静脈経腸栄養
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26 巻 , 4 号
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特集:NST活動と薬の知識
  • 倉本 敬二
    2011 年 26 巻 4 号 p. 1071-1075
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    2008年に日本静脈経腸栄養学会において「NST (nutrition support team) における薬剤師の活動指針」が制定された。その第一項目に (1) 静脈・経腸栄養療法における処方支援 1) 処方設計支援、と記してある。つまりNSTにかかわる薬剤師には静脈栄養療法の処方支援が求められているのである。静脈栄養療法に用いられる輸液は医薬品である。医薬品の責任者は薬剤師であるはずである。その期待に応えNSTにおける薬剤師の役割を明確にするためにも是非とも我々薬剤師は“輸液力”を磨かなければならない。末梢輸液では食事や飲水によるバイアスがあるため、絶飲食のTPN (total parenteral nutrition) が最も輸液処方設計への導入としては適していると考えられるので本項ではTPN症例を念頭において“輸液処方設計の基礎知識”について解説したい。
  • 東海林 徹
    2011 年 26 巻 4 号 p. 1077-1083
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    TPN輸液製剤の開発に伴い、格段に簡便性が上がった。その反面、新たな問題が提示されることになった。今回、微量元素製剤を組み込んだTPN製剤が発売されたが、はたして貧血予防に日常的な鉄の投与が必要かという疑問が生じてきた。そこで、体内での鉄の代謝を知るべくまとめた。体内での鉄は閉鎖系回路であり、排泄は1mg/dayとわずかである。静脈鉄製剤の投与は長期になると、鉄過剰症が引き起こることが報告されている。この原因にはコロイドの様式が問題ではあるが、いずれのコロイドでも起こる可能性がある。貧血のない患者への微量元素製剤は慎重に投与すべきである。
    コロイド鉄は水溶液で安定であるが多量の電解質あるいは総合ビタミン剤によって沈殿してくる。したがって、微量元素製剤の投与時にはフィルターの装着を推奨する。
  • 林 宏行
    2011 年 26 巻 4 号 p. 1085-1089
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    病院NSTでは, 静脈栄養や経腸栄養など, 強制栄養管理患者が対象となるケースも多い. これらの栄養管理を適正に行うためには, 薬剤師は患者薬歴を取り, 静脈栄養法では薬剤の影響により体内の電解質バランスに乱れが生じていないかといった点や, 経腸栄養管理において消化管の合併症は薬物投与の影響か, 栄養剤の影響で生じているのか, などを判断する必要がある. また栄養剤の逆流予防に有効な薬剤はないかなど、適切かつタイムリーな情報提供を行い, 栄養管理ならびに適正な薬物治療に貢献する必要がある.
  • 増田 修三
    2011 年 26 巻 4 号 p. 1091-1097
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    今や、栄養支援の最前線は病院から地域へと移りつつある。独居高齢者は増加し、身体機能障害やうつ病、認知症などに起因する摂取不足や、栄養バランスの破綻、服用薬剤の間違いなどが散見する。身体的・精神的・経済的および社会的要因が複雑に関連していることや、複数の医療機関を受診した結果に、多数の薬剤が処方されている実情を理解する必要がある。高齢者への多剤投与は副作用が多発することが知られている。また、食欲低下の原因になることも希ではない。
    在宅や介護施設で栄養支援に携わるには、対象となる要介護者が抱える疾患と薬剤の知識が欠かせない。「原因不明の食欲低下は、まずは薬剤を疑え」と言っても過言ではない。医療と介護の連携で注意深い観察が必要である。
  • 平井 みどり
    2011 年 26 巻 4 号 p. 1099-1103
