静脈経腸栄養
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25 巻 , 6 号
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特集:栄養サポートチーム加算新設で求められるNST活動の変革
  • 東口 高志
    2010 年 25 巻 6 号 p. 1167-1170
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    2010年4月1日、世界に先駆けて「栄養サポートチーム加算」が新設され、この日はわれわれ栄養管理に勤しむものにとっては決して忘れられない記念日となった。2006年の診療報酬改正に際して認可された「栄養管理実施加算」に引き続いての新設であり、しかもこの「栄養管理実施加算」と連動した上乗せ加算として新設された。これによって、2001年の日本静脈経腸栄養学会・NSTプロジェクト設立以来、10年の歳月と多くの医療人達の絶え間なき努力を経て、望み続けてきた理想の栄養管理体制実現に向けようやくその扉が開き始めた。.
  • 丸山 道生
    2010 年 25 巻 6 号 p. 1171-1175
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    本年4月にNST加算が新設された。加算取得を考えた場合、現在までの草の根的活動から病院での正式な職務としてのNST活動に変化が要求される。活動内容は充実すると考えられるが、活動に関して義務的な要素や院内での無関心などが起こりえるので、この点への配慮が必要である。NST活動の根幹である回診、症例カンファレンスに関して、NST患者の範囲の拡大、効率のよい回診方法、各職種が積極的に参加できるカンファレンスなどが課題である。勉強会、臨床研究、学会活動などを通じて、NSTスタッフのやる気の維持に努める。今後の活動の目標である地域一体型NSTをPEGだけではなく、嚥下障害患者にも拡大し、地域での栄養ケアを促進することに重点を置く。.
  • 中村 典子
    2010 年 25 巻 6 号 p. 1177-1181
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    NST加算新設により、より質の高いNST活動の展開と良質な栄養療法の提供が求められている。その為に、NSTに携わる専門職一人ひとりがレベルアップをしなければならず、看護職の活動も変革が必要となる。当院は病棟主体でNST活動を展開しており、この方法によりNSTが院内に浸透できている。当院のNST活動を紹介し、何が成功の鍵となったか、また今後の課題を提示する。さらに、24時間365日、患者のベッドサイドでの栄養療法の実践者である看護職が、NST看護の質の向上の為に今後しなければいけないことは、「栄養管理における看護の専門性の更なる追求」「NST活動の一貫性と継続性」「看護が行った栄養管理のアウトカムの構築」と考え、この3つの点について看護職の変革として述べる。.
  • 大塚 百香, 田中 芳明, 田中 粹子, 高松 むつ子, 井上 光鋭, 小森 真由美, 八木 実
    2010 年 25 巻 6 号 p. 1183-1186
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    2010年の診療報酬改定に伴い栄養サポートチーム加算の算定が可能となり、久留米大学病院でも加算算定に向けて準備を進めてきた。当院では現在、より質の高いNSTを目指すために対象患者の抽出やNSTカンファランス・回診の方法を変更し、今まで以上に幅広い患者に対して適切な栄養療法が実践できるよう院内での変革に取り組んでいるところである。その中で著者は本年4月よりNST専従者として活動を開始したが、まず患者を直接診る主治医に栄養療法の重要性を理解してもらうためには、幅広く医学の知識に精通しエビデンスに基づいた栄養プランの提案ができるよう自己研鑽していかなくてはならないと痛感している。加えて、栄養管理が必要な全ての患者に対してもれなく適正な栄養療法を実践していくために、主治医、担当看護師、その他のNSTメンバーとうまく連携して円滑にNST活動が行えるようコーディネートすることが肝要と考える。.
  • 室井 延之, 横山 正
    2010 年 25 巻 6 号 p. 1187-1191
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    2010年の診療報酬改定で、チーム医療、医療安全関連など多くの項目で薬剤師が関わるべき業務が示され、栄養サポートチーム加算の要件では、チームの中に栄養管理に係る専門的な知識・技能を有する専任の薬剤師が明記された。栄養療法を実践していく中、薬剤師が関わるべき業務は、1) 静脈・経腸栄養療法における処方支援、2) 栄養療法における適正使用、3) 薬剤管理指導業務と栄養管理の連携、であると考える。最良のアウトカムを示すために、私たち薬剤師は輸液・栄養剤に関する基礎知識ならびに病態把握の技能を習得し、問題解決のためのファーマシューティカルケアに取り組むことによって、栄養療法の一層の質の向上を目指していかなければならない。.
