静脈経腸栄養
Online ISSN : 1881-3623
Print ISSN : 1344-4980
ISSN-L : 1344-4980
27 巻 , 6 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
特集
  • 田村 俊世
    2012 年 27 巻 6 号 p. 1297-1302
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/17
    ジャーナル フリー
    栄養所要量はハリスベネディクトの式から基礎代謝を算出しそれに活動係数、ストレス係数を乗じて必要エネルギーを算出している。しかしながら、算出の方法によりこの値が大きく変動する。効果的な栄養管理のため間接熱量計を用いて安静時エネルギー消費量、呼吸商を求める方法が検討され始めている。ここでは現在、市販されている3種類の間接熱流計について解説する。
  • 海塚 安郎
    2012 年 27 巻 6 号 p. 1303-1311
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/17
    ジャーナル フリー
    栄養状態の動的評価法の一つである間接熱量測定 (Indirect Calorimetry; IC) を用い、重症患者に対してより精度の高い栄養管理を実施することは、重症例の栄養管理に関わる誰もが考慮することである。重症病態急性期でのICは、原則酸素療法中の挿管下患者で実施されるが、測定条件の設定、測定機器の限界 (酸素分圧、呼吸数) を把握することが、有用なデータを得る上で重要である。従来は安定状態で30分程度の測定が標準的測定法であったが、人工呼吸器組み込み型間接熱量計が市販され、挿管中の連続した測定が簡便に実施可能になった。連続して表示されるデータ (消費熱量 (EE)、呼吸商 (RQ) 値) は、ICUにおける患者モニタリングの一つとして、重症患者の栄養管理に利用されることが期待される。
  • 加藤 昌彦, 兒島(森澤) 茜
    2012 年 27 巻 6 号 p. 1313-1318
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/17
    ジャーナル フリー
    糖尿病患者の治療は、食事療法、運動療法及び薬物療法の組み合わせにより行われるが、治療の基本は食事療法、すなわち適正なエネルギー量を投与することにある。そのためには、糖尿病患者のエネルギー代謝動態を十分に把握する必要がある。
    間接熱量計を用いて糖尿病患者のエネルギー代謝動態をみたところ、エネルギー消費率 (%REE) は、健常者との間に有意な差を認めなかったが、呼吸商 (RQ) は有意に低下しており、エネルギー基質である糖質の利用比率は有意に低下、脂肪の利用比率が有意に上昇していた。さらに、RQは血糖コントロールが悪いほど低値を示したが、血糖コントロールが改善するにしたがい上昇することが示された。
    間接熱量計によるエネルギー消費量 (REE) の実測は、エネルギー投与量の設定に、RQは血糖コントロールの判定に有用であり、間接熱量計は糖尿病患者の栄養管理に大きな役割を演ずる。
  • 中屋 豊
    2012 年 27 巻 6 号 p. 1319-1323
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/17
    ジャーナル フリー
    透析患者の安静時エネルギー消費量 (REE) は個人差が大きく、推定式により求めた値では誤差が大きくなる。正確に患者の必要エネルギー量を決定するためには、間接熱量計が有用である。間接熱量計で求めたREEは、正常の場合もあり、あるいは亢進していることもある。REEに影響を及ぼす因子としては、年齢、除脂肪体重、炎症、副甲状腺ホルモンなどがある。特に、透析患者では炎症性サイトカインなどにより、筋肉の崩壊が進みやすく、筋肉量が低下している。エネルギーを投与しても、身体活動量の少ない例では、筋肉が減り、脂肪が増加し、見た目には低栄養に見えない患者も少なくない (サルコペーニックオベシティー)。間接熱量計のみでなく、身体計測、インピーダンス法などにより体組成を同時にチェックし、筋肉量の維持にも努力するように指導が必要である。また、間接熱量計によるRQの測定は、従来注目されていなかったが、栄養状態が悪い患者では空腹時および透析直後のRQが低下しており、栄養不良が進行する可能性がある。RQの測定結果に基づき、食事の量だけでなく、就寝前夜食を含めた投与のタイミングも考慮する必要がある。さらに、RQの低下する時間を少なくする工夫が必要である。
  • 佐々木 雅也, 西田 奈央, 栗原 美香, 馬場 重樹, 安藤 朗, 藤山 佳秀, 辻川 知之
    2012 年 27 巻 6 号 p. 1325-1329
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/17
    ジャーナル フリー
    クローン病と潰瘍性大腸炎は、いずれも高率に栄養障害を呈する疾患であり、栄養管理が重要である。特にクローン病では、栄養療法そのものに寛解導入効果や寛解維持効果が確認されている。炎症性腸疾患ではエネルギー代謝の変化があり、消費エネルギーを正しく算出し、必要エネルギーを充足することが重要である。それには、間接熱量測定を用いて、個々の消費エネルギーを求めることが有用である。
