静脈経腸栄養
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26 巻 , 6 号
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特集
  • 若林 秀隆
    2011 年 26 巻 6 号 p. 1339-1344
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/19
    ジャーナル フリー
    リハ栄養とは、栄養状態も含めて国際生活機能分類 (ICF) で評価を行ったうえで、障害者や高齢者の機能、活動、参加を最大限発揮できるような栄養管理を行うことである。リハ栄養アセスメントのポイントは、「栄養障害を認めるか、原因は何かを評価する」「サルコペニアを認めるか、原因は何かを評価する」「摂食・嚥下障害を認めるか評価する」「現在の栄養管理は適切か、今後の栄養状態はどうなりそうか判断する」「機能改善を目標としたリハを実施できる栄養状態か評価する」の5つである。
    サルコペニアは、狭義では加齢に伴う筋肉量の低下、広義ではすべての原因 (加齢、活動 : 廃用、栄養 : 飢餓、疾患:侵襲、悪液質、神経筋疾患) による筋肉量と筋力の低下である。サルコペニアの原因を評価したうえで、適切なリハと栄養管理を行うことが重要である。「栄養ケアなくしてリハなし」、「リハにとって栄養はバイタルサインである」ことを解説する。
  • 林 宏行
    2011 年 26 巻 6 号 p. 1345-1350
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/19
    ジャーナル フリー
    リハビリテーションを行っている患者は、原疾患による侵襲や食思不振などにより栄養障害を呈している場合が少なくない。栄養障害を伴った場合、リハビリテーションの効果が十分に得られない可能性がある。栄養障害は飢餓や疾患による侵襲のほか、食欲不振などが要因となる場合がある。薬剤師は適切な栄養剤を選択し栄養改善を図ることや食思不振患者の薬物治療上の問題解決に取り組むべきである。またリハビリテーション患者は、身体障害から服薬自体が困難である場合も少なくない。リハビリ患者個々に適切な薬物投与形態を整えるべきである。本領域における薬剤師の果たすべき役割は大きいと考える。
  • 小山 珠美
    2011 年 26 巻 6 号 p. 1351-1358
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/19
    ジャーナル フリー
    リハビリテーション栄養における看護の役割は、栄養状態の改善に留まることなく、生活者としてのADL拡大、食べる楽しみの拡充、QOL向上を実現できるような食支援を目指すことにある。栄養管理に加えて、口腔衛生、摂食・嚥下機能、呼吸ケア、ADL拡大、QOL向上などについて、チーム医療をより有機的に機能できるよう多職種と連携した質の高い看護を提供したい。本項では、経口摂取を主軸としたリハビリテーション栄養管理について紹介する。
  • 開 登志晃, 田村 聡子
    2011 年 26 巻 6 号 p. 1359-1364
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/19
    ジャーナル フリー
    近年のリハビリテーションにおける診療報酬改定に伴い、急性期での早期リハビリテーションの充実、及び回復期リハビリテーションの質的・量的増加が予想される。そのため、急性期から回復期にかけて一貫した栄養管理とリハビリテーションを実施することが重要である。具体的には栄養状態を適切にアセスメントし、栄養状態に応じたリハビリテーションを実施することが要求される。また、栄養状態のモニタリングと、その結果に応じたリハビリテーションプログラムの修正を継続的に行なっていく必要がある。さらに、実施した栄養管理とリハビリテーションの効果を検証するための効果判定が重要である。栄養アセスメントでは、身体所見や血液生化学検査などから総合的及び経時的に評価を行う。また効果判定では、栄養状態や身体機能の改善のみを観察するのではなく、ADL及びQOLの改善効果を主として観察していくことが重要である。
  • 佐藤 弘
    2011 年 26 巻 6 号 p. 1365-1370
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/19
    ジャーナル フリー
    生体が手術侵襲で受けたダメージからより早い回復を目指すことは、術後管理の最大の目標である。手術後のより早期に回復を目指す体系的なプログラムにEnhanced Recovery after Surgery (ERAS) という概念がある。この概念の中で早期離床と早期経腸栄養が、術後の回復に大きな役割を果たしている。すなわち、ERASは早期離床と早期経口摂取 (早期経腸栄養) を積極的に行い合併症率を低下させ、術後在院日数を短縮させる体系的なプログラムと言える。
    本項のテーマは術後早期のリハビリテーションの栄養管理であるが、これは早期離床、早期経口摂取、早期経管栄養を積極的に施行することであり、このことはまさしくERASの概念と合致するものである。高度侵襲手術の1つに分類される胸部食道癌根治手術 (右開胸開腹胸部食道切除再建術) を例にとり、術後早期のリハビリテーションの栄養管理について概説した。
