静脈経腸栄養
Online ISSN : 1881-3623
Print ISSN : 1344-4980
ISSN-L : 1344-4980
25 巻 , 3 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
特集:日本人の食事摂取基準(2010年版)の策定の考え方
  • 佐々木 敏
    2010 年 25 巻 3 号 p. 763-768
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/05
    ジャーナル フリー
    昨年(2009年)、厚生労働省から「日本人の食事摂取基準(2010年版)」が発表された。2010年版は2005年版で示された考え方が踏襲されているが、数値の時代から理論・理屈の時代に、そして、活用は数値をあてはめる時代から考える時代に入ったという印象を強く受ける記述になっている。食事摂取基準の基本的な考え方はほとんどが「総論」で記述されている。「総論」の特徴をあげるとすれば、「活用の基礎理論」が盛り込まれたこと、活用目的が3種類に分けられて記述されたこと、そして、アセスメントの重要性が強調されたことであろう。これで現場が食事摂取基準をじゅうぶんに活用できるかといえば、そこまでは至っていない印象が強いが、それでも、栄養管理業務が医療業務のひとつであり、「科学」であるとすれば、食事摂取基準の理論、特に、総論の内容は栄養管理に携わる者が必ず理解していなければならないことは明らかである。
  • 田畑 泉
    2010 年 25 巻 3 号 p. 769-772
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/05
    ジャーナル フリー
    平成21年5月に発表された日本人の食事摂取基準(2010年版) のエネルギーについての指標である推定エネルギー必要量の基本的な考え方や算定方法は変更されていない。しかし、日本人の食事摂取基準(2005年版) 発表後に得られたエビデンスより、成人・高齢者を含め乳児,小児,妊婦、授乳婦の推定エネルギー必要量が変更となった。本稿では、その変更の理由と食事摂取基準(2010年版) で初めて記載された“活用の理論”について記述した。
  • 木戸 康博, 小林 ゆき子
    2010 年 25 巻 3 号 p. 773-782
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/05
    ジャーナル フリー
    たんぱく質は生命の維持に最も基本的な物質であり、組織を構築するとともに、様々な機能を果たしている。たんぱく質欠乏症として、たんぱく質・エネルギー栄養失調症が知られている。たんぱく質の欠乏や不足を回避する指標として、窒素出納法により推定平均必要量と推奨量が、乳児においては、母乳のたんぱく質含有量から目安量が策定されている。たんぱく質の耐容上限量は、たんぱく質の過剰摂取により生じる健康障害との関係を根拠に設定されなければならない。しかし現時点では、耐容上限量を策定しうる十分な根拠が見当たらないので、耐容上限量は設定されていない。たんぱく質の目標量は、たんぱく質摂取量と生活習慣病との関係を根拠に設定されなければならない。しかし現時点では、たんぱく質の目標量量を策定しうる十分な根拠が見当たらないので、目標量は設定されていない。アミノ酸の食事摂取基準として、成人の不可欠アミノ酸の推定平均必要量が策定されている。
  • 江崎 治
    2010 年 25 巻 3 号 p. 783-787
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/05
    ジャーナル フリー
    脂質の摂取基準では目安量と目標量を用いる。目安量はn-6とn-3系多価不飽和脂肪酸 (必須脂肪酸であるため体内で合成できず、欠乏すると皮膚炎などが発症する) に対して、目標量は生活習慣病 (糖尿病、冠動脈疾患、ガン、脳卒中、メタボリック症候群など) の予防のため、総脂肪、飽和脂肪酸、n-6系脂肪酸、n-3系脂肪酸、コレステロール]に対して用いられている。
    必須脂肪酸としてのn-6とn-3系脂肪酸の摂取量 (目安量) は、日本人摂取量の中央値を用いる。摂取するn-6系脂肪酸の98%はリノール酸で、n-6系脂肪酸とリノール酸はほぼ同一に扱うことができるが、n-3系脂肪酸に関しては、α-リノレン酸(摂取するn-3系脂肪酸の約60%)のみを必須脂肪酸として扱うことはしていない。
    生活習慣病の中でも、現在問題となっている糖尿病と脳卒中の予防に重点が置かれている。例えば、飽和脂肪酸の摂取量が多いと太り易く、糖尿病に罹患し易くなるが、逆に少ないと脳出血になり易くなる。このため、適度な摂取量が摂取基準値 (4.5~7%E) として範囲で示してある。
    又、肥満者に於ける脂肪エネルギー比率についても言及し、心筋梗塞の予防に関してはEPA及びDHAの摂取が強調されている。
  • 岡野 登志夫
    2010 年 25 巻 3 号 p. 789-795
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/05
    ジャーナル フリー
    脂溶性ビタミンの食事摂取基準は以下のように策定された。乳児に対して、ビタミンA、D、E、Kともに母乳中濃度と哺乳量を基に目安量が設定された。ただし、ビタミンDについては日照の影響を考慮した。ビタミンAは、肝内最少ビタミンA貯蔵量を基に推定平均必要量・推奨量が設定された。ビタミンDは、血中副甲状腺ホルモン濃度の上昇を抑えるに必要な血中25-ヒドロキシビタミンD濃度を指標に、また、ビタミンEは赤血球の膜破壊 (溶血反応) を抑制するに必要な血中α-トコフェロール濃度を指標に、平成17・18年度国民健康・栄養調査報告におけるビタミンDおよびビタミンEの摂取量を考慮して目安量が設定された。ビタミンKは、血液凝固を正常に維持するに必要なビタミンK摂取量を基に目安量が設定された。妊婦・授乳婦の付加量は、各脂溶性ビタミンの体内蓄積性あるいは代謝特性を考慮して設定された。ビタミンK以外の脂溶性ビタミンに耐容上限量が設定された。
