【目的】転移性乳癌患者に対する、n-3系多価不飽和脂肪酸であるEPA (eicosapentaenoicacid) 強化濃厚流動食のおよぼす効果について検証した。
【対象及び方法】化学内分泌療法中の、転移性乳癌患者9名を対象とし、EPA強化濃厚流動食 (1日あたり600kcal、EPA 2,112mg) を、3か月間、連日投与した。投与開始前、開始後1か月、2か月、3か月における、各種パラメータを測定した。
【結果】体重は、投与開始前と比較し、1か月で有意に増加し、筋肉量は、体重とほぼ同様の傾向を示した。なお、体脂肪率は、有意な変動が認められなかった。血清レプチン値は、投与開始前に対し、1か月、2か月、3か月の全ポイントで有意に上昇した。一方、血清アディポネクチン値、血漿活性型グレリン値は、有意な変動を認めなかった。
【結論】EPA強化濃厚流動食の投与と血清レプチン値の間に正の相関が認められ、前終末期乳癌患者に対する、EPA強化濃厚流動食投与による経過改善効果が示唆された。
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