  • 三原 千惠
    2011 年 26 巻 6 号 p. 1371-1378
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/19
    ジャーナル フリー
    脳卒中後の神経症状として嚥下障害は頻度が高く、栄養障害をきたす原因のひとつとして重要である。また誤嚥による肺炎は予後を悪くする危険性が高い。したがって、早期より適切な嚥下機能評価と栄養管理を開始することが必要である。
    脳卒中の症状は意識障害と片麻痺などの神経症状が中心であり、時間とともに変化する。安全かつ効果的に経口摂取を行うためには、摂食・嚥下障害の把握が必要であるが、嚥下障害のほかに食物の認識や食事の行動にかかわる高次脳機能障害、片麻痺、同名半盲などの症状を理解して適切に対処しなければならない。
    ここではまず脳卒中の病態と栄養管理について説明し、脳卒中後の嚥下リハビリテーションの特徴について述べる。また、経口摂取への円滑な移行のための「食べるためのPEG」の概念についても説明する。
  • 藤本 篤士
    2011 年 26 巻 6 号 p. 1379-1383
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/19
    ジャーナル フリー
    摂食・嚥下障害に対して歯科領域では古くから取り組みがなされており, 現在は大学や地域歯科医師会, 行政との連携を図るなど, 積極的な取り組みがなされている地域も広がっている. 臨床現場では摂食・嚥下障害のスクリーニングテスト, VFやVEなどの検査, 診査・診断, そして訓練や代償嚥下法の指導など幅広く歯科医師や歯科衛生士が関与している. その中でも歯科衛生士による専門的な口腔保清はすべての患者に必要な基本的かつ重要な対応である. また、歯や義歯などに起因した咀嚼障害や, 口腔機能障害に対する嚥下機能補助装置による対応については歯科医師が対応できる唯一の職種である. 人口構造の高齢化の進行と並行して増加し続ける摂食・嚥下障害患者に対して, 多職種で総合的な取り組みが求められている. そのなかで, 歯科医師と歯科衛生士は専門性を十分に発揮しながら, チームの一員として積極的に関わっていくことが必要である.
原著
  • 内山 絵里, 折居 史佳, 松井 美由紀, 桝田 賢一, 今野 公二, 松田 純和, 浦山 和博, 太田 智之, 蘆田 知史, 松田 知倫
    2011 年 26 巻 6 号 p. 1385-1392
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/19
    ジャーナル フリー
    【目的】誤嚥性肺炎患者が退院後に食事摂取が可能か予測する因子を解析する。
    【対象及び方法】H21年1月から7月までに当院総合診療部に入院した肺炎患者89例を対象とした。誤嚥性肺炎と非誤嚥性肺炎の2群に分類し、背景因子、嚥下機能評価、退院時経口摂取の可能性について検討した。
    【結果】誤嚥性肺炎 (AP) 群では非誤嚥性肺炎 (NAP) 群に比較し脳血管疾患の既往・神経疾患が高率であり、入院前のADLは低かった。また、施設入所者に発症が多かった。AP再発例は初発例よりも平均年齢が低かった。退院時に経口摂取可能となる症例の割合はAP群でNAP群に比較し低かった。AP再発例であっても過半数は食事摂取可能となって退院していた。しかし、入院当初に実施した言語聴覚士による嚥下評価で経口摂取不能 (c判定) と判断された症例では退院時に食事摂取可能な例はなかった。
    【結論】退院後の食事摂取可能を予測する因子は言語聴覚士による嚥下機能評価が重要であった。
  • 沖田 充司, 宮出 喜生, 市川 美年, 片山 由紀, 中嶋 町子
    2011 年 26 巻 6 号 p. 1393-1398
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/19
    ジャーナル フリー
    【はじめに】90歳以上の超高齢者に対するPEGの有用性について検討した。
    【対象と方法】2001年1月から2007年12月まで、PEG施行された90歳以上の超高齢者34例を対象とし、術前背景、周術期管理と予後について検討した。
    【結果】平均年齢は92.9歳、性別は男性7例、女性27例であった。主基礎疾患は、脳血管障害が19例と最も多く、PEG施行理由は嚥下障害で誤嚥性肺炎の既往例が19例と最も多かった。術後合併症は、30日以内が88.2%、以降が58.8%で、肺炎の頻度が高かった。2年生存率は38.6%であった。予後因子の検討では、単変量解析で術前誤嚥性肺炎既往と栄養指標の1つである総リンパ球数1200/mm3未満で有意に予後不良 (p<0.05) であったが、多変量解析では独立した予後因子を認めなかった。
    【結論】術後合併症の頻度が高く、呼吸器感染対策と術前栄養療法の介入が予後改善につながる可能性がある。
  • 岡田 晋吾, 小川 滋彦
    2011 年 26 巻 6 号 p. 1399-1406
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/19