    我々が、入院患者を対象として間接熱量測定を施行した成績からは、活動期クローン病では、理想体重1kgあたり約30kcal/day、中等症から重症の潰瘍性大腸炎では、30~35kcal/dayが必要量と算出される。しかし、安静時消費エネルギーや呼吸商の値は、個人差や病期による変動が大きい。また、潰瘍性大腸炎では、疾患活動性との相関がみられるが、クローン病では活動性と相関しない。疾患によってもエネルギー代謝の動態は異なる。したがって、これらの疾患の栄養管理においては、間接熱量測定を経時的に施行し、消費エネルギーの変化を求めながら栄養管理を行うことが推奨される。
  • 白木 亮, 華井 竜徳, 森脇 久隆
    2012 年 27 巻 6 号 p. 1331-1335
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/17
    ジャーナル フリー
    肝硬変では蛋白・エネルギー低栄養 (protein-energy malnutrition: PEM) が高頻度に出現し、予後やquality of life (QOL) に影響を及ぼす。この低栄養状態に、分岐鎖アミノ酸 (branched chain amino acids: BCAA) 製剤や就寝前軽食 (Late evening snack: LES) などの栄養療法によって、肝機能・予後・QOLの改善が得られることが報告され、様々なガイドラインで栄養療法が推奨されている。また近年、食の欧米化に伴い日本人の肥満は増加傾向にあり、肝硬変患者においても肥満患者の割合が増えている。肥満合併肝硬変患者では肝発癌リスクが高く、肥満やインスリン抵抗性に対しての治療介入も必要である。
  • 柳町 幸, 丹藤 雄介, 中村 光男
    2012 年 27 巻 6 号 p. 1337-1342
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/17
    ジャーナル フリー
    慢性膵炎は膵内外分泌機能が徐々に低下していく進行性の疾患である。本疾患は、全病期を通して栄養障害に陥りやすい上、進行の程度によって病態が異なる。したがって、変化する病態を3病期 (代償期、移行期、非代償期) に分類し、それぞれの病期に応じた治療を行う必要がある。全病期を通して安静時エネルギー代謝が亢進する傾向にあるため、実測の安静時エネルギー消費量をもとにした投与エネルギー設定が有用である。代償期は有痛期には脂肪摂取制限が必要であり、摂取エネルギー不足に陥りやすいため、経腸栄養剤の併用が有用な場合がある。間歇期には脂肪制限を解除し、必要エネルギーを摂取させる。また、非代償期には消化酵素薬およびインスリンを補充した上で必要エネルギーを摂取させることが重要である。
  • 曹 英樹
    2012 年 27 巻 6 号 p. 1343-1348
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/17
    ジャーナル フリー
    間接熱量測定により, 新生児周術期における手術侵襲による安静時エネルギー消費量の変動を検討した. 新生児周術期では安静時エネルギー消費量の変化は認められなかった. 新生児の術後栄養管理においても, 小児に特徴的な術後の生体代謝変動に対する十分な理解と, 間接熱量測定法によるエネルギー消費量の測定を含む繊細な栄養評価に基づいたエネルギー投与量の決定が必要である.
  • 二村 昭彦, 東口 高志, 伊藤 彰博, 大原 寛之, 都築 則正, 中川 理子, 上葛 義浩, 井谷 典功
    2012 年 27 巻 6 号 p. 1349-1354
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/17
    ジャーナル フリー
    終末期を含むがん患者においては、悪液質の発現に伴う代謝変動に加え、十分な栄養補給がなされず陥る飢餓の状態が複雑に絡みあっている。このようながん患者に対して適切な栄養管理を実施するためには、栄養障害の要因が単なる飢餓かあるいは、がん悪液質によるものかなどを十分に把握することが大切である。最近の知見より、間接熱量計を用いた安静時エネルギー消費量の実測値が、がん種、有病期、体脂肪量、除脂肪体重、体細胞量との関連性が報告されており、今後、栄養治療、特に適切な栄養基質の選択や栄養補給量などの検討において重要な指標になるものと思われる。
原著
  • 丹野 英, 小原 明香, 福島 久史, 岩坂 日出男
    2012 年 27 巻 6 号 p. 1355-1359
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/17
    ジャーナル フリー
    同一の健常人ボランティア9名において約半日の絶食後における炭水化物飲料補水が体液バランスおよび糖代謝に与える影響について検討した。炭水化物飲料水の飲水2時間後において有意な血液希釈効果が認められたことから吸収性の良さがうかがわれた。炭水化物負荷により血糖値や遊離脂肪酸の低下を認めたことからブドウ糖が有効に消費され糖代謝を良好に改善することが示唆された。しかし、その効果は2時間程度と短い可能性があり、今後、術前補水療法として炭水化物飲料水摂取を導入する場合、投与方法やその内容についての工夫が必要である。
