者にインスリンを投与して積極的に血糖管理を行うことで、術後合併症及び死亡率が減少したと報告した。われわれは2002年1月から強化インスリン療法(intensive insulin therapy;以下、IITと略)を導入して食道癌術後に積極的な血糖管理を行ってきた。当院における食道癌術後管理として行っているIITの実際と最近の連続43名の血糖管理状況を報告する。血糖値の平均値の推移は、術当日126 mg/dL、第1病日128 mg/dL、第2病日129 mg/dL、第3病日は118 mg/dL、第4病日は127 mg/dL、第5病日は130 mg/dL、第6病日は129 mg/dLで、血糖値は100~150 mg/dLの範囲でコントロールされていた。インスリン投与量は漸増し、第4病日で平均38 IUと最大になっていた。IITによる50 mg/dL以下の低血糖は1名に1回認められたのみであった。食道癌術後患者で血糖値を150 mg/dL以下(現在は130 mg/dL以下)に管理するIITは安全に実施可能である。
原著
  • 栗原 美香, 岩川 裕美, 丈達 知子, 中西 直子, 辻井 靖子, 三上 貴子, 碓井 理香, 徳永 道子, 小寺 利美, 星野 伸夫, ...
    2007 年 22 巻 3 号 p. 329-335
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/26
    ジャーナル フリー
    はじめに:寝たきり高齢者のPEG症例のエネルギー投与量について検討した報告は少ない。そこで間接熱量計により測定したREE(resting energy expenditure)、及びHarris-Benedict式より算出したBEE(basal energy expenditure)の比較を行い、PEG症例の至適投与熱量について検討した。
    対象及び方法:PEGにより長期栄養管理されていた15例を対象(男性3例、女性12例)とした。患者群を無作為に2群に分け、REE、及びBEEをもとに投与熱量を算出し、6週間ずつのクロスオーバー試験を行い、体重、体脂肪量、血清TP、Alb値を比較検討した。
    結果:REE群に比べ、BEE群では、体脂肪と体重の増加が認められたが、TPやAlbには変化は認めなかった。また、体重増加に伴う代謝亢進も認められなかった。
    考察:BEEに基づく投与熱量では過剰投与とされることが危惧された。
  • 静間 徹, 石渡 一夫, 中澤 博江, 長野 正信, 盛 英三, 福山 直人
    2007 年 22 巻 3 号 p. 337-343
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/26
    ジャーナル フリー
    目的:黒酢もろみ末によるヒト大腸癌細胞の増殖抑制効果を、大腸癌動物モデルにおいて検討した。
    方法:ヒト大腸癌細胞株LoVoを移植したヌードマウスを、2%黒酢もろみ末が配合された飼料で飼育した黒酢群(10匹)と、通常の飼料で飼育した対照群(10匹)に分け、LoVo移植50日後に比較した。
    結果:腫瘍量は対照群(631 ± 20 mm3)に比べ、黒酢群(259 ± 19 mm3)で有意に少なかった。また、大腸癌細胞のアポトーシスの程度は、両群で差はみられなかったが、腫瘍中の活性型gelatinases値は、対照群(matrix metalloproteinase(MMP)-2 63.2 ± 18.4 ng/mL、MMP-9 139.2 ± 8.7 ng/mL)に比べ、黒酢群(MMP-2 9.2 ± 0.9 ng/mL、MMP-9 41.4 ± 4.6 ng/mL)で有意に低下していた。
    考察:黒酢もろみ末による、ヒト大腸癌細胞株LoVoの増殖抑制効果が認められた。また、その機序のひとつとして、腫瘍中の活性型gelatinasesの抑制が推測された。
  • 大浦 紀彦, 増田 学, 丹波 光子, 竹内 弘久, 松田 剛明, 米田 隆志, 石田 均, 齋藤 英昭, 山本 紳一郎, 波利井 清紀
    2007 年 22 巻 3 号 p. 345-352
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/26
    ジャーナル フリー
    目的:経鼻胃管からメディエフプッシュケア®の注入の可能性とその効果を明らかにするために、実験的、臨床的に検討した。
    方法:試験装置を用いて、12、14、16 Frの胃管からの本剤とテルミールPGソフト®の注入時間を比較した。臨床例20例(平均年齢80.0 ± 14.0歳)で、14 Fr胃管から本剤のみを注入し、栄養状態、下痢、胃食道逆流症状、褥瘡、投与時間を検討した。
    結果:注入試験の結果、14 Fr以上の胃管が最適で、本剤はテルミールPGソフトの約1/2の時間で注入可能であった。本剤による臨床検討では、栄養状態改善が17/20例(85%)、下痢軽快が7/8例(87.5%)、褥瘡改善が4/4例(100%)に認められた。胃食道逆流症状は皆無であった(0%)。中止例は5/20例(25%)であった。
    結論:メディエフプッシュケア®は無調整で経鼻胃管から投与可能で、下痢、胃食道逆流、褥瘡への有効性が示唆された。
症例報告
施設近況報告
  • 内田 信之, 荻原 博, 金井 典子, 小池 慈子, 山崎 円, 大久保 百子, 堀 直子, 天田 ふみ江, 一倉 房江, 清水 正代
    2007 年 22 巻 3 号 p. 359-362
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/26
    ジャーナル フリー
    当院は227床の地域中核病院であるが歯科の標榜はない。したがって、歯科医師も歯科衛生士もいない。そのため平成17年6月よりNSTが稼動したものの、口腔内の観察や口腔ケアには統一した方針がなく、担当する看護師がそれぞれ独自の方法で行っているのが現状であった。そこで、平成18年4月に当施設と県の歯科衛生士会が正式に契約し、当院のNST回診に歯科衛生士が参加することになった。その後、口腔内アセスメントシートや口腔ケアマニュアルが作成され、当院職員は歯科衛生士による口腔内の観察や、適切なブラッシング指導、嚥下運動の指導を間近に見ることができ、口腔ケア全般に対する知識や技術の向上につながった。さらに、それまで適切な口腔ケアがなされていなかった患者に対して、多くの恩恵を与えることができた。われわれの今回の試みが、今後全国に広まることを期待する。
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