  • 都築 智美, 木戸 文華, 水野 晶子
    2010 年 25 巻 6 号 p. 1193-1198
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    わが国のNSTにおいては経口摂取こそ最高の栄養法であると言われ、各施設では栄養管理の最終目標を経口摂取に置いてNST活動を行っている。
    超高齢社会であり、様々な既往や疾患を持つ患者が多く、摂食・嚥下障害を持つ患者は増加の一途をたどっている。しかし、現在、適切な嚥下機能評価や訓練を提供できる施設も増え、各施設において摂食・嚥下障害看護における専門的知識や技術を学んだ摂食・嚥下障害看護認定看護師の存在も増えてきている。自身は現在、NSTの一員として活動しており、摂食・嚥下障害看護認定看護師として、摂食・嚥下リハビリチームに籍を置く。活動を通して、特に摂食・嚥下障害に対しては、経口摂取のみでは十分な栄養摂取が困難であるため、NSTによる代替栄養等の管理や誤嚥予防と共に、チームでアプローチを行う必要性が高いと感じる。またチームでの関わりは、各職種が専門的知識を出し合い、患者にとって最良の結果を見出せる事であると日々感じている。
    また、急性期病院でのNSTの役割は大きく、栄養管理、摂食・嚥下障害患者の嚥下機能の評価、訓練など専門的な知識や技術を駆使しながらチームで関わる事が必須である。そして、これらの結果を、次の生活の場につなげていく事は患者の生活の質に大きく関わるため、地域との連携が重要になってくる。ここでは、摂食・嚥下障害看護認定看護師である自身がNSTに関わる、当院のNSTの活動の実際と今後の展望を述べたい。.
  • 井上 善文
    2010 年 25 巻 6 号 p. 1199-1205
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    栄養サポートチーム加算算定施設は、計算上、JSPENのNST稼働施設の28.5%、全国の病院の5.2%程度のようである。Personal communicationとして集めた情報では、NST活動を積極的に推進している施設60施設中、28.3%が加算を算定し、20%が算定を予定している。しかし51.7%の施設では加算算定の予定はなく、その理由の大部分は専従・専任者の人材が確保できない、これらの人材の給与をまかなうだけの報酬がえられない、であった。算定している施設においても、現実的に採算が成り立っている施設はなく、専従者の給与をまかなえる程度がほとんどであった。専任者の給与を計算に入れた場合には、採算が成り立つような活動が不可能な制度であることは明らかであるが、NST活動に対する副次的効果を考慮してNST加算を算定している施設がほとんどであった。算定している施設においても、専従者の負担は非常に大きく、書類記入の量や煩雑さ、患者への説明内容に十分に配慮する必要があることなど、解決すべき問題は多かった。また、7対1、10対1入院基本料届出施設が対象になっているため、この条件を満たさない施設で積極的に活動しているNSTでは、活動自体のモチベーションの維持に苦労していることも明らかとなった。.
総説
  • 一政 晶子, 一丸 智美
    2010 年 25 巻 6 号 p. 1207-1216
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    近年日本では半固形化栄養法が急速に普及し、胃食道逆流症、誤嚥性肺炎、下痢等の改善が報告されている。現在のところ、欧米では半固形化法は認知されていないが、今後エビデンスや投与法のコンセンサスが確立すれば、日本以外の胃瘻患者にも推奨できる技術であると考えられる。そこで、今後のさらなる研究・実践に発展させるために、半固形化法における 1) 理論、2) 論文による有用性のレビューを行った。更に半固形化法の実践例を紹介する。
    結果 : 今回の論文レビューで、粘度900mPa・s以上で胃食道逆流症、3000mPa・s以上で下痢を改善する可能性が示唆された。また、3000mPa・s以上では短時間投与 (15分以内) が可能であり、褥瘡の改善やQOLの向上に有効な可能性も示唆された。しかし、半固形化法に関する論文総数は少なく小規模研究・症例報告が大半を占めるため、効果を結論付けるエビデンスは不十分である。今後、粘度以外の要因にも考慮した大規模な比較研究が望まれる。.