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    栄養素は、その不足がもたらす疾患に対する補充療法から、健康を増進し生活の質を保つ目的での栄養素補充まで、様々な目的で人体に摂取されている。栄養素の補充目的で、様々な食品が用いられており、粗悪な製品や医薬品成分が混入したものなど、人体に悪影響を及ぼす例も少なくない。安全性を考えた場合にどの製品を選択するかは、情報が少ないために困難が多いが、そういった中で保健機能食品、これは政府が許可したものでもあるため、比較的信頼できる。保健機能食品や、いわゆる健康食品などは、医薬品との相互作用が報告されており、薬物治療を行うときには必ず患者に確かめる必要がある。実際に保健機能食品は栄養療法に適用できるのだろうか。そのためには妥当性の高いプロトコールに基づいて行われる、信頼性の高い臨床研究が必要である。現在多くの報告が魅力的な保健機能食品やハーブエキス等を使った研究結果を示しているが、ヒトでの効果を確立するためにも、臨床試験・臨床研究をさらに進展させなければならない。
  • 倉田 なおみ
    2011 年 26 巻 4 号 p. 1105-1109
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    2010年4月、「栄養サポートチーム (nutrition support team) 加算」が新設された。施設基準として、専任の医師、看護師、薬剤師、管理栄養士 (何れも常勤、1名は専従) より構成されるチームが設置されていること等が挙げられている。医師以外のNSTコメディカルスタッフは、医療関係団体等が認定する教育施設において実施される40時間以上の栄養管理に係わる研修を修了しなくてはならない。その研修には含むべき12項目が規定されており、その1項目として「簡易懸濁法の実施と有用性の理解」が挙げられている。この簡易懸濁法に関する研修は、各教育施設において独自に計画して実施するよりも標準スライドを使用し、同じ内容の研修を実施するほうが効率的であり、また全国的に統一された正しい手技が実施されるようになる。そこで、ここでは正しい簡易懸濁法の普及を願って、簡易懸濁法の正しい理解と知識を概説するとともに、標準的な研修内容と実習書の提供場所を示す。
原著
  • 生田 智子, 濱田 康弘, 佐竹 久美子, 阪本 麻友, 田中 健太, 矢野 美由紀, 野口 まどか, 戸田 明代, 平井 みどり, 宇佐美 ...
    2011 年 26 巻 4 号 p. 1111-1117
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】神戸大学医学部附属病院では、低栄養に加えて電解質異常の管理も患者の予後に重要な影響を及ぼすとの観点からNutrition & Electrolyte Support Team (NEST) として活動している。本研究では、栄養投与と電解質異常の改善の関連を明らかにするため、栄養介入前後を比較し解析を行った。
    【対象及び方法】対象は2006年8月から2009年5月までNESTが介入した症例で電解質を測定している315名。対象をHariris-Benedictの式に基づき算出された必要エネルギー量の投与状態によって、必要量を投与できた群 (良好群) と投与できなかった群 (不良群) に分け、介入前後における栄養状態および電解質異常の改善について解析した。
    【結果】栄養介入前後で、両群ともに腎機能の変化はみられなかった。良好群では不良群に比べ栄養指標がより改善しており、電解質異常についてはナトリウム、リン異常の症例について良好群では不良群に比べ異常値が改善していた。
    【結論】十分な栄養投与は一部の電解質異常の改善に寄与することが示唆された。また、電解質異常の種類によって栄養投与との関連性に違いがあることがわかった。
  • 田渕 裕子, 大石 雅子, 辻本 貴江, 小西 祐子, 畑 伸顕, 清水 健太郎, 曹 英樹, 和佐 勝史, 福澤 正洋
    2011 年 26 巻 4 号 p. 1119-1123
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】経腸栄養剤のpHの変化に対する反応を観察し、1%重曹水を用いた経腸栄養チューブ閉塞に対する効果について検討した。
    【方法】経腸栄養剤2種 (エンシュア・リキッド®、ラコール®) に酸 (0.1N HCl)、アルカリ (1%重曹水、0.1N NaOH) を添加し、pHの変化に対する経腸栄養剤の凝固の程度を観察した。また、臨床的にも1%重曹水の経腸栄養チューブの閉塞防止効果を検討した。
