摂食・嚥下障害に対して歯科領域では古くから取り組みがなされており, 現在は大学や地域歯科医師会, 行政との連携を図るなど, 積極的な取り組みがなされている地域も広がっている. 臨床現場では摂食・嚥下障害のスクリーニングテスト, VFやVEなどの検査, 診査・診断, そして訓練や代償嚥下法の指導など幅広く歯科医師や歯科衛生士が関与している. その中でも歯科衛生士による専門的な口腔保清はすべての患者に必要な基本的かつ重要な対応である. また、歯や義歯などに起因した咀嚼障害や, 口腔機能障害に対する嚥下機能補助装置による対応については歯科医師が対応できる唯一の職種である. 人口構造の高齢化の進行と並行して増加し続ける摂食・嚥下障害患者に対して, 多職種で総合的な取り組みが求められている. そのなかで, 歯科医師と歯科衛生士は専門性を十分に発揮しながら, チームの一員として積極的に関わっていくことが必要である.
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