    ジャーナル フリー
    【目的】半固形化経腸栄養剤の投与が、在宅で経管投与を行っている主介護者の介護負担に及ぼす影響を調べる。
    【対象及び方法】在宅において胃瘻を有する患者と同居している介護者で、液体経腸栄養剤の投与を行った経験があり、その後1ケ月以上半固形化経腸栄養剤の投与を行っている主介護者を対象とした。介護を受ける患者は、1日の必要カロリーの大部分の栄養を胃瘻から投与されている者とした。方法は、液体経腸栄養剤を投与した場合と半固形化経腸栄養剤を投与した場合の介護時間や介護環境の変化について、自記式の調査用紙に記入依頼した。計34件の回答を得た。
    【結果】介護時間、栄養剤投与時間、片付けに要する時間、患者に対して目が離せないと感じる時間は、液体経腸栄養剤 (1回の投与あたり101.0、93.8、17.6、73.5分) より、半固形化経腸栄養剤 (74.5、16.6、13.7、24.7分) を使用した方が、有意に短かった(p<0.05)。患者の臨床症状も改善し、88.2%の介護者から、半固形化経腸栄養剤にしてよかったという結果が得られた。
    【結論】半固形化経腸栄養剤を使用することにより、患者の臨床症状が改善し、更に介護に関わる時間が短縮したため、介護負担が軽減することが示唆された。
  • 可児 富子, 入山 圭二
    2011 年 26 巻 6 号 p. 1407-1415
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/19
    ジャーナル フリー
    [目的]著者らは先の研究で、切除を必要とする胃および大腸疾患患者の術前期味覚はともに障害されており、術後は大腸切除患者に比べて胃切除患者の味覚認知は減退し回復が遅延していたことを報告した。この結果を踏まえ今回は、手術術式別にみた手術侵襲度をはじめ各種評価指標との関連を検討した。[対象及び方法] 消化管手術患者20名 (大腸切除9, 胃切除11) における術前術後の計3回に測定した味覚 (甘、塩、酸、苦の検知閾値・認知閾値) と両切除群における侵襲度指標としてのSIRスコア、窒素出納、身体計測ならびに投与・摂取栄養量との関連を検討した。[結果] 胃切除群では大腸切除群に比べて、手術侵襲は高度であり、術後は負の窒素出納を呈し身体減少は多量であり、体蛋白の異化が亢進していた。胃切除群味覚閾値は、これら窒素出納と負の相関、身体減少量と正相関を示し、蛋白異化の亢進と身体計測値の低下に比例して味覚は鈍くなった。他方、胃切除群の術後認知閾値は手術侵襲後の代謝転換期以降の窒素出納の正負および栄養量の多寡に影響されており、窒素出納が負であった群の認知閾値は異常値を呈し、正であった群の味の認知は正常に転じた。[結論] 胃・大腸切除における術後の味覚認知減退および回復遅延は体蛋白崩壊の大きさならびに手術侵襲度と連動していた。術後の味覚を正常に保つためには手術侵襲をより軽減し、体蛋白の異化を最小限に止めるための術前術後の栄養管理が重要であることが示唆された。
臨床経験
  • 横浜 吏郎, 青島 優
    2011 年 26 巻 6 号 p. 1417-1422
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/19
    ジャーナル フリー
    当院で経皮内視鏡的胃瘻造設術 (以下、PEGと略) を施行した症例の胃瘻チューブ抜去について検討した。1999年1月より2010年9月までに当院でPEGを施行した350症例のうち、胃瘻チューブを抜去した症例について臨床経過を調査し、胃瘻からの経腸栄養継続症例と比較検討した。また、経腸栄養中止後も胃瘻が維持されている症例を調査した。その結果、22症例 (6%) で胃瘻チューブが抜去され、その内訳は、経口摂取開始後の抜去が11例 (3%)、トラブルによる抜去が11例 (3%) であった。経口摂取開始後に胃瘻チューブを抜去した症例のうち、4例で再度PEGが施行された。一方、5症例で経腸栄養中止後も長期間胃瘻が維持され、そのうち4例では胃瘻に関わるスキントラブルが生じた。経口摂取開始後の胃瘻チューブ抜去において、その適応および適切な時期の設定に苦慮する症例を認めた。
症例報告
  • 蜂須賀 康己
    2011 年 26 巻 6 号 p. 1423-1426
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/19
    ジャーナル フリー
    経皮経食道胃管挿入術 (percutaneous transesophageal gastrotubing : PTEG) 施行後のトラブルとしてチューブ事故抜去の頻度は高く、再挿入に難渋する場合がある。PTEGチューブ事故抜去後の再挿入時に、チューブを右胸腔内へ誤挿入した1例を経験した。症例は89歳、男性。当院でPTEGを造設後、療養型施設へ転院し栄養管理されていた。夜間にPTEGチューブが事故抜去されたため、再挿入したところ、翌日のCTにてチューブの右胸腔内への誤挿入、縦隔気腫、右気胸が確認された。誤挿入されたチューブの抜去と胸腔ドレナージによって改善を認めた。PTEGチューブ交換時に胸腔内へ誤挿入した報告例は認められず、稀な合併症の一つとして報告した。
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