    【結果】2試料とも酸に接触すると凝固し、アルカリを加えると凝固物はpH上昇に伴い溶解した。アルカリを加えた場合は外観に変化はなかった。また、経腸栄養チューブ閉塞を繰り返す臨床例に対し、1%重曹水をチューブの洗浄に予防的に用いたところ閉塞を起こすことなく投与続行可能であり、チューブ閉塞症例に対しても開通し投与が再開できた。
    【結論】1%重曹水は経腸栄養チューブ閉塞防止に有用な手段と考えられる。
  • 森 豊, 大田 照男, 田中 孝明, 松浦 憲一, 横山 淳一, 宇都宮 一典
    2011 年 26 巻 4 号 p. 1125-1131
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    血糖コントロールを目的として脂質のエネルギーを増やすことにより糖質の配合比率を低く抑えて、低GI (Glycemic Index)・GL (Glycemic Load) に調整した流動食とパラチノースを含有することにより低GIになるように調整した流動食の血糖日内変動に及ぼす効果を比較した。
    脳血管障害後遺症による嚥下障害のため、標準高糖質流動食にて経管栄養中の2型糖尿病患者を対象とし、持続血糖モニター (CGM) を用いて両流動食投与時の血糖値を連続モニターした。
    低GI・GL流動食投与時、低GI流動食投与時の24時間平均血糖値、血糖変動幅は、標準高糖質流動食投与時と比較して有意に低値であった。低GI・GL流動食と低GI流動食間の比較では、低GI・GL流動食投与時の血糖変動幅は、低GI流動食投与時と比較して有意に低値であった。
    低GI・GL流動食、低GI流動食は、いずれも血糖変動幅を縮小させたが、その効果は低GI・GL流動食の方がより顕著であった。経管栄養施行中2型糖尿病患者において、食後の急激な血糖上昇や反応性低血糖の予防に低GI・GL流動食は有用と考えられた。
  • 三好 和也, 森田 哲生, 大浜 修, 野村 長久
    2011 年 26 巻 4 号 p. 1133-1140
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】転移性乳癌患者に対する、n-3系多価不飽和脂肪酸であるEPA (eicosapentaenoicacid) 強化濃厚流動食のおよぼす効果について検証した。
    【対象及び方法】化学内分泌療法中の、転移性乳癌患者9名を対象とし、EPA強化濃厚流動食 (1日あたり600kcal、EPA 2,112mg) を、3か月間、連日投与した。投与開始前、開始後1か月、2か月、3か月における、各種パラメータを測定した。
    【結果】体重は、投与開始前と比較し、1か月で有意に増加し、筋肉量は、体重とほぼ同様の傾向を示した。なお、体脂肪率は、有意な変動が認められなかった。血清レプチン値は、投与開始前に対し、1か月、2か月、3か月の全ポイントで有意に上昇した。一方、血清アディポネクチン値、血漿活性型グレリン値は、有意な変動を認めなかった。
    【結論】EPA強化濃厚流動食の投与と血清レプチン値の間に正の相関が認められ、前終末期乳癌患者に対する、EPA強化濃厚流動食投与による経過改善効果が示唆された。
臨床経験
  • 福庭 暢彦, 徳田 綾香, 前田 訓佳, 石井 真世, 伊藤 麻里, 松山 初江, 山本 萬智子, 福永 典子, 竹内 勤
    2011 年 26 巻 4 号 p. 1141-1146
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    【目的】当院の栄養サポートチーム (以下NST) ではパフォーマンスマネージメントを用い医師教育を行った。この取り組みが医師の行動に及ぼした効果を明らかにする。
    【対象および方法】医師の行動随伴性を分析した結果、栄養療法を強化するためには、栄養療法を客観的かつ迅速に評価できること、ならびに栄養評価と栄養療法の行動レパートリーを習得させることが有効と推測した。そこで常勤医師11名を対象とし、プレアルブミンの院内測定導入とオーダー手順の簡略化、栄養評価と栄養療法についての紙面配布による情報提供、カンファレンスでのモデリングを行い、プレアルブミン測定件数、アミノ酸輸液ならびに脂肪製剤使用量を比較した。
    【結果】プレアルブミン測定件数、アミノ酸輸液、脂肪製剤の医師別使用量は有意に増加した (P<0.05)。
    【結論】NSTの医師教育におけるパフォーマンスマネージメントは有効である。
平成22年度日本静脈経腸栄養学会フェローシップ賞受賞者学会参加記
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