  • 柴田 克己, 福渡 努
    2010 年 25 巻 3 号 p. 797-802
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/05
    ジャーナル フリー
    9種類水溶性ビタミンすべての食事摂取基準の算定方法を記載する. 乳児(0~5か月)は「母乳中の濃度×哺乳量」から算定した. 乳児 (6~11か月) は基本的に乳児 (0~5か月) の値の外挿値と成人 (18~29歳) の値の外挿値の平均値から算定した. 1歳以上に関しては, ビタミンB1, B2, ナイアシンの推定平均必要量は尿中に排泄されるビタミン量を指標として, ビタミンB6, B12, 葉酸, Cの推定平均必要量は血液中の値を指標として算定し, これら7種類のビタミンの推奨量はすべて推定平均必要量×1.2として算定した. パントテン酸とビオチンは欠乏症の明確な代替生体指標を特定できないため目安量として算定した. 耐容上限量を算定したビタミンはピリドキシン, ニコチン酸, ニコチンアミド, プテロイルモノグルタミン酸のみである
  • 上西 一弘
    2010 年 25 巻 3 号 p. 803-813
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/05
    ジャーナル フリー
    日本人の食事摂取基準 (2010年版) では、13種類のミネラルについて摂取基準が示されている。ミネラルの食事摂取基準も他の栄養素と同様、推定平均必要量 (EAR) 、推奨量 (RDA) 、目安量 (AI) 、耐容上限量 (UL) 、目標量 (DG) の5つの指標が示されている。ミネラルでは大きく分けて、出納試験法と要因加算法の2つの方法で推定平均必要量を算定している。本稿では、各ミネラルについて主に成人の値を中心にその策定方法について解説する。
原著
  • 尾藤 まき子, 堀江 豊, 入山 圭二
    2010 年 25 巻 3 号 p. 815-821
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/05
    ジャーナル フリー
    【目的】長期入院高齢患者の栄養管理においては三大栄養素に比べ、ビタミンや微量元素の投与は、重要性の順位が後位に置かれる傾向にある。今回、微量栄養素の重要性を考慮した栄養管理を行うことの意義を検討することを目的に無作為化前向き試験を行った。
    【方法】入院中の高齢者を、通常の食事の前に微量栄養素を高濃度に含有するゼリー (1カップ70mL/day) を90日間摂取させる群 (VJC投与群) とさせない群 (非投与群) に割り付け、血液検査による栄養状態の評価、発熱頻度を比較検討した。
    【結果】投与群においてトランスサイレチン (以下、TTR) が投与前に比べ有意に増加し、投与後90日目におけるTTR値と投与期間内における累積発熱回数との間に有意な負の相関が認められた。これに対し非投与群ではこれらの傾向は認められなかった。
    【結論】長期入院高齢患者の栄養管理においては、ビタミン及び微量元素の強化は三大栄養素に配慮することと同等に重視すべきであることが示唆された。
  • 合田 文則, 犬飼 道雄, 奥山 浩之, 樋本 尚志, 舛形 尚, 千田 彰一
    2010 年 25 巻 3 号 p. 823-829
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/05
    ジャーナル フリー
    【目的】健常高齢者に微量元素の補充療法は必要かを予備的に検討した。
    【対象及び方法】経口摂取が可能でADLの自立した高齢者 (高齢者群) 22例と健常若年者 (若年者群) 29例を対象に、血液生化学検査と微量元素 (鉄、銅、亜鉛、セレン、マンガン) を測定し、2群間で比較検討した。
    【結果】高齢者群で有意に亜鉛不足が多く、血清亜鉛濃度と血清アルブミン濃度は正の相関を認めた。他の微量元素は2群間に有意差を認めなかったが、鉄不足は両群に23.5%程度認めた。また銅を除く微量元素濃度は高齢者で低い傾向にあった。
    【結論】高齢者では微量元素濃度が低い傾向にあり、ことに低栄養患者では亜鉛不足がみられた。そのため日常的な微量元素の補充療法は必要でないが、侵襲時には補充療法を含めた栄養サポートが必要と考えられた。
施設近況報告
  • 石井 要, 中島 和代, 帳山 和美, 蓑内 慶次, 早川 哲雄, 林 茂, 角谷 直孝
    2010 年 25 巻 3 号 p. 831-835
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/05
    ジャーナル フリー
    NST活動は、2006年11月から電子カルテのもとで行っている。今回は、NST活動における電子化の有用性と問題点について報告する。電子化前は、紙カルテ運用であった。これは本カルテとは別物で、情報の共有化はじめ数々の問題が存在していた。今回、電子化にあたり院内NST活動の問題点の改善、業務の効率化を目的に様々な工夫をした。専用の「NST診療録」を設け、また輸液処方内容詳細画面を導入し、より詳細で正確な栄養投与内容の計画が静脈栄養で可能となった。導入はスムーズに行なわれ、電子化のメリットが実感でき、NST活動がより円滑になった。一方で、登録漏れや記録の未更新など確実性の点で新たな問題も露呈した。また、経腸栄養や経口栄養への対応が不十分で、これらは早急な対応が必要と考えられた。電子化の導入としては意義があるものの、まだまだ不十分であり、今後さらなる良質なシステム構築を、同じシステムを利用する施設などと協力して行っていくことが肝要と思われた。
feedback
Top