原著
  • 可児 富子, 入山 圭二
    2010 年 25 巻 6 号 p. 1217-1225
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    【目的】消化管手術における術前術後の味覚閾値の変動を検討した。【対象と方法】消化管手術患者20名 (胃切除11名、結腸・直腸切除9名) を対象として術前期と手術後の食事開始期、回復期の計3回、濾紙ディスク法により4味質 (甘、塩、酸、苦) の味覚検査 (検知閾値と認知閾値) を実施した。これに対して健常者20名を対照群とした。【結果】術前の検知閾値は全味質閾値が対照群の閾値より有意に高く、術後も高閾値を持続した。認知閾値でも術前期は甘味を除く3味質閾値が対照群より有意に高閾値であった。術後には大腸切除群の食事開始期認知閾値は4味質とも対照群と差がなくなったが、胃切除群では食事開始期の甘味、酸味、苦味閾値が対照群より有意に高く、酸味閾値は回復期でも高閾値であった。【結論】消化管疾患を有する患者では味覚が障害されていた。胃切除群では大腸切除群に比べ術後の味覚認知がより減退し、回復が遅延することが示唆された。これらの味覚変動の要因、さらには味覚変動と栄養状態との関連を検討することの必要性が示唆された。
  • 北 英士, 伊東 弘樹, 染矢 浩美, 平島 智子, 野田 武, 井上 真, 石松 裕和, 阿部 浩子
    2010 年 25 巻 6 号 p. 1227-1234
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    【目的】急性期病院における血清アルブミン値の調査を行い、年齢との関連性について検討したので報告する。
    【対象及び方法】入院時に血清アルブミン値を測定した1240症例 (退院時745症例) を対象に、血清アルブミン値3.5g/dLを基準に分類し、平均年齢・在院日数および死亡率を比較検討した。さらに、入退院時の血清アルブミン値の変化を比較検討した。
    【結果】入院時における栄養リスク有り (血清アルブミン値3.5g/dL未満) 群の平均年齢、平均在院日数および死亡率は、栄養リスク無し (血清アルブミン値3.5g/dL以上) 群に比較して有意に高値を示した。退院時血清アルブミン値は、40歳代を境に入院時より有意に低下した。
    【結論】入院時に血清アルブミン値が3.5g/dL未満であり、かつ高齢の患者には、入院早期から栄養管理を実施する必要がある。ただし、40歳代を境に、その治療経過においては血清アルブミン値が上昇しない症例を考慮する必要がある。
  • 栗原 美香, 長尾 大志, 仲川 満弓, 丈達 知子, 中西 直子, 岩川 裕美, 大澤 真, 中野 恭幸, 佐々木 雅也, 田中 俊宏, ...
    2010 年 25 巻 6 号 p. 1235-1241
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    目的 : COPDでは体重減少の一因として安静時消費エネルギー (REE) の亢進が指摘されているが、食後代謝 (TEF) の関与については十分な知見が得られていない。そこで、COPD患者のTEFを健常者と比較検討した。
    対象及び方法 : 体重減少がみられないCOPD患者9名 (%FEV1 mean ± SD 52.0 ± 16.7% BMI 23.1 ± 2.3kg/m2) と健常者5名 (85.4 ± 12.9% 24.9 ± 5.2kg/m2)を対象に、間接熱量計による代謝測定と生体インピーダンス法による体脂肪測定を行った。
    REEの測定は早朝空腹時に行い、TEFの測定は試験食摂取後30~240分まで30分毎に行った。
    結果 : REEはCOPD群とコントロール群において有意差はなかったが、TEFはCOPD群で有意に高値であった (p<0.05)。
    結論 : 標準体重のCOPD患者においても、すでにTEFは亢進しており、エネルギー代謝の変化が確認された。
  • 菅原 拓也, 倉本 敬二, 鈴木 啓之, 白石 正, 石井 一成, 玉地 正樹, 東海林 徹
    2010 年 25 巻 6 号 p. 1243-1250
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    【目的】我々は先に孔径0.2μm輸液フィルターを用いることで、凍結乾燥製剤溶解後に発生する不溶性微粒子を除去できることを報告した。そこで今回、注射剤混注操作で発生する不溶性微粒子と輸液フィルターの不溶性微粒子除去性能を検討した。
    【方法】実際の注射処方を混注し、輸液フィルター使用群と未使用群の不溶性微粒子数を比較した。次に不溶性微粒子の代替として1.2μm蛍光微粒子を輸液フィルターに通し、その内圧変化を測定した。
    【結果】注射剤混注で日本薬局方規定より多い不溶性微粒子数が生じる場合があったが、輸液フィルターでほぼ除去できた。また、輸液フィルターが108個の1.2μm蛍光微粒子を捕捉しても輸液フィルター内圧は上昇しなかった。
    【考察】注射剤混注で不溶性微粒子が発生し、その除去に輸液フィルターが有用である。不溶性微粒子の体内流入を防止するリスクマネジメントの観点から輸液フィルターの使用を推奨する。
  • 藤牧 巳央, 林 直樹, 國場 幸史
    2010 年 25 巻 6 号 p. 1251-1256
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    L-イソロイシンの、栄養剤投与後の血糖値およびヘモグロビンA1c (HbA1c) の上昇に対する抑制効果を検討した。100kcalあたり0.5gおよび1.0gのイソロイシンを添加した栄養液は、健常 (SD) ラットの経口単回投与において、イソロシン無添加のコントロール栄養液に比較し投与後の血糖上昇を用量依存的に抑制した。さらに、イソロイシンを100kcalあたり0.5g配合したイソロシン栄養剤を6週間、糖尿病 (ZDF) ラットに与えると、HbA1cの上昇がイソロシン無添加のコントロール栄養剤に比較し明らかに抑制された。これは、臨床での栄養剤中にL-イソロイシンを配合することで血糖値の上昇を抑制し、またその長期間投与においてはHbA1cの上昇を抑制する可能性を示している。
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