  • 下谷 祐子, 鎌田 紀子, 林 史和, 百木 和, 十河 光栄, 山上 博一, 渡辺 憲治, 荒川 哲男, 塚田 定信, 羽生 大記
    2012 年 27 巻 6 号 p. 1361-1367
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/17
    ジャーナル フリー
    【目的】病態が活動期で入院を要した炎症性腸疾患患者について、NSTによる適切な栄養学的介入を行うことを目的に栄養状態の評価を行った。
    【対象及び方法】潰瘍性大腸炎患者、クローン病患者に対し、入院時に身体計測、インピーダンス法を用いた身体組成分析、血液検査・血液生化学検査、SGAを用いて栄養学的評価を行った。
    【結果】入院を要した炎症性腸疾患患者は栄養状態が不良であることが示唆された。特に潰瘍性大腸炎患者は、急激な病状の増悪による炎症反応の亢進や重篤な消化器症状により、代謝の亢進、食事摂取量の低下が起こり、急激に低栄養状態に陥っていると考えられた。
    【結論】潰瘍性大腸炎はクローン病に比して栄養療法の必要性が低いと認識されがちであるが、急激な栄養状態の悪化のみられる潰瘍性大腸炎患者においても、原疾患の治療とともにNSTを通じた積極的な栄養学的サポートが必要であると考えられた。
  • 村松 博士, 川口 巧, 鈴木 壱知, 佐田 通夫, 森脇 久隆
    2012 年 27 巻 6 号 p. 1369-1376
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/17
    ジャーナル フリー
    【目的】腹部画像検査前は絶食が慣例とされているが, 肝硬変患者は代謝亢進状態にあるため低栄養状態になりやすく, 栄養サポートが必要である. 本研究の目的は, 肝疾患患者の検査前絶食を議論するために, その実態を調査することである.
    【対象及び方法】2010年6月, 日本静脈経腸栄養学会認定NST稼働施設1274施設を対象に,画像検査前の食事状況につきにアンケート調査を実施した.
    【結果】アンケート回収率は28.6%であった. 83.6%の施設が、肝疾患患者の腹部超音波検査前に絶食としていたが, 56.5%の施設は肝硬変患者に絶食は好ましくないと回答しており, 64.0%で検査前補食の導入を検討していた.
    【結論】慢性肝疾患患者においても検査前絶食としている施設が多いことが明らかとなった。しかし, 検査前補食についてのエビデンスの蓄積や学会からの指針などによって, 今後, 検査前補食が導入されるものと考えられた.
臨床経験
  • 岩瀬 豪, 稲岡 秀陽, 尾木 敦子, 友澤 明徳, 國仲 加世子, 高安 郁代, 中村 真紀, 北川 一智
    2012 年 27 巻 6 号 p. 1377-1380
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/17
    ジャーナル フリー
    【目的】摂食嚥下障害をもつ高齢者の機能的自立度評価法 (Functional Independence Measure ; 以下, FIMと略) の点数がどの程度であれば, 経皮内視鏡的胃瘻造設術 (Percutaneous Endoscopic Gastrostomy; 以下, PEGと略) による経腸栄養管理後に日常生活動作 (Activities of Daily Living; 以下, ADLと略) の向上が期待できるかを検討する. 【対象及び方法】PEGを施行した30例について, その背景とPEG前後のFIMの点数を調べ, 後ろ向きの検討を行った. 【結果】PEG前の認知FIMの点数が10点以上の症例は, 胃瘻による経腸栄養管理の3ケ月後に運動ないし認知FIMの有意な改善を認めた. 【結論】PEG前のFIMのうち, 認知FIMの点数が良い症例は, 胃瘻による経腸栄養管理後にADL向上が期待できる可能性が示唆された.
施設近況報告
  • 荒金 英樹, 井口 美保子, 見越 志麻, 仁田 美由希, 松本 史織, 閑 啓太郎, 北川 一智, 宮川 淳, 徳地 正純, 宮本 保幸
    2012 年 27 巻 6 号 p. 1381-1385
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/17
    ジャーナル フリー
    京都府歯科医師会による口腔サポートセンター事業は歯科の併設されていない病院、施設へ歯科チームを派遣し、病院、施設、在宅間の継続した歯科治療、口腔ケアを目的に設立、当院でも2008年より介入が開始された。当院での口腔サポートセンターの活動状況と看護師への意識調査を行ったので報告する。口腔サポートセンターへの依頼は2012年4月現在250名、平均年齢は79.5歳、科に片寄りなく利用されていた。月平均利用者数も年々増加、その活動は院内で広く認知されていた。看護師からは口腔環境の改善、業務負担軽減で高く評価され、継続した介入をほぼ全員が希望した。しかし、退院後の継続利用は10%程度に留まり、院内での連携の問題や退院後の継続利用への理解等の課題も浮き彫りになった。口腔サポートセンターは、院内での栄養サポートチーム (Nutrition support team; 以下、NSTと略) 活動にとって有用な活動であり、今後、栄養を介した地域連携の核となる可能性があると考えられる。
平成23年度日本静脈経腸栄養学会フェローシップ賞受賞者学会参加記